イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その14☆鉄人ルー・テーズを科学する☆

2010-10-18 14:45:15 | ☆格闘家カフェテラス☆
                       

 格闘家、好きです---
 というより、およそ男と産まれてきて格闘に興味のない人間なんているんでせうか?
 寡聞にして、僕は知らないっスね。おなじ中学からエリート進学校に進学した痩せっぽっちで臆病者の秀才Hクンも、それから、丹沢山のよく見える秦野市の小学校の校庭でいつも一緒に組手の朝稽古をしていたМクンも、思えば皆プロレスとボクシングと空手とが大好きでした。
 僕らの時代においては、あの梶原一騎作の「空手バカ一代」という恐るべきマンガ---ええ、恐るべきです! とんでもないマンガですって---があり、僕ら、昭和30~40年代産まれの少年男子はほぼ例外なくこのマンガに洗脳されていたんです。このマンガの影響で実際の夜の町に喧嘩の修行をしにでかけ、その結果、大事な人生を棒にふってしまった青少年を両手で数えられないくらい知ってます。
 もっとも、これはそう特別なことじゃありません。
 あの時代に少年期を送った男性ならほぼ例外なくそんな感じじゃないのかなあ、とイーダちゃんは思います。
 ただ、「いま」の時代に関しては、僕、多少タカをくくっていたんですよ。
 だって、いまの子たちはパソコンとTVゲームの世代の子でしょ? 馬乗りも殴りあいも禁止されていてできないんでせう? さらには熱血じゃなくってラブコメで育った世代なんでしょ? 
 だったら、いまの時代の子たちが、あの「空手バカ一代」みたいな、超・ロマンチックかつ荒唐無稽な名作マンガを所有できるワケがない、と半分優越感・残り半分淋しん坊みたいな気持ちでしんなりしていたんです。
 でも、まあ仕方がないな、それが時代ってもんなんだろう、とも思ってました。
 ところが10年程前、職場の友人から「グラップラー刃牙」というマンガを知らされ仰天したんです。
 なんだよ、ぜんぜん変わってないじゃん、コレ、いまの時代の「空手バカ一代」じゃないのと嬉しくなりました。
 このマンガ、凄いっスよ。何が凄いってこちらの登場人物、実際の格闘家が多数モデルになっているんですけど、そのセレクトがちょっとハンパない。
 合気道の伝説の達人---塩田剛三がいる。
 日本中のプロの暴力組織から喧嘩日本一と謳われた喧嘩士---花形敬がいる。
 アントニオ猪木がいて、ジャイアント馬場がいる。
 土管を素手で粉々に叩き割る、拳道会の中村日出夫がいる。
 あの人間の領域を踏みこえた超人レスラー、露西亜のアレクサンダー・カレリンもいる。
 うーむ、凄いや。(T.T)/
 しかも、これほどの凄玉を架空の闘技場にわざわざ集めておいて、何をするかといえば素手での格闘トーナメントを開催するというんだから。
 男ってバカだー、完全ネアンデルタール状態、あいかわらず進化してないなあ、と思わず笑みがこぼれてきちゃいましたねえ。(^^;

 で、枕がちょい長くなっちゃいましたけど、テーズです。

  -----ルー・テーズ。
       20世紀最大のレスラー。ハンガリー系米国人。
       1916年 4月26日、ミズーリ州セントルイス生まれ。父、マーチンよりレスリングの手ほどきを受け、
       その後、エド・サンテル、レイ・スティール、ジョージ・トラゴスらに学ぶ。
       1937年12月29に世界王座を奪取してから1966年1月8日までの延べ27年、NWA世界王座を守りつづける。
       191センチ110キロ。得意技、バックドロップ、ダブル・リストロック、ドロップ・キック。
       (Astrologer諸氏はこれで彼のCHartを作ってみるよろし。優れた運動選手に特有の火星が見られます)

 僕がテーズ・ファンになったのは6才のとき---。
 当時のなんか小学生向けの雑誌のアタマのページに、「ザ・マミー」や「ザ・コンビクト」やらの怪奇レスラーの特集が組んであったんだけど、その最期のほうにこのテーズの写真が紹介されていたんですよ。
 鍛えあげられた肉体といかにも意志の強そうな顔。
 そして、なんともいえない自信に満ちた、凛凛しげで爽やかなまなざし。
 猪木より凄えと思った。一瞬で痺れましたね。
 当時、猪木はまだ日本プロレスにいて、馬場とBI砲を組んでいました。僕はその当時から猪木贔屓だったのですが、なんで出逢いがしらのテーズのことをそんな風に気に入っちゃったのかなあ。理由はちょっと判りかねますが、6才のイーダちゃんがそう思ったのは事実なんです。
 ですが、時代が時代---テーズの映像なんてそれこそどこにもないんですよ。
 いや、ひとつだけあったかな。当時、12チャンネルでたしか「世界のプロレス」だかそんな番組があって、それが動いているテーズを見た最初かと記憶してます。
 動いているテーズはね、速かった。
 もー、とにかく速いの。腕を決めて投げる、その決めてから投げるまでが他のレスラーより断然速い。
 他のレスラーはまあ観客に解らせる意味もあるんでせうが、腕絡めてから投げるまでに、ひと呼吸分の休みというか、一種の間があるんですね。ところがテーズにはそれがない。
 連発ドロップキックなんて最初はコマ落としの映像かと思いましたもん。
 あれじゃあ、目前でそれやられてる相手レスラーはどうしようもないな、と子供心に思ったもんです。
 あと、印象に残ったのは、やっぱバックドロップ……。
 ええ、いささか有名にすぎるバックドロップなんですが、そのバックドロップにしてもとにかく速いのなんの。
 他のレスラーはみんな背後からまず持ちあげて、うーん、しょ、みたいな2段のタイミングでもって反り投げるんですよ。贔屓の猪木にしても、投げの際のブリッジこそ他のレスラーよりうんとこさ綺麗でしたけど、速度の瞬発力的な面でいうとね、本家テーズの足元にも及んでいない気がしました。
 テーズは、「ありゃ」と思ったら、しゅん! もう相手は後頭部を強打してマットに倒れてるんですから。
 で、まず立ちあがれない、ときにはダメージが大きすぎて二本目の試合放棄みたいな例もあったりして。
 どうです、凄いっしょ?---まさに稲妻---。(^o^;/
 
 新日のNWF戦でいちど、60代の老残のテーズと猪木とがたしか対戦してるじゃないですか。
 あの試合、ゴングが鳴ったかと思うやいなや、いきなりテーズのバックドロップが炸裂するんですよ。
 それがね、とにかく速い。観客がおお! と瞬間どよめくんですよ。あれは「なんだ、ありゃあ、バックドロップってあんなに速いのか」って意味のどよめきですよね。
 むろん、威力も強烈。ヒットの瞬間、猪木が跳ねましたから。
 レフェリーのアントニオ・ロッカは3カウントをあえて取りませんでしたが、いま youtube の画像で見ると、あれ、完璧3つ入ってますよ。試合を成り立たせるためにはあそこで終らせるわけにいかなかったのは当然なのですが、あの試合の見所はあの開始早々のテーズのバックドロップ、ただただそれに尽きると思います。
 この稲妻みたいな速さは例がないですね。後年の鶴田のバックドロップなんか本家直伝でなかなかよかったと思いますけど、やっぱり全盛期のテーズのものとはちょっと比べられませんね。

 あと、このひと、柔らかいんですよ、身体が。
 いまは幸い youtube という便利なメディアがあって50年代の全盛期の---936連勝中の---テーズの映像がいくらでも拾えますんで、興味のある方はぜひぜひそれらを拾い見てテーズの凄さを再認識してもらいたいなあ。
 イーダちゃんが自信をもって推薦するのは、ドン・レオ・ジョナサン戦、マイティ・アトラス戦、ラフィ・シルバースタイン戦あたりですかね。
 人間台風ドン・レオ・ジョナサンを除いたらほとんど日本じゃ無名の面子ばかりなんですが、テーズを見るためには、これがベストでせう。
 この映像のなかのテーズは、ちょっと憎らしいくらいに強いんです。というかあまりにも強すぎる。
 ラフィ・シルバースタイン戦なんかイジメかと思っちゃいましたもん。
 で、柔らかさの話でしたっけ---首投げとかで投げられたときのテーズの足に注目してください。
 マットにあたって、ぽんと少し跳ねて、ぱたんとまた落ちて。要するに力が全然入ってないんですよね。もー 脱力の極致。というかほとんど猫ですよ。いちどそういう視点に気づいて見なおしてみると、このルー・テーズってひと、どんなときも完全に余分な力が抜けきっているのがだんだん分かってきます。
 立ち方も歩き方も、このひと、ほんとに柔らかい。腰も完璧割れてるし、猫ですよ、マジで。
 他のレスラー同士の対戦だとそういう要素はあまり目につかないんですが、テーズと対戦してる相手を見ていると、その相手がだんだん「棒切れ」みたいにぎちぎちに固い存在に思えてくるんですよ。あまりにもテーズがしなやかで、そのうえ柔らかいから。
 
 ゴッチとの絡みでもそういう差異って発揮されたと思いますね。
 調べてみると、カール・ゴッチは1922年生まれなんですよね。テーズより6つ下の勘定ですか。
 僕はゴッチの全盛期の映像ってあまり見たことないんですが、ビル・ミラーやあのヘンクツの藤原喜明さんなどがあれほど礼賛しているところを見ると、やっぱりハンパない、そうとうの凄玉だったんですね。喧嘩キングの力道山が引いたくらいですもんね、あの総入歯のエピソードからも分かるように、その気になったときのゴッチというのは怖かったと思いますよ。ダニー・ホッジなんかもそのへんは凄かったって聞いてますけど。
 でも、その神様ゴッチにしても、テーズの牙城はとうとう切り崩せなかった。

 テーズVSゴッチの戦績は、テーズの4戦2反則勝ち4引き分けです。

 あの柔らかさとしなやかさにしてやられたんだと思いますね---格闘技において、柔らかさって力ですから。
 ぜんぜん関係ないんですけど、いまこれ、人生についてもおなじことがいえるのではないかとふいに思いつきました。
 なるほど、格闘技において柔軟性は力かもしれない、しからば、人生において、それに相当する「柔らかさ」とはいったい何なのか?
 うーん……なんなんでせうね? 冥界のミスター・テーズに電話をかけてちょっと聞いてみたい気もする、初秋の宵のイーダちゃんなのでありました。(^.^;>




 

 
 
 


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3 コメント

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おつかれっすー (サトー)
2010-11-14 20:59:47
とあるOさんに話を聞いてやってきました。お元気そうで兄よりです。

テーズの”柔らかさ”について、少しでもご興味があるのでしたら、ロシアの武術である「ッステマ」というものがありますので、いろいろ見てみるといいですよ。アレが全てではありませんが、”柔らかさ”についてわかりやすく表現している一つの形だと思いますので。

合気道や太気拳でも充分柔らかくはなるのですが、結構時間がかかるのですよ・・・。

と、いう訳で。また今度、機会があったらお会いしましょう。
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あっと (サトー)
2010-11-14 21:00:46
ごめん、「システマ」でした。すんませんー。
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サトーさんへ (イーダちゃん)
2010-11-14 21:19:42
>おー サトー君、訪問ありがとう(^o^)/
身内には基本的にブログ始めたの教えてないんで、びっくり---でも、嬉しいもんだね、おひさしぶり! 武道の達人の君ならいつでも大歓迎だ。
「システマ」、是非、見てみるよっ。
彼、病気みたいなんで君いるあいだは見てやってくれな。うん、今度ヒマ見つけて会いましょう。
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