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避けられない死

2009-03-03 11:37:16 | 感想
2月も目標達成です

「破裂」久坂部羊著 幻冬舎
「続 看護婦が見つめた人間が死ぬということ」宮子あずさ著 海竜社
「お医者さんの罪な話 患者さんの笑えぬ話」永井明著 青春出版社
「うらやましい死にかた」五木寛之 編 文藝春秋

以前は薬剤師として働いていたので、小説よりこういう医療関係の本を手に取ってしまいます(一種の職業病?)

これらの本で共通していると思ったのは、
医療技術の目覚ましい進歩で人間の寿命が延びたけど、その反面自然に死ぬことが難しくなったということ

もし倒れて意識不明になった時、病院に運ばれれば処置をしてくださいます
意識が回復し大事にいたらなければ問題ないのですが、
意識が戻らない状態になった場合でも中心静脈点滴で1日の必要な栄養を摂取すれば生きていくことができます

ここからが問題なのです
点滴で栄養を摂取している状態だけなら病院は転院や療養型施設への移動を勧めてきます
今は療養型病院はどこも満床でなかなか受入れが難しいうえに、家族が移動先を探さなければなりません
点滴を外せば衰弱して死にいたりますが、一旦中心静脈点滴を始めれば途中でそれを止めることはできません
点滴を止めると近いうちに死に至ることがわかっているので、家族は「止めてほしい」とはなかなか言えません(自分が見殺しにしたという気持ちになってしまう…)
すなわち、回復不可能だけれども薬で栄養を摂取し息をしている状態が続くのです
家族の精神的負担と経済的負担がかかります

患者さんの年齢で考え方を変えるのはおかしいと思いますが、患者さんが高齢な場合、このようにしてまで生かされるのが本当に良いのか?と疑問に感じてしまいます

「うらやましい死にかた」は「文藝春秋」誌上で読者が実際に体験された身近な人の死をめぐる文章を集めたものです
本当にうらやましくなるような内容ばかりで、果たして自分はどんな死に方をするのかと考えてしまいました
人から見て羨ましい死に方でなくても、自分が精一杯生きたのなら自分らしい死に方ができるのではないかと思います
死を避けるのではなく死をしっかりと考えることで生き方が変わるような気がします