気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

つくしと「田道間守」

2017-03-22 14:35:00 | 散策
先週の土曜日の夕方、奈良・唐招提寺の西北にある歴史の道
垂仁天皇陵の脇を通り、歩いておりますと、柵の向こうに
土筆(つくし)が。日当たりのよい南側の土手ですから
先っぽがほころびており、池面に映り込む御陵の杜も。
でもカワウが餌を探して潜っては、掻き消します。
御陵(みささぎ)に昔も今も土筆たつ
              愚句
 
また、江戸中期の俳人、黒柳召波もこんな句を
つくづくしほうけては日の影ほそし
  
土筆は江戸時代の古句には「つくづくし」と詠んだものが多く、
「つくしんぼ」「筆の花」とも詠まれ、こんな季語も
「土筆野」「土筆摘む」「土筆和(つくしあえ)」。
土筆摘みは、昨年も3月下旬でしたから、今年も頑張って
採ってこなくてはなりませんね。
昨年作った土筆の干菓子、残りもあと少しですが、
 
昨日の立礼でもお出ししております。
 
そういえば、御菓子で思い出したこと・・・
土筆があがった垂仁天皇陵、
周囲を水濠に囲まれた全長227mの大型前方後円墳ですが、

お濠の南東に小島が浮かんでいます。

この島は菓子と縁のある方「田道間守」のお墓とも。
伝説は、帰化人の田道間守は垂仁天皇のために不老不死の果物
”ときじくのかぐのこのみ”(非時香具菓、今の橘)を探す命を、
受け、9年間中国南部からインド方面を探し回り、持ち帰りしも、
天皇はすでに崩御されており、墓前で殉死の道を選ばれた。
そのことを哀れんで、そばの小島に葬られたと伝えられている。
古代の菓子が「果物」の意味もあるところから
菓子神・菓祖とする信仰が兵庫の中嶋神社にあり、
全国各地に分社され、京都の吉田神社もその一つです。
でも
奈良でお菓子の神社といえば『漢国神社(かんごうじんじゃ)』の
境内の『林神社』なんです。
日本で初めてまんじゅうをつくられた林浄因がお祀りされており、
林浄因の命日・4月19日には毎年、恒例の「まんじゅう祭り」も
執り行われ、全国から菓子業者があつまり銘菓が奉納されます。

美味しいものを頂けるのは、先人の知恵の塊、
本当にありがたいものですね。感謝!