北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第195回 北京・小報房胡同(後) 謎の洋館と『大清郵政總局』誕生から『北京郵政博物館』閉館まで

2018-06-21 13:48:11 | 北京・胡同散策
いよいよ謎の洋館めざして出発です。

民国期に国民党憲兵19団の駐屯地であったという洋館と今は閉館されてしまった北京郵政博物館
の間の路地。





小学生が追いぬいていきました。





小報房胡同13号。



こういう年季の入った物件と出合えるとは思いもしませんでした。
得した気分。







住民の“体温”が伝わってくる木製手作りの郵便受け。
字体もおもしろい。



郵便受けを後にして、さらに進みます。




写真左手の門柱らしきものに「不通」と書かれています。

これ以上先へは行けないのかな、と思ったのですが、奥を見ると突き当たりに細い路地。





とにかく「あの路地のところまで行ってみよう」と思い、行ってみました。

う、だいじょうぶ、道がありました。






干された布団、鉢植え、電動バイク。ここを境に道が二手に分かれています。
奥の道から歩いてみることにしました。











奥に見える布団をくぐると、足元に犬かネコの足跡。



そうして、見上げると、ありました洋館が。



「やったぁ」。
そんな感激の言葉を心の中でつぶやいたものの、ここからでは洋館にこれ以上近づくことが
できません。そこで、取り急ぎもとに戻って、もう一本の道を行ってみることに。



急いだため、途中写真を撮り忘れてしまったのはうかつでした。



とうとうやりました。突き当りを左折すると、洋館の玄関。



なぜか緊張気味。恐る恐る近づいてみました。



傷んではいるものの、貫禄十分な洋風玄関です。



この建物、もとはどのように使用されていたのか不明。
玄関の周りには平屋住宅がひろがっていますが、それら平屋住宅の場所は、もともとはこの
洋館附属の庭ではなかったのかと勝手に想像している次第です。



外壁のタイルを見ると、貼りかえられてそれほど長い年月は経っていないようです。
その辺りからの推測ですが、この建物は今後も取り壊されることなく、無事に保存され、
蘇るときがいつかやって来るのでは。



空調の室外機など、それほど時間が経っていないものもあり、今もどなたか住んでいらっ
しゃるのかな、と思ったのですが、洗濯物を取り込んでいらっしゃった方にお訊ねしてみ
ると、今は誰も住んではいないとのことでした。



いったい内部はどうなっているのか、中に入ってみたい、そんな疑問や気持ちももちろん
あったのですが、玄関の中に一歩足を踏み入れると、外とはまったく違う静けさ、その上、
流れているのは、ひーんやりとした空気。

・・・・・これ以上進むのは、またの機会に譲ることにして、再び21号の前へ。

下の写真は、21号の前から西方向を撮ったもの。



写真奥を横切るのは崇文門内大街。




これは、胡同の西出入口から東方向を撮ったもので、正面奥に小報房胡同7号「大清郵政總局」
の旧跡(後に北京郵政博物館)が写っています。

次に、不備な点や不確かな点があるとは思いますが、「大清郵政總局」設立から「北京郵政博
物館」閉館までの流れをとりあえず駆け足で追いかけてみました。ご興味をお持ちの方はご笑
覧ください。(参考:王彬・徐秀珊主編『北京地名典』修訂版、中国オンライン百科『360百科』)

〇光緒二十三年(1897)二月二十日、大清郵政總局設立される。場所は、旧使館区東交民巷
 台基廠にあった海関総税務司署の廟内。
〇光緒三十一年(1905)、小報房胡同に總局移る。
〇光緒三十三年(1907)、總局が東長安街に移る。小報房胡同の郵局は、東単牌楼支局となる。
〇民国三年(1914)、東単牌楼支局、北京第一郵務支局となる。
〇民国十九年(1920)、北京第一郵務支局が崇文門大街支局となる。
〇新中国成立後、郵政支局、郵電部などが置かれる。名称は崇文門大街支局のまま。
〇1995年、民居となる。
〇1996年、北京郵政博物館となり、翌97年2月19日に開館。東城区文物保護単位となる。
〇2002年7月15日、閉館される。

なお、たまたま見つけた中国網の記事によって、この博物館が奇妙にも2009年11月に取り壊され
ていることを知りました。この点については前回ご紹介した中国人ブロガー老土坷垃さんの記事
(《看照片讲故事》系列之“话说小报房胡同”(一))でも触れられています。

『北京市東城区文保単位大清郵政局未批先被拆』中国網(2009年11月27日)
新闻">news.china.com.cn>新闻

東城区の文物保護単位であったものが取り壊されてしまう不可解さ。
北京の胡同を歩いているとこういう不可解さに出っくわしてしまうのも胡同散策の醍醐味のひとつ、
なんて間違ってもそんな風には思いたくありませんよね。


 
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