北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第184回 北京・達圆鏡胡同 春はそぞろにうつらうつら

2018-04-03 16:28:32 | 北京・胡同散策
春になると頭の中に霞たなびき、足のつま先から薄くなった髪の毛の先まで全身そわそわむずむずしてきて、
じっとしていられなくなってしまいます。

そこで、

「そうだ!! 達圆鏡胡同に行こう!!」

ということで、バスと地下鉄7号線を乗り継いで商店街留学路へ。

さて、留学路に無事に到着したのはよいものの達圆鏡胡同へ直行とならないところが、やはり春。
朝食後それほど時間が経っていないというのに山西面館という看板が目に飛び込んでくると
「腹減ったゾ」
とばかりに、つい、ふらふらっとお店に入ってしまう節操、緊張感のなさ。



注文したのは、牛肉麺。



刀削面は、うまい。
春なので一層うまいと感じてしまうのかもしれません。
完食。
値段は18元なり。ちなみに、日本円で300円程度。

その後、急に眠気に襲われ、
「完食しなければよかったなぁ」
そんなことを心の内でつぶやきながらも一念発起、買い物客が連れているワンちゃんを
撮ったり、



行列のできる饅頭店を写したり、春はそぞろ歩きが俄然気持ちよい。



たどり着いたのは留学路の南端。南端を横切るのは永安路。永安路を東方向へ。



永安路沿いには後日ご紹介予定の居仁里胡同、霊佑胡同、以前ご紹介した大喇叭胡同、
小喇叭胡同、何家胡同、永勝巷、福昌里と並んでいます。目的の達圆鏡胡同があるのは、
それら胡同の東端にある鋪陳子胡同沿い。


達圆鏡胡同(DayuanjingHutong/ダーユエンジンフートン)の出入口と表示板。



表示板には「不通行」、つまり「通り抜けられません」と書いてあるのが、心憎い。



表示板を撮っていると、足元につぶらな瞳のワンちゃんが。



胡同関係の本によりますと、この胡同は長さ74メートルほどの小胡同。





笑顔と足元がつぶらな瞳のワンちゃん同様可愛らしい素敵な女性がいらっしゃった。



お名前はLさん。
たいへん気さくな方なので助かった。残念だったのはこの胡同について分からないことがあった
のに、初対面ということもあり、うかつにも遠慮してしまいお訊ねしなかったこと。
次回の再会時にはお訊ねしたい。







この胡同がいつごろ形成されたのかは不明なのですが、清末、朱一新(1846年ー1894年)の
『京師坊巷志稿』には「小胡同曰大小眼鏡胡同」とあり、細かい説明は省略しますが、当時
この胡同が現在の胡同名と同音の「大眼鏡胡同」と書かれ呼ばれていたことが分かります。



その後どうなったのか。
『北京胡同志』所収1949年の北京地図を見ますと「達圆鏡」とあり、現在名になったのは、
どうやら地名の整理が行われた1965年以降のようです。



先に清末「大眼鏡胡同」という名前であったことを書きましたが、その名称が面白すぎる。
でも、なぜこの胡同と「眼鏡」という言葉がむすびついたのか、残念ながら不明。



そして、1949年の地図にある「達圆鏡」という名前の由来に関しても、これまた不明。
不明、不明とまるで靴の中に小石が入っているようで、どうにも気持ちが悪い。
前にご紹介したLさんにお訊ねしたかったのが、まさにこれらの点であったことは
いうまでもありません。



「ソーリー、ソーリー」
という英語と自転車がわたしの脇を通りすぎて行きました。



道端に置かれたプランター。









まだ、ちょっと寂しいですが、これからミドリがぐんぐん伸び、その成長ぶりを
観るのがたのしみです。

この細い路地にも物干し設備がありました。



そして、ニャンコ。



このニャンコ、前にご紹介した「小喇叭胡同」で見かけたネコと同じく警戒心というものが
まったくありません。住民の方たちみんなに可愛がられている模様です。



いまは東京で活躍していて、数年前まで一緒に胡同を歩いた知人が、
「ネコが住みやすいところは、いい場所いい街」
そんな意味のことを言っていたのを思い出し、けだし名言と改めて思う。

年代物のお宅。











一番奥のお宅の玄関脇にも、たくさんの植木鉢。



春の心はそぞろ歩き。
「達圆鏡」で「円鏡に達す」。
すると森羅万象をちゃんと映し出す、ゆがみのないたいらで円い鏡になる、あるいは、そのような境地に
到達する、とその意味を考えることが出来るのかもしれません。

靴の中の小石を取り除くことができるかどうかはわかりませんが、達圆鏡胡同という地名には、ひょっと
してそんな意味があるのかな? と思い、ついでながら書いてみました。

達圆鏡胡同。
ここは、幅も狭く長さも短い路地。でも、ほんとうは底知れぬ深ーい意味を秘めた場所なのかも。

帰り際、こっくりこっくりしている二ャンコの正面写真を撮らせてもらいました。



春のうつらうつら、ニヤンコとご一緒に。



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