北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第25回 熊家胡同1 ・岩本公夫さんの本のことなど

2015-04-13 16:33:20 | 通州・胡同散歩
朝晩はもちろんのこと、終日まだ寒い日もあるが北京はすでに春を迎えている。
道行く人の装いも厚手のものから心持ち軽快なものへと変わり、沿道や公園、アパートの庭などには、
桃や木蓮、ライラック、海棠、そして桜などが競うように咲き乱れ、人々の目を楽しませてくれている。

そして「清明節」。
「清明」は二十四節気の一つ。「春分」の次に位置している。今年は4月5日だった。先祖の墓参りなどを
する日。その「清明」をはさんで、4,5,6日の三日間が連休。

元の呉澄という人の『月令七十二候集解』という本では「清明」のことを
 「万物ここに至りて皆潔斎にして清明なり」
と書かれているそうだ。
この「清明節」。いかにも春という季節にふさわしい年中行事の一つである。

そこで、そんな季節にふさわしい胡同写真をと考えていたのだが、計画倒れになってしまった。

本日から数回に分けてご紹介する「熊家胡同」の写真は冬の真っさい中の1月14日に撮ったものがメインとなるが、
時に以前に撮った画像やこれから撮るであろう写真なども織り交ぜてご紹介したい。


次の写真は、熊家胡同の西側の出入り口。私が立っているのは、旧通州城のメイン通り「南大街」だ。




次は2013年の10月10日に撮ったもの。左側に「緑」が見えるが、「緑」の有無によって胡同の表情がだいぶ
違ってくるようだ。



「緑」という言葉から思い出したことを忘れてしまう前に書きとめておきたい。

胡同関係の本を読むと、そのほとんどが胡同の壁を「灰色(またはカタカナでグレー)」と書いてあるようだ。
たしかに「灰色」であることに間違いはないのだが、「灰色」と言っても私の目に映じる胡同の壁の色は、
底光りのある青味がかった灰色である。ひとくちに灰色と言ってもいろいろあることを考えてみる必要がある
のでは、と思う。私の目がおかしいと言われればそれまでだが・・・(^^)


プレート。



ずいぶん年季の入ったものだが、侮ってはいけない、その理由は秘密だが。
欲を言えばこれ、琺瑯びきのものだったらなぁーなんて、思ってしまう。


少し進んで、正面。




左の家。




さらに進んで、正面。




左の家。




上の家の正面の壁。




さらに進み、やはり正面。




左側の家の壁の、子供の落書き。その1。




子供の落書き、その2。




落書きのある家の壁と玄関。




玄関に接近。




正面。


三輪車が置いてあり、玄関の下を写すことができなかった。


門墩(mendun)。玄関正面に向かって右側。




玄関正面に向かって左側。




次の写真は日を改め1月22日に撮ったもの。この時は幸いにも玄関前になにもなかった。



この門墩(mendun)、太鼓のような形をした部分が、この界隈で見かける同形のものよりやや小振りだが、太鼓の
部分に厚みがあり、全体的に張りのようなものが感じられる。小さいながら力強さのこもった一品だ。

以前にもご紹介したが、岩本公夫さんの『北京門墩』(「門」は簡体字、「墩」は石偏。北京語言文化大学出版社)
によれば、「門墩(mendun)」は、獅子型・抱鼓型・箱型・柱型・特殊型の五つに分類できるようだ。

この分類に従えば写真のものは「抱鼓型」ということになる。

なお、同書で著者は一つの仮説として、「抱鼓型」の門墩の置かれている家の主人の身分を「武官」、「箱型」の
それが置かれている家の主人の身分を「文官」と書き、次のように推測していらっしゃるのは興味深い。

 「鼓は武官に必要な軍用の太鼓・箱は文官に必要な文箱・彫飾の無い箱は時の政権に貢献し朝廷から頂いた勲章
  か賞状を入れた箱ではないでしょうか?」

ちなみに、当ブログでも何回となくご紹介した門墩(mendun)にも当てはまることだが、門墩の上の動物の頭や周囲に
施されていた彫り飾りなどが削りとられ、そのいたましい姿を目にすることがある。
やはり同書によれば、これは文化大革命時に門墩が「四旧」の一つであったからだそうだ。
門墩はこの国の歴史を背負って今なお胡同に息づく時代の証言者のようなものだ。



次の写真は上に見た門墩のある家の壁の前から進行方向を写したもので、数枚前にアップした写真と同一のものである。



向かって右側の壁に横長の何か書かれた看板のようなものがかかっている。
これは次の写真でも分るように2013年10月にここを訪れた時にはなかった。



なんだろう。


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