北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第98回 通州・蔡老胡同(その一) ちょっとだけ!! 中庭、甕、石臼、宅門の飾りなど

2016-05-27 10:25:23 | 通州・胡同散歩


今回から数回に分けて、「蔡老胡同」を紹介いたします。
今回は、この界隈の胡同を南北に走る「中街(胡同)」まで歩いてみたいと思います。
なお、この胡同は、以前に紹介しました「紫竹庵胡同」より一本南寄りにあります。
また、この胡同に関する説明は次回にまわさせていただきます。



上の写真は、通州旧城の商店街・南大街に立ち、東方向を撮ったもの。

胡同内を少し歩きますと、左に「花瓦頂」の素敵なお宅がございます。



このお宅の前にはじめて足を止めたのは、2013年の11月。「花瓦頂」が素敵だったというのが、
その主な理由でした。次の写真はその時のもの。



「こういう飾りのある家の中庭を見てみたい」とその時思ったのですが、ご覧のように
門扉が閉まっています。その後、何回となく、このお宅の前を通ったのですが、やはり
門扉は閉まった状態でした。次の写真は、今年4月のもの。






それが今年の5月某日、門扉が開かれていました。このお宅の写真一枚目がその時のもの。
そして、幸いにもこれから外出という住人の方が中から出て来ましので、稚拙な中国語で
中庭を見てよいかどうかを確認すると、笑顔とともに「いいよ」という言葉が返ってきた
のは幸いでした。



中に入り、感激しました。
よく整えられた中庭に、多くの鉢植えと素敵な木。



住んでいらっしゃる方たちの心の「形」を目の当たりにしたように感じました。

声をかけてみて、良かったです。
小さな勇気、大きな喜び。胡同歩きに伴う感想ですが、この時、改めて実感した次第です。

拝見した後、玄関前辺りから東方向。



4月に訪れた時には、電動三輪車が停まっていました。



この界隈の胡同で見かける電動三輪車も、ここ数年の間にすっかりお洒落に。
こんなところにも時代の移り変わりの反映を見ることができます。



後尾に予備タイヤ。
ルーフキャリアまで付いています。



電動車の先にある玄関。撮影はやはり4月。



玄関に「甕」。
趣があるたたずまい。



甕、中国語で「缸(gang)」。文字化けした時の場合を想定して書きますと、「缶+工」。

水を蓄えておきます“水缸(shuigang)”をはじめ、漬物用の“咸菜缸(xiancaigang)、
蓮や金魚を育てる“荷花缸(hehuagang)”、“金魚缸(jinyugang)”など多種多様です。
写真の甕の具体的使用法については、不明。

ついでに、以前北京の胡同で見かけた金魚缸の写真をアップしておきます。昨年の
7月の暑い盛り。水の中を泳ぐ数匹の金魚がいかにも涼しげでした。



場所を元に戻して、
甕の前の石畳。



石畳からこのまま上方にカメラを移動して一枚。撮影は5月。
4月の時には木はまだ裸だったのですが、ほぼひと月後には緑が。



上の玄関を出て、隣のお宅の壁を撮っていると・・・



土台のところに、なにやら気になるものが。



目を凝らしてみると、石臼の一部とおぼしき石が埋められておりました。
何のためなのでしょうか。

恐れ入ります。しばし石臼ショウにお付き合い下さい。











石臼の一部の埋められている壁の前辺りから、胡同正面。
撮影は、4月。



少し進み。



左を見ると、凄みのある木製門扉。



木製の門扉。
それは手で触れると温かい。とりわけ年季の入った門扉は、それを見る者の眼差しをどこまでも
優しく受けとめ、さまざまな思念にいざないます。



レンガ造り、石造りの住宅の中で、自然の恵みを最大限に活かした場所だと感じています。

以前見かけた私のお気に入りの木製門扉を二点ほどアップさせて頂きます。
まず、外城の「九湾胡同」で見かけたもの。



次は、内城の「万松老人塔」の敷地内に展示されていたもの。



なお、写真は挙げませんが、「北京植物園」にあります「曹雪芹記念館」の出入り口の木製の扉。
あれはわたし的には傑作になっております。ご興味のおありの方は、植物園にお出かけの際、
ぜひ、記念館にお立ち寄り下さい。


胡同歩きの続きです。
4月に訪れた時、隣のお宅の前に電動車が停まっていました。



この電動車もやはり新しいデザイン。



ご覧のように子供さんの送り迎えの時に使用するようです。

さらに進みますと、



屋根の上に、ガラスの部分の多いサンルームのような建物。
おそらく玄関部分に陽の光をより多く取り入れるための工夫だと思われます。最近、
この界隈の胡同でこのような建物をよく見かけるようになりました。先ほど紹介した
電動三輪車同様、やはり時代の移り変わりの反映といってよいと思います。

それに対して、上のお宅の前には、対照的な古いお宅がありました。



傷んだ部分もあるのですが、実に貫禄・風格のあるお宅。少し手を入れるだけで
さらに輝きを増すのではないでしょうか。

屋根を支える壁の突き出した部分・墀頭(ちとう)には彫り飾りがありました。
なお、文字化けを予想して書きますと、「ちとう」の「ち」は「土偏に犀」。



さまざまな動植物など、それぞれが縁起の良い意味を表しております。



縁起の良い植物模様の飾りのある宅門前辺りから進行方向東。



横切っているのは、中街(胡同)。
次回は、この中街(胡同)と蔡老胡同がクロスする地点から歩きます。


   
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