気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

高坊という茶室が、中将姫伝説のならまちの高林寺に

2018-11-30 14:12:03 | 散策
三連休の中日、秋真っ盛りの24日(土)に、奈良市音声館で劇団
「良弁杉」の二十五年ぶりの新作の『麦わら一本嫁とり話』の
プレ公演11時の部に出かけました。道が混むといけませんから
早めに出ると10時には到着。

早く着き過ぎ時間までどうすると、相方に問うと、
近くに中将姫伝説の地が三か所もあるのだとかで訪れようと。
このあたりは鳴川町といい、平城京の外京6坊大路で藤原氏の祖
・鎌足の曾孫で、「中将姫」の父でもある「藤原豊成」の邸宅跡
と伝承される一画になり、この上つ道(伊勢街道)を50mほど
南へ向かうと融通念仏宗「徳融寺」があり、1677年に高林寺
から移された藤原豊成公と中将姫、父子の墓がひっそりと。
寄せ集めて造られた石造宝篋印塔(鎌倉時代)になり、
中将姫にまつわる歌舞伎の演目を演じられる時、参られた
歌舞伎役者のお名前も二つ・・・。
豊成公  中将姫

なお本堂の御本尊は北条政子の念持仏とされる阿弥陀如来立像と
観音堂の聖母像のように子供を抱かれた「子安観音像」も必見に。
子安観音像

続いて100m程南へ、左側の空き地に中将姫誕生霊地の石碑が・・


堅く閉じられた門は浄土宗「誕生寺」で境内の井戸は産湯を使わ
れたとの言い伝えが・・・。4月13日・14日には開帳が


その手前に小さな北向きのお堂が佇み、「北向庚申堂」と・・・
厨子内に二童子を従えた六臂の青面金剛童子が収められ、
足許に三猿が座り、さらに薬師如来・弘法大師像も。

これより次の角を曲り東上すると100m程で細長いお寺の境内に
廻り込むと山門で、尼寺の『高林寺・高坊旧跡』と
『中将姫修道霊場、豊成卿古墳之地』の二つの石碑が
中将姫は、後に当麻寺で出家し一夜で当麻曼荼羅を織り上げたと
いう中将姫伝説の地の一つに。
 
またこんな逸話が『奈良坊目拙解』巻弐37に記されています。
1560年頃、松永久秀が奈良「多聞山城」を築く際、建材として
徳融寺に移された豊成公・中将姫の石塔を徴収しようとされたが
高林寺在住の連歌師、心前法師が「曳のこす花や秋さく石の竹
の発句を贈ると”抜かずに残したセキチクが秋に花を咲かせる”
との意味を久永が悟られ残ったとの逸話に。
奈良坊目拙解

門前の案内板には、近年になり茶室「高坊」が建てられ、さらに
藤原豊成の古墳があり、元興寺塔頭「高坊」として守られてきた
が、安土桃山時代に「高坊一族」または「北の端」と称する茶人
・連歌師・医師の竹田一族らの数寄者が住みつき、茶道・連歌塔
を大いに興隆し奈良南の下町町民文化の一大中心地であった。
北の端宗棟(そうとう)‣里村紹巴(じょうは)‣高坊心前(しんぜん)
らが住し、 心前は堺の津田宗久に招かれて「天王寺屋会記」に
名を残し、「松屋会記」や北野大茶会にも奈良茶人三十六人衆の
一人として参加している。
クリックで拡大 
奈良茶文化のもう一つの聖地になるのでしょうか
調べて、一度訪問したい茶室になりますね。

奈良市音声館まで戻らねばなりません。
孫の演技???、良かったです。でもまた大きくなったのかな。

劇団「良弁杉」の次回の公演は、
12月16日 東大寺開祖「良弁僧正」開山忌奉納公演
               東大寺二月堂参籠者所(無料)
クリックで拡大

霜月のしつらえpart3「開門落葉多」

2018-11-27 19:28:22 | お稽古
小雪頃より冬が遅ればせながら来たかと思えば、今日の気温は
午後2時前には20℃越え、ポカポカ陽気、明日は朝から雨で、
一日だけの寒さに。その後一週間は高めの気温が続くらしい。

玄関のしつらえは龍田川のもみじですね。


そして床の軸は『開門落葉多
      小林太玄 紫野大徳寺黄梅院住職書
 

全唐詩の「聴雨寒更我盡 開門落葉多」
読み)雨を聴いて寒更(かんこう)尽き、門を開けば落葉多し

唐代の詩僧無可削上人の「秋に従兄の賈島(かとう)に寄す」
と題した詩の中の句になり、
大燈国師や白隠慧鶴が引用されたとして有名です。

意は)雨音を聞いている間に夜が明けたので
   門を開けてみると一面に枯葉が落ちていた。
*雨音は枯葉が軒先を叩く音だったという幽寂な閑居の風情
 身も心も脱落した爽快な風光で平等一如の真理を提示する。

明日の雨で・・・風情がありますね。


大和文華館「四季探訪 研ぎ澄まされる四季絵の伝統」展

2018-11-23 17:47:18 | 大和文華館
温かな秋が昨日は小雪の訪れで終わりを告げ、冬将軍が到来。
昨夜から東北地方にも初雪の便りが・・・、
そして奈良も今朝の最低気温は4.9℃と二度目の5℃以下ですが、
吹く風は一段と突き刺さるような寒さで冬到来ですね。
小雪や古りしだれたる糸桜」飯田蛇笏

糸桜ではないが、三春の瀧桜も葉を落として
寒そうな大和文華館を雨上がりの日に訪問

季節感が希薄になった現代、手紙では時候の挨拶から始まります。
この季節を愛おしむ感性は、日本人からは失われていない証しで、
開催中の『四季探訪 研ぎ澄まされる四季絵の伝統』展では、
平安時代、絵画において自然の風景に行事や祭礼などを織り込む
「四季絵」が登場し、屏風や襖などに和歌と共に描かれていたが、
現在はほぼ失われている。和歌だけは記録として残されており、
江戸時代に至り、再びこの時代ならではの感性で屏風、軸や扇面
等に描かれ、当館所蔵作品で四季を愉しむ展示内容に。


金銀をふんだんに使った紙(料紙)を用いたのは、今までで
平安後期の金箔・銀箔を散らす料紙と、江戸時代前期の1606年
~1615年の間、金泥銀泥で描いた二回だけだそうです。

国宝、重要文化財各1作品を含む25作品が五部構成で展示され、
展示室内に入ると照明は一段と暗く、いつも通り左中右と三作品、
20.観世流謡本 藍染川:観世身愛 奥書 紙本金銀泥墨書 桃山時代 
山は暮れて野は黄昏の薄かな』与謝蕪村

19.新古今和歌色紙: 本阿弥光悦筆1606年 新古今 難波の歌
        紙本金銀泥墨書 桃山時代
忘れじな 難波の秋の 夜半の空 こと浦に澄む 月は見るとも
宣秋門院丹後
  俵屋宗達が金泥銀泥で桔梗と下草を描き、光悦が和歌を書写
  桃山文化の美意識が洗われている。
新古今和歌色紙

22.武蔵野隅田川図乱箱:尾形乾山1743年 木製墨画着色 重文
  81歳の乾山亡くなる直前、落款の上にも薄が描かれ葉陰から・


Ⅰ.【春の花を愛でる
1.「寝覚物語絵巻」 紙本着色 平安後期12世紀 国宝
  ほぼすべての展示されており、不倫で生まれた子が不倫の恋を
  よく判らない物語で、作者は源氏物語に憧れて書かれたと。
 第一段(春):右端近くに櫻と柳がセットで描かれ、室内は簾等
  で暗いなか、一度亡くなったが生き帰った女性を見つめる男


 第二段(夏):松に絡みつく藤の木に花が咲いており、


 第三段(秋);梅の実が落ちる


 第四段(冬):絵が切れている


2.花卉図扇面:紙本着色 江戸前期、;狩野派の工房作で

4.桜図:俵屋宗達筆 紙本墨画 江戸前期;夜の桜、影の桜と
6.春柳図:尾形乾山 1739年 紙本墨画
『つゆけさも ・・・ 春のおもかげ 』三条実隆???忘れました
  乾山77歳、柳の老木が芽吹く姿、まだまだつやっぽいですね。


Ⅱ.【ふたつの季節を味わう
8.伊勢物語図屏風 八橋・布引図 江戸中期 紙本金地着色
9.春秋鷹狩茸狩図屏風:岡田為恭筆 紙本着色 江戸後期
  左右を水で繋いでおり、青の色が良い岩絵の具なのでしょう
  空が絵になる西洋画を研究し、遠近法的な構図になっている。
  右隻は鷹狩:
鷹狩一部
  左隻は茸狩:顔の表情がなんとも近代的
茸狩一部
 
Ⅲ.【夏の光のなかで】
10.草花図屏風:伊年印 江戸前期 紙本金地着色
  金箔をはりその上にトウモロコシが描かれている
11.瓶花図:酒井抱一筆 1815年江戸後期 絹本着色
 

13.神奈川風景図:谷文晁 1802年江戸後期 絹本着色
  対岸を細かな描写、家の輪郭は太く、船は霞んで揺れている
14.海浜漁夫図:司馬江漢筆 1799年 絹本墨画彩色
  庶民的な絵が

Ⅳ.【四季をそろえて】
16.稲富流鉄砲伝書 19帖 1612年 桃山時代
   殆ど開かれていないため銀色がきれいに残っている。
   今後公開されれば色が黒くなるのが欠点ですね。
17.四季花鳥図押絵貼屏風:渡辺始興筆 江戸中期 紙本着色
表一部 裏一部

18.四季山水図屏風:丸山応挙 1787年 紙本墨画淡彩
  冬は雪稜の鋭さ、秋は月の光 夏は梅雨、春は海辺の風景

Ⅴ.【秋から冬へ】
19.20.22.は始めを参照してください
21.僧正遍昭落馬図:英一蝶 江戸中期 紙本着色
  女郎花に気を取られて落馬する高僧のあられもない姿が
『秋きぬと 合点させたる 嚔(くさめ)かな』与謝蕪村
もと歌は、古今和歌集 秋歌上169 藤原敏行
『秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる』


屏風絵等の楽しさを教えて頂いたのは学芸部長・泉万理さんで、
12月2日、午後2時より日曜日術講座の講演をされ、
12月9日は、あの冷泉家25代当主の冷泉為人先生の講演も予定に。

ミホ・ミュージアム "百(もも)の手すさび 近代の茶杓と数寄者往来"

2018-11-18 09:37:36 | 美術館・博物館
紅葉情報も真っ盛りとなってきましたね。
先日伺ったのは『ミホ・ミュージアムMIHO MUSEUM
いつも通り素晴らしいロケ-ション、紅葉も楽しめました。


百(もも)の手すさび-近代の茶杓と数寄者往来
この秋季特別展Ⅱは12月2日(日)まで
ところで『手すさび 』って何?
暇つぶし、気晴らしなどの目的で行われる他愛もないことの総称
手すさみ、手慰みとありました。
茶杓とは
古くは茶事・茶会のたびに作ることがなされており、
そのため保存しておく習慣がなく、
古い時代のものはあまり残されてはいないと言うことです。
又、茶杓には、露、櫂先、茶溜まり、節、節、追取、切止と
名所がありそのすべてを備えているのが茶杓であり、
一点でも欠けているものは、
竹べらでしかないということですので・・・

それでもひとかけらの竹でできた茶杓は、
今ではお茶の世界では大変尊ばれており、
茶杓は茶道具の中で、
もっとも人間味をおびているものだとも言われますが、
それはどうしてでしょう。
HPより

茶杓には作った人の心が入っているということになるのでは?
百本以上の茶杓が並んでおりましたが、
遠くに見ればシンプルな竹のさじでありますが
よく見れば、それぞれ人の顔が違うように
どれ一つ同じものがありませんでした
削り手の心を写しその手のぬくもりが伝わってくるものが茶杓
茶人、数寄者の方々の手遊びによりつくられ、銘がつけられ、
それぞれの茶事に使われます。
お道具の中でもしっかり握りしめる茶杓は、
先人の温もりに最も近い道具として、大変魅力的ですね。

大切なのか茶杓の筒で、
茶杓が20%、筒は80%の価値であると言っておられ、
やはり誰が作り、どのような銘かが、一番大切と。

お稽古でその日その時の銘をつけ楽しんでおりますが、
お茶の心を勉強する上で、
一番大切なお稽古であるのではと思えてきました。


展示を紹介します。
・近代以前の茶杓 贈り筒を中心に        6点
No.1の茶杓 千利休「タゝイヘ様参」北村美術館
  一番見たかったのが前期のみの展示で残念、
「黒田正玄の茶杓の見かた」淡交社、p47見ておりますが…
北村美術館へ行かなくてはなりませんね。

  2.茶杓 千利休「川道喜」
  

・益田鈍翁 近代数寄者の大立者         31点
  No.33茶杓 鈍翁「年暮」1938年
  

  No.38茶杓 鈍翁「久世」ゆがみが銘とベストマッチ
  

・鈍翁を取り巻く関東・中京の数寄者による茶杓  44点
  No.65茶杓 高橋箒庵「雲龍」
  

・女性よる茶杓                 9点
  No.104茶杓 上村松園「蜻蛉」
  

・関西における数寄者の茶杓           36点
  No.109茶杓 村山玄庵「如意」 
  No.112小井戸茶碗「六地蔵」泉屋博古館分館
  

・文化人の茶杓                 29点
  No.147茶杓 谷崎潤一郎「細雪」逸翁美術館
    

・特集:心を映す                6点
  No.182陶製茶杓 金重陶陽
 
・茶杓とは                   6点
  No.184象牙二本入茶杓 千宗旦「そうけ」
    言葉が出ませんでした。

頭の中が整理できておらず、さきほどの黒田正玄「茶杓の見かた」
読みながら時間がかかりますね。

炉を開き初めての盆点

2018-11-14 21:54:32 | お稽古

開炉のお稽古は、「開炉おめでとうございます」から始まり
ご挨拶の後は、開炉の印の善哉でお祝いいたします。


皆さんに「美味しいです」「絶品です」なんて言っていただくと
ほくそ笑む私でございます。
善哉をいただいた後、今回は盆点のお稽古に。
前回は、風炉でのお稽古でしたので・・・
どうしても調子が狂い、まだまだ風炉バ-ジョンの体です。
さあさあ、炉モ-ドに切り替えて気を引き締めて
お稽古いたしましょう。


真の真の帛紗捌き、真の行の帛紗捌き、
唐物茶入れの清め方、盆の清め方、真の茶杓の清め方、
段々「盆点て」もできるようになられてきました。


嬉しい限り。

今年の炉開きは11月6日立冬前日

2018-11-10 19:42:30 | お稽古

今年の旧暦10月最初の亥の日は11月15日に当たり、また11月最初の亥の日は3日です。
ご宗家では10月29日が炉開きだそうです。
我が家は、今年は、立冬前日の6日が最初の炉開きとなりました。
72候では山茶始開(つばきはじめてひらく)頃です。

今日のお稽古は、まず初炭をして、開炉の印にお善哉をいただき
今年も無事に茶人の正月を迎えることができました事に感謝し
その後、運びで薄茶点前のお稽古をいたしました

この日の花は、椿がほしいですよね
庭では、西王母のピンクだけが、10月末から先始め
なんとか炉開きに椿を入れることができました。

霜月のしつらえは

2018-11-02 21:05:31 | お稽古
霜月に入り奈良も一段と寒く、今朝はこの秋の最低気温の6.8℃
この寒さで色づき始めた紅葉も一段と深まり、週末も秋晴れと
の予報、平成最後の『第70回正倉院展』にお出で頂ければ・・・

霜月の玄関は色紙は『江月照松風吹
充実茶掛けの禅語辞典(淡交社)によれば、
証道歌」より、江月照松風吹 永夜清宵何所 と続く。

読み)江月(こうげつ)照らし松風(しょうふう)吹く
   永夜(えいや)の清宵(せいしょう)、何の為(な)す所ぞ。
意訳)広い川の上に照り輝く明月、松の梢に吹き来る清風
   この夜の妙景はいったい何のために目の前に展開されて
   いるのだろうか。
   何の計らいもない大自然の営みに対する純粋な感動。
 

床の軸は、
大徳寺496世 好清紹因(こうせいじょういん、~1937年)さん
 

賛は「寒山詩」のとくに有名な詩の一節
吾心似秋月    吾が心秋月に似たり
碧潭清皎潔   碧潭(へきたん)清くして皎潔(こうけつ)たり
無物堪比倫   物の比倫(ひりん)に堪えたるは無し
教我如何説   我をして如何(いかん)が説かしめん

訳)私の心は、秋の夜空に輝く明月が
  澄みきった緑深い縁の底まで照らしながら
  明るく清らかに輝くのに似ている
  私の心の清らかさにたとえられるものはない
  私はそれをどう説明したらいいのだろう 

  一転の曇りもなく澄み切った心の本性
  仏性の純粋さを秋の清らかな月の光にたとえている。
      (充実茶掛けの禅語辞典より)

今日2日の月齢は24.0、23日の勤労感謝の日は15.4で満月に。