のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2006年6月:歌舞伎座夜の部

2006-06-10 16:49:20 | 書いたぞ: 感想書きました~
先週平日の夜に行ってまいりました。
「暗闇の丑松」は残念ながら仕事の都合によりパス。
ネットのあちこちで好演と出てる高麗蔵さん 宗之助さん
秀太郎さんの場面は見たかったんですが、来月のためにも
今月はちゃんと仕事しとこうかな~と(^_^;)

もしかしたら、最後くらいに間に合う?と思って
会社終わって速攻ダッシュしたんですが、劇場ついたら、
スピーカーから定式幕が閉まる音が(^_^;) 

というわけで、「身替座禅」から観劇です。


◆観劇位置
3階正面

◆構成
・暗闇の丑松 2時間弱
  休憩:30分
・身替座禅  1時間弱
  休憩:15分
・二人夕霧  1時間強
※終演:9時ジャストくらい




◆身替座禅
■演目について
岡村柿紅さんが6代目の菊五郎さんのために書き下ろした舞踊狂言のひとつです。
元ネタは狂言の「花子」。
この狂言の「花子」って、あんまり聞いたことないんですよね。
なんでも”秘曲”なんだそうです。

歌舞伎のこの「身替座禅」がこれだけ面白いんだから、
狂言の方もかなり面白いんじゃないか と思うんですが。
この狂言の「花子」と歌舞伎の「身替座禅」については
↓こちらの吉之助さんのHPに考察がでてました。

 歌舞伎講釈
 http://www5b.biglobe.ne.jp/~kabusk/index.htm
 →作品研究→「もうひとつの「身替座禅」」

菊五郎さんの右京に仁左さんの山の神。
この組み合わせはおととしだったかな?の
南座の顔見世でやってるのの録画を確かその年の年末に
テレビでみた覚えが。

ちなみに歌舞伎座でこの組み合わせは 初めてだそうです。

そうだ、たしか同じ月(12月)に今の勘三郎さんの勘九郎さん最終公演が
歌舞伎座であって、そこでも、勘三郎さんの右京と三津五郎さんの山の神で
やってたんじゃなかったかな、この演目。

とにかく、観て楽しい、終わって楽しい演目です。
好きだな~ こういうの♪


■人物関係:
山の神の尻の下だから山蔭?右京(菊五郎さん)
主人はどちら?山蔭家従者の太郎冠者(翫雀さん)
こちらは主人は奥方:侍女小枝 (梅枝さん)
小枝よりも大人な感じの侍女千枝 (松也)
山の神の後光が山蔭を作る?:奥方玉の井(仁左衛門さん)


■のたりの眼
菊五郎さんの右京さんは、もうお手のもの。
ほんと、恐妻家の役が上手いですねぇ 菊五郎さんは。(^_^;)

花子の元から帰路、花道での演技が長いです。
うー 観たいよぉ~(T_T)

この時、行きにはつけてなかった小袖?を着てますが
酔ってほの赤くなった顔が、この黒地に桜の小袖に映えて
艶っぽい♪

太郎冠者(入れ替わってるので実は奥方(^_^;)に花子との逢瀬を
聞かせるところの 花子と右京の二役は、さすが兼ねる役者さん。
うまいな~。

関係ないんですが、右京さんというとついドラマの「相棒」を
思い出してしまう(^_^;)

仁左さんは、なぜかパッと見、大河ドラマの山内一豊の妻:千代を
思い出しちゃうんですが・・・なんでかな~(^_^;)
大柄な仁左さんですが、太郎冠者の身替りを知った時、
怒りでプルプル震えるところは、 とてもかわいらしい奥さんに感じました。

旦那を心配してオロオロするところもかわいいんですが、なぜか、それよりも
この場面の方が「かわいらしい」と感じられたんです。
人間味を感じさせたのかな~。

あと、仁左さん、手も大きいんですが、私が気がついた限りでは、
いつも指先がきちんとそろってて、ちゃんと女形の手になってるように
感じました。さすがです、仁左さん!

・太郎冠者は翫雀さん
藤十郎さんなしで 菊五郎さんと翫雀さんという取り合わせは、
なんかめずらしいなと思いました。

翫雀さんは、大抵、藤十郎さんと一緒で、周りも上方の役者さんが
多い舞台 というイメージが私の中にできてたみたいです。(^_^;)

そのせいか、なんか菊五郎さんたちと発声の仕方が違う・・・
と言えばいいのかな、なーんとなく なじみがない感じが
ちょっとしました。
うまいことは うまいと思うんですが 太郎冠者。

・千枝と小枝
松也さんの千枝は なんとなく大人っぽく 艶気もある腰元。
しかしな~ 松也さん、あの格好で「女です」といったら
なんか通用しそう(^_^;)

梅枝さんの小枝は まだなんとなく硬さの残るお年頃な感じ。
でも、こちらも美人でした♪
そういえば梅枝さん、後半声がちょっとつらそうでした。
大丈夫かな。

・上手の常磐津と後半、松羽目とっぱらって登場の長唄さんと
お囃子連中の掛け合い。
鼓は望月朴清さん。長唄は多分、鳥羽屋里長さん
おー 人間国宝コンビ~

【6/10:訂正】すみませーんっ 大嘘でしたーっ
長唄は杵屋巳紗鳳さんでしたーっ
・・・今、写真みててふと思ったんですが、巳紗鳳さんって、
三津五郎さんにちょっと似てらっしゃるかも♪


・菊五郎さんの後見は、菊史郎さんかな?
菊市郎さん、いなかったなぁ・・・(T_T)

■花道度:
花子のもとに向かう右京さんの引っ込みと
花子のもとからの帰り道の出のみ。
それでなんで【高】なのかというと、
単に、私が 右京さんの帰り道をじっくり見たかったんです~(>_<)

◆二人夕霧
■演目について
昨年あたりから続く? 梅玉さんの「上方歌舞伎挑戦」シリーズの1本
といえる作品。

お話としては、「廓文章」(吉田屋)の続き。というか、パロディ。
「廓文章」も元は、近松門左衛門作の「傾城阿波の鳴門」
の上巻を改変したものだそうです。

今年1月に坂田藤十郎さんの襲名でやった「夕霧名残の正月」では
夕霧さんは幽霊でしたが、こちらは死んだと見せかけて
実は生きてた という設定です。


■役者さん
大店 藤屋の勘当息子:伊左衛門(梅玉さん)
今の伊左衛門の奥さん:後の夕霧 (時蔵さん)
傾城買指南所の数少ない弟子その1:いや風 (翫雀)
弟子その2:小れん(門之助)
弟子その3:てんれつ(松江)
借金取りの三つ物屋四九兵衛(團蔵♪)
先の夕霧を抱えてた吉田屋女房:おきさ(東蔵)
ひたすら隠れてた先の夕霧(魁春)

■あらすじもどき
夕霧が死んだ後、二代目夕霧(後の夕霧)と結婚した伊左衛門は、
傾城の衣装のまま、お米を研いだり買い物に出かけたりする夕霧と
二人暮らし。
自宅で生計の糧に「傾城買指南所」なんてのを開いております。
しかし、それとてたいした実入りにはならず、伊左衛門さんちは
火の車。
今日も 数少ないお弟子さんが来たところに借金取りがやってきて
借金のかたに家財道具をもって行ってしまいます。

そこに訪れたのは 吉田屋のおかみ:おきささん。
二人で亡くなった夕霧(先の夕霧)を偲んでたら、なんとそこに訪れたのは
当の先の夕霧。

実は先の夕霧は お大尽に身請けされるのがいやで、死んだことにして
身を隠していたとか。
(それで、どうして、今まで伊左衛門に連絡のひとつもしないかな~<(ーー;))

そこに 買い物から後の夕霧も帰ってきて なぜかみんなで踊りまくり。
間におきささんが入って ようやく収まりかけたところに
大勢で乱入してきたのは、伊左衛門の妹に弟子のふりして紛れ込んでた
伊左衛門の実家の新入り手代以下、奉公人。

「おめでとうございます 若旦那」と お袋様の怒りがとけ、
伊左衛門は はれてボンボンに復帰。
ポン、ともってきた3千両で 小判撒きをして
(ちっとも学習してないですね、この人は(^_^;) 
「藤屋の若旦那だ。女房が二人いても問題ない 問題ない」
(ちょっとまて、どこか問題ないんだ、おい<(ーー;)
と 新品の紋付?羽織をひっかけ、両手には傾城の打ちかけを
羽織った二人の夕霧を従え めでたしめでたしの大団円となります。

■のたりの目
梅玉さんは、上方言葉になると、声量が落ちるのか、
なんかセリフが聞き取りにくくなるような気がします。

しかし、今回も含めて昨年からなんとなく梅玉さんの「上方モノへ挑戦」
が続いてるような気がしますね。なんでかな?

時蔵さんの後の夕霧は、きれいだし、傾城姿でお米を研いだり
とお茶目な人さは 時蔵さんナイス♪なんですが、額の紫布巾?
が 個人的に なんかいまいちで。

・先の夕霧の魁春さんは、ちょっと地味な印象。
どうしても傾城フル装備の時蔵さんと比べてしまうからかな~。
それに、魁春さんの登場あたりから爆睡モードで・・・(ーー;)

・お弟子三羽烏は 松江さん 翫雀さん 門之助さん
私、この配役と役名見たとき、なんでか、芸者風の女形の役だと
思い込んでいたんで、松江さんの第一声を聞いた時、
「そうか、松江さんって、立ち役だ!そうか、この3人は男か!」
と はっと気がつきました。(^_^;)

翫雀さんは 紫縮緬?の衣装におしろいがいっぱいついちゃってるのが
ちょっと目立ってしまってました。(^_^;) まぁ、仕方ないかな~

門之助さんの口三味線、うーん、「ドン!」がやたらとデカイんですが(^_^;)
そもそも「ドン!」は 三味線?(^_^;)鼓なのかな。

ところでこのお弟子三羽烏は 実は伊左衛門さんちの新入り手代だった
 ということなんですが、でも、この3人、團蔵さんの借金取りが
やってきて、伊左衛門さん身包みはがれそうになった時、
とっとと逃げてたような・・・ いいのか、若旦那見捨てて逃げて(^_^;)

・白眉はやっぱり團蔵さん♪♪
今回は老けでもなく、ものすごい悪役でもなく 程よい素顔と愛嬌で♪
最後は花道を上方大尽風にひっこみ。

「身替座禅」といい、今月の夜の部は1階席にするべきだったか~っっ(>_<)

と思ったくらい、見たかった。この引っ込み。
この花道の舞台写真、でるといいな~

東蔵さんの吉田屋女房は なんとも粋。
伊左衛門さんと連れびきするのに 後ろ向きで、伊左衛門さんに
斜めにしなだれかかるように座ってたとこなんて特に粋でした♪


・イヤホンガイドは 観翁さん
でも、観翁さん、最後の展開はなんかあきれてました~(^_^;)

・全体に、ご贔屓の役者さんが色々でてましたし、見所は
結構あったんだと思いますが、先の夕霧が出てきてからの
踊れや踊れが なんとも長い(^_^;)

といっても私はその間、ほぼ爆睡してたんですが、
ハッと意識が戻った時、「もしかして、私の意識が切れる前から
ずーっと踊ってた?(^_^;)」と思ったくらいです。

結構長いこと踊り続けてたと思われる梅玉さん 時蔵さん 魁春さん
お疲れさまです。
そして、同じく、おそらく語りっぱなしだったと思われる葵太夫さんを
はじめとした義太夫の皆さんもお疲れ様です~。

あ、そういえば、お三味線の方が途中で胡弓を弾いてました。
あの音色がまた眠気を誘うんですよね~(^_^;)

・そうそう、最後の伊左衛門さんちの奉公人がどーっと押し寄せるところで
門之助さん出てるから 瀧之さんもいるかな~ と思ったんですが
残念ながら 見つかりませんでした。


というわけで、今月の舞台写真、出るんだったら 團蔵さんと東蔵さんのを
ゲットしたいな~ と思いました。

■花道:
團蔵の引っ込み~。これで「高」です♪
あとは 時蔵さんのお買い物の行きと帰り。東蔵さんの出。
お弟子3人衆の出と引っ込み。
伊左衛門さんの妹さんを筆頭に奉公人大勢の出。
お弟子3人衆の出が、花道でちょっととまりますが、他はわりと
さらっとしてたと思います。

それから、なんか今月は3階A席がわりと空いているので、七三あたりは
なんとか見えました。
が、前の席のおじさんの座高が高い+右に左にアタマが揺れる揺れる(ーー;)
そのあおりで 後ろの私も正面舞台を見るのにおじさんと逆になるように
身体をを左右に揺らして~ と、えらく苦労しました(^_^;)

でも、これは、おじさんの前の列の席に、お着物のお姉さんがいて、
その方が帯がつぶれないようにするせいかを、背もたれに背をつけず、
ちょっと前のめりに近いような感じになっていたことも、関係あるみたいです。

仕方ないっちゃぁ仕方ないんですけどね~これは。(^_^;)
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6 コメント

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いやですねえ~ (はまさき)
2006-06-10 23:12:43
>長唄は多分、鳥羽屋里長さん。おー 人間国宝コンビ~



巳紗鳳・巳太郎の黄金の菊劇団音楽部コンビでしたよ。

丑松~秀りんの色っぽさ、染の威勢良さが観られなかった、残念、染は昼の佐吉でも好演。



里長さんは昼の部の藤戸、君が代松竹梅には久々の文五郎さん。

返信する
ありゃ? (HineMosNotari)
2006-06-11 00:24:29
>巳紗鳳・巳太郎の黄金の菊劇団音楽部コンビでしたよ

うわぁーっ すみません!思いっきり間違えてますね、私(^_^;)

ご指摘、感謝です! いそいで訂正、訂正。φ(..)



さて、今月は染五郎さん、昼夜3演目にご出演。

あと翫雀さんも3演目。がんばれ若者(でもないのかな、もう(^_^;)といった感じですか。

染五郎さん 昼は お勧めの佐吉の「辰五郎」のほか、相撲取りの「長吉」と若旦那「与五郎」の二役もあるんですよね。

こちらも どんなか楽しみです♪
返信する
口三味線 (さちぎく)
2006-06-11 11:20:54
梅玉さん、ホント上方和事多いわね、嫌味はないけど、あのはんなりムードはダレてしまう。そうそう胡弓なんて弾かれたら寝るしかないよ。



口三味線ードンは一の開放弦

       トンは二の開放弦

       テンは三の開放弦

       どこか押さえた場合

       二はツン

       三はチン

       二と三一緒に弾くとシャン



       チントンシャンは三・二・二三

       となります。
返信する
こんばんわ さちぎくさん♪ (HineMosNotari)
2006-06-11 23:28:00
>口三味線ードンは一の開放弦

あっ、そうだったんですか!!

それは 初耳でした。他の音は知ってたんですが・・・

なるほど~

でも、門之助さんのあの口調だと、なんかどお三味線の音という感じがしないのはワタシだけでしょうか(^_^;)?



そうそう、さちぎくさんとこの今月の「あたまとり」 始まってますね♪

参加したくて折々にのぞきに行くんですが、なかなか上手くつながる言葉が思いつきません~(会社からは書き込みできなくなっちゃいましたし(^_^;)

まだ 昼の部をみてないんで、ネタが少ないのもあるんですが、どうもアタマが硬くなってるみたいです・・・<(ーー;)

梅雨だし、アタマがカビてもいけないので(^_^;)、「あたまとり」がんばってチャレンジしますね~







返信する
こんにちは☆ (Ren)
2006-06-18 09:27:53
先週昼の部の歌舞伎座へ行きましたが

夜の部も、おもしろそうですね!

来月のことも考えて、今月は夜はどうしようか

迷ってるうちに、もうじき楽日。

あぁ・・悩ましいところです。
返信する
夜の部のお勧めは (HineMosNotari)
2006-06-18 21:50:25
夜の部では、「丑松」は観てないんで、なんともいえないんです

最後の「二人夕霧」は、「ご贔屓が出てるかどうか」という点と、

「元ネタの「吉田屋」を知っているか」という点のYES・NOで

楽しさが大分左右されるかもしれません。



というわけで、真ん中の「身替座禅」。

なんといっても これが お勧めです。

お時間ありましたら、幕観でご覧になってはいかがでしょう?

個人的には幕見代の元は十分にとれる1本だと思いますよ♪
返信する

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