◆登場人物&配役:
ちょっと性格に難があるんじゃないだろうか と思われる
美女:
玉三郎さん
ある意味やっぱり性格に難があるんじゃないだろうかと思われる 海の
公子:
海老蔵さん
美女付の女房:
笑三郎 さん
実はツワモノ?
沖の僧都:
猿弥さん
博識の
博士:
門之助さん
◆あらすじもどき:
海の底にすむ公子さんが 陸の娘にほれました。
礼儀正しい公子さん 奪いとるのはマズかろと
一応、陸の習いにのっとって 贈る結納 その品は
タイにブリにマグロにカツオ・マナガツオ
ヒラメにキスにホウボウ・コチ・アイナメ、メバル、
ワカメにアンコウ トラフグ オオダコ
おまけだ! 珊瑚もつけちゃおう、
さぁもってけっ!
というわけで 数々の品は 津波にのって雨降るごとく。
海からみれば 結納の品
陸からみれば 生贄の代償
花嫁サマは海に流され 気がつく先は海の中
ついたところは海の宮
贈られた首飾りに指輪に珊瑚の大樹の腰掛
親と別れた寂しさは驕(おごり)と、虚飾(みえ)で満たされる
ただ唯一、美女はまだ知らない・悟らない
自分はすでに 人にあらずや 蛇なりや。
ということ。
だから それを公子の口から聞いても 信じられない。
だって鱗なんてどこにもないもの
でも、一枚の鱗はなくても、人間の目はそれを蛇と見る。
ただ三筋、五筋背に引く黒髪が 人の目には映るのみ。
それでも美女は まだ信じない。
尾もない 鱗もない。ないものが映ろうはずもない。
母が 父が 友の目が それを証してくれるだろう。
だから私は陸に行きたい、それを証したい
「ここは大自在の国、あなたの自由に」
そういわれて 美女はひと駆けに陸へと向かう
が、結果はやっぱり公子の勝ち。
帰ってきた泣きくれる美女
今度は「泣き死んでやる」と自暴自棄ときた。
あげくの果てにいうことには
人の目に映る姿が蛇なのも すべてすべてあなたの魔法
これにはついにキレたね 公子。
売り言葉に買い言葉 「殺してやろう」との計らいに、
美女も負けない。
「卑怯だ やるなら 自分で手をくだせ」
ときた。
ある意味 この後に及んで すごい度胸。(^_^;)
度胸がすわったせいかどうかは知らないが、
自分を殺そうとする相手を見据えていうことには
顔がお綺麗だ、気高い、美しい、目元が清しい、眉が勇ましい
位が高い、品がいい・・・もう、故郷も何も忘れました。
・・・だったら、もっと早く、そこに気がつこうよ・・・_| ̄|○
で、まぁそこまで連呼されたせいか、
美人の微笑みは何にも勝る免罪符か
公子はあっさり美女を許して あとはふたりのラブラブシーンで
めでたく幕。
・・・結局は のろけ話なのかもしれませんねぇ。(^_^;)
◆のたりの眼
・音
なんといっても、びっくりはコレです。幕が開く前にハープの音が聞こえてきた時は
「これ、録音だろーねぇ」なーんて、同行の家人とささやきあってたんで、、
幕があいたら、あらびっくり!! 上手でタキシードのお兄さんが生演してるよ!
すごい!!
ハープは大きいのだけでなく、小さいサイズのも使い分けされてた見たいです。
あれ、マイクを通してるのかな? だとしたら、そのせいで最初に聞いたとき、
録音かと思っちゃったのかもしれません。
なんていうか、録音したよう響きだったんですよ、ほんと。
でも、マイク通さないと あの会場にハープの音を響き渡らせるのは難しいのかも
しれませんねぇ。
・背景
海の映像でした。
あれはもしかして、玉さんがとった海の映像なのかな??
・侍女
歌女之丞さん・京妙さん ・松之亟さん・徳松さん
・玉朗さん・笑野さん・
喜猿さん ←喜昇さんです!のみなさん。
最初に登場してくる3人の侍女からして、雰囲気も キャラも いい感じです♪
いい仕事する役者さん そろえてるな~ と思いました。
こういうお役を 上手く見せる役者さんそろえてると、見てて楽しくなっちゃいますね~。
衣装がこれまた、ステキでした。和服をアレンジしたっぽいものですが、色がみなさん
赤系で、微妙に色違い。すそや袖口からのぞくのは同じ赤なんですが。
あと、東海道五十三次の歌、あれ歌った侍女は、どなたでしょう?
声がものすごくきれいで、 ほんとにびっくりしました。
男の人が歌ってるとは、言われなきゃわかりません!
・マント
女性陣を除いて皆さんマントをつけてます。マントって、動作がキレイに見えるので
好きですね~。裏が派手なのが またいいです♪
黒潮軍団のマントの裏はターコイズブルーのような青。キレイですねぇ♪
・ベストオブ衣装
個人的に一番、
「きれいだなぁ♪」と思ったのが 笑三郎さん。
黄金と黒の和服がシックに派手でステキでした。
・竜馬(りゅうめ)
個人的にとっても好きなのがこの竜馬。
目がとてもつぶらで かわいいんです♪ 手触りもよさげだし。
黒潮軍団が何人かがかりで動かすんですが、控えてる場面でも、
時々 胴をのたうたせたり とリアルなのがまたうれしい♪
花道を引っ込むところがあったのですが、これ、花道近くでじっくり
みたかったな~(T_T)
・水の中
美女の輿入れ道中の場面では、お付の侍女をはじめ、みんな なんかユラユラしてたのが
面白いというか、
なるほど 水の中だもんね と説得力がありました。
でも なんか役者さん疲れそうだな~(^_^;)
・長セリフ
沖の僧都のセリフは 読んでもすごいですが、あれを暗誦する役者さんはさらにすごい。
猿弥さん、さすがです! 拍手!
しかし、前回観たとき、この役はたしか左團次さん。
あの左團次さんが、こんな長セリフのある役、よく引き受けたなぁ(^_^;)
・博士
門之助さん、なんか
めがねが似合ってます!
ところで、門之助さん、今回、お鼻、つけ鼻してました?
いつもより 大きなお鼻にみえたんですが・・・き、気のせいかな?(^_^;)
・玉さん
うーん、この美女、なんか
性格がね、どうにも・・・<(ーー;)
それから玉さんのドレスは、ちょっとキラキラしすぎてて 個人的には いまいち。
大きな赤い石の指輪も なんかアンバランスで。後半の真珠かな?は そんな
アンバランスではなかったんですが。
それから、気になったんですが、この場合、玉さんが
和服なのが普通ですよね。
なんで
ドレスなんだろう??
・公子さん
首筋にこい黄色か金色の線を斜めに引いてるみたいに見えました。
何を表すのかな~とは思いましたが、あれはあれで、なんかしっくりきてたのが不思議です。
鎧は 体だけなんですね。アタマにもなんかかぶればいいのになぁと思ったんですが、
これはマンガで予習したからかな。(マンガでは龍の形の兜をかぶってましたんで)
でも、身体の部分だけだと、あんまり見栄えが変わんないんですよね。
鎧装着ビフォアアフターが。似たような色だし。
公子さんのもつ刀は 最初のサメ退治の時は ねじくれてるような刃のものでしたが、
最後に美女を斬ろうとするときに持ち出す刀は三日月刀みたいなやつでした。
用途によって使い分けてるのかな?
公子が読み上げる
サイコロの目に いきなり
「17」。(^_^;)
ナイスな賽ですねぇ。さすが 海底仕様??
しかし 海老蔵さん、助六の時もそうでしたが、こういう 半ば飽きて、投げやりに
なるところ、上手いですね~♪
でも、この公子さん、飽きっぽいといいながら、よくまぁ、あそこまで美女の
わがままに耐えたもんだ と個人的には正直、感心してしまうんですが。(^_^;)
ついでに、あともう一箇所 好きな場面が。博士の出した本をみたら全部白紙で、
博士から「その本は予備知識がないと文字が見えてこない」と聞いた時、
「恥入るね。」と一言返すところ。一言なのに妙に雄弁です(^_^;)
・【おまけ】公子様語録
「勇ましいではない。家畑を押流して、浦のもの等は迷惑をしはしないか。」
― 美女の結納の品を津波で一気に 家まで押し寄せさせた と聞き
このへん、とても心遣いがこまやかですね。
「殺されるものは平凡に疾病(やまい)で死するより愉快でしょう。」
― 美女の輿入れ行列が引廻しのようだと沖の僧都に指摘されて その反論に。
まぁ、ある意味 そうかもしれないけどねぇ。(^_^;)
「心あって招かないのに来た、賽にも魂がある。」
― 侍女が賽を床に振ろうかと言ったのに答えて。
モノにまで にくい心遣いです、公子さん。
「貴女、敵のない国が、世界のどこにあるんですか。仇(あだ)は至る処に満ちている」
― 美女が 公子から侍女がサメに襲われたと聞き、ここはそんなに怖いところなのか との問いかけに答えて。
うーん、真理。
悲しいかな 鏡花さんの時代から、それは今も変わっていないんだねぇ。
「女のゆく極楽に男は居らん。男の行く極楽に女は居ない。」
―ラストのセリフ。
なんか妙にゴロがいいからか、説得力がある言葉のように聞こえるんですが
考えてみると、それってどうも「?」。
・・・・極楽って、男女別々 なんですか??
お嬢様女子学園に 全寮制寄宿舎のよーな感じ??
そういや、温泉はいると 「う~ん 極楽 極楽♪」ってつい言ってしまいますが、
混浴じゃ 言わないかなぁ。
いや、でも、これって、なにか 鏡花先生の言いたいことと
違うような・・・<(ーー;)
・黒潮軍団
場面転換にも一役かってる黒マント軍団は総勢(多分)30人ほど。
統制とれた動きが 群舞のよう+マント効果で とてもキレイですね~。
花嫁行列の途中でクラゲを追いはらうところ、原作読むと「うるさい」と
言ってるようなのですが、
「ウザイ」と聞こえたのは 現代人の耳ゆえでしょうか(^_^;)
ところで、最後の場面で、全員がマントを裏表に付け替えていましたが、あれはどういう
意味なんでしょう?
寡黙な黒潮軍団の
「公子 おめでとうございます!」な感情表現なんでしょうか??
・カーテンコール
が、ありました。スタンディングにはなってなかったようですが。
先週、見た方からも カーテンコールがあった と聞きましたから、うーん、
土日サービスなのかな?
・演出
全体に美術担当が天野さんだというのが、ものすごく納得できる舞台でした。
衣装もそうなんでしょうか? 侍女や僧都、博士の衣装などが、個人的には
特にステキに感じました。あと、公子の座る椅子も。
舞台装置も 勤の絵の具を固まりでベタっと貼り付けたような宮殿の柱や壁が
なんかゴージャスでありながら、随所に雲のたなびく絵巻を思わせる感じで
個人的には好きです♪
しかし・・・なんか生演奏といい、舞台装置といい、去年の蜷川歌舞伎への対抗心を
バリバリ感じ取ってしまうのは、私だけでしょうか??
7/29追記:「夜叉ヶ池」に引き続き、こちらも立師が瀧之さんでした♪
◆花道度:高
いや、ただ単に、私が竜馬が近くを通るのを見たいだけです(^_^;)
実際は 宮殿についた侍女と美女の出と竜馬の引っ込み くらいしか使いません。
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