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教科書を買わない学生たち

2006-11-28 | 教育
教科書準拠の授業をしている。
それでも、2割くらいは、教科書を最後まで買わない。
お金がないのとは違う。
あれこれとお金のかかる生活をしているのであろう。
携帯や常時飲食や服装や車など

教科書は、後々の想起には必須なのだが、
単位を取れればお終い感覚なのだろう。

アメリカの大学のキャンパスで厚い教科書を
常時かかえて暇さえあれば読んでいる光景が
思い出される。

文章・談話についての心理学的研究の課題と方法

2006-11-27 | 認知心理学
111112222233333444445555566666
30文字/1行 30枚 12000字 400行
00/11/20海保 朝倉書店 2001年1月末締切り
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12章 文章・談話についての心理学的研究の課題と方法

12.1 本章の概要
 本章では、前半では(12.5まで)認知論的(情報処理論的)アプローチによる文章・談話研究、後半では、状況論的アプローチによる文章・談話研究における心理学的な課題と方法について述べる。
 認知論的アプローチでは、文章・談話の認知(情報処理)過程に、また、状況論的アプローチでは、文章・談話の発生現場での人のかかわりに、もっぱら焦点が当てられる。

    状況論的アプローチ     認知論的アプローチ

  状況<----->文章・談話<--->人<-->認知過程<--->知識


図12.1 文章・談話過程についての2つの心理学的アプローチ

12.2 文章・談話についての認知論的アプローチの特徴と    研究手法の概要

●認知論的アプローチとその特徴
 認知論的アプローチは、一般的に言うなら、人に内在する知識の形成、貯蔵、運用のメカニズムの解明を目的とするものである。その際立った特徴を3つ挙げておく。
 一つは、人は、情報の受動的な受け手ではなく、既有の知識を積極的に活用して自ら知識を作り出す存在であるとする、構成主義的な見解を採用していることである。
 2つは、観察不能な内的認知過程についてのモデル構築を志向していることである。その多くは、コンピュータ・シミュレーションとしての実現を志向しているが、原理的には、N.チョムスキーの生成文法理論のような、記号表現が可能な計算論レベルでのモデル構築をめざしている。
 3つは、研究手法的には、後述するように、心理学で使われているほとんどの手法が幅広く採用されていることである。行動観察から内省報告、事例報告まで、モデル構築と検証に役立つデータを収集できるなら、厳密な実験的な実証性の制約にそれほどこだわることなく多彩な手法を採用する。

●認知論的アプローチによる文章・談話研究の3つの大課題
 認知論的アプローチの大きな課題は、文章・談話を人が認知処理することにかかわる、文字、音韻、語彙、文法の4つ知識は、
 ・いつどのように形成(学習)されるのか
 ・どのような形で貯蔵(記憶)されているのか
 ・どのように運用(理解)されるのか
を解明することである。そして、その主たる関心はもっぱら、図12.2の中心部に向けられている


    文章・談話環境

    文章・談話活動

話す  文章・談話情報   読む

   音韻     綴字
聞く            書く
     認知活動
    (知覚・記憶
     思考・判断)

   統語     語彙         
   
    

図12.1 文章・談話活動を支えるもの

 以下、文章・談話活動のうち「読み」の活動を想定して、この3つの大課題について、それぞれがさらにどのような課題をどのように研究しているかについてみていくが、その前に、認知論的アプローチが採用している諸研究手法について、その類型と特徴を述べておく。

●文章・談話研究の手法の類型と特徴
 前述したように、認知論的アプローチでは、多彩な研究手法を採用している。図12.3は、2つの軸を設定して、その組合せで、諸手法を類型化してみたものである(海保・加藤、1999)。
 「行為対内省」とは、外部から観察できる「行為」に着眼するか、内部の心の動きを自らどのように「内省」しているかに着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。
 「遂行対過程」とは、所定の課題をどれくらい速く正確にたくさん「遂行」できるかに着眼するか、課題を解決しているオンラインの「過程」に着眼するかのいずれに焦点を置くかという分類軸である。

       遂行(結果)
  例       例
  反応時間    内省法
  
行為----------------------------内省
  例       例
  生理計測    プロトコル分析
  
       過程

図12.3 認知研究で使われる手法の類型

 各象限の典型例を文章・談話研究を想定して簡単に説明する。
○内省(第1象限)
 文章・談話に関して記憶や理解などを最大まで要求する課題を与えて、その課題を達成して終ってから、遡及的に自分の認知過程内で起っていたことを振り返り報告させる。その際に制約なしに行なう場合と、あらかじめ用意した項目、たとえば、「わかりやすさ」とか「読みやすさ」などについて内省する(評価する)場合---評定法と呼ぶ---とがある。
○反応時間(第2象限)
 文章・談話を速く正確に処理させてそのときにかかった時間を計測するものである。どの文章・談話がどの文章・談話より速くて正確かをみることで、処理プロセスの特性を推測したり、文章・談話の質を評価したりする。
○生理計測(第3象限)
 文章・談話を処理しているときに、脳や眼球運動などの生理機能がどのようになっているかを計測することで、文章・談話処理時の生理過程、とりわけ脳メカニズムの解明をねらう。
○プロトコル分析(第4象限)
 文章・談話を処理しているときに頭に思い浮かぶことをそのまま語らせることで、処理過程のモデル構築や検証データを直接的に得たり、文章・談話の品質を評価したりする。

12.3 文章・談話にかかわる知識の形成論の課題と方法

●生得か経験か
 形成論の課題は、文章・談話研究に限ったことではないが、常に2つである。その一つが、生得か経験かであり、もう一つが、経験だとして、どのような経験がどのような知識の形成をもたらすかである。
 まず、N.チョムスキーによって一気に活発になった生得対経験かの問題から。
 文章・談話の読みは、言語活動の基盤である文法と音韻が確立された後に発生する活動なので、生得か経験かはほとんど問題にならない。ただ、綴字情報を処理する認知活動として必須のパターン認識に関しては、それを支える神経的なアーキテクチャーにまで立ち戻れば、生得か経験かは一つの研究課題にはなりうるが、本章の範囲を越えるので触れない。 

●学習経験による知識の獲得
 文章・談話の読みに必要な知識は、ほとんどが意図的な学習経験に負ている。したがって、そこでの課題は、なんらかの形で最終的には、国語教育の指導法に関連してものになってくる。その中でも心理学的な課題としては、12.5で述べる知識の運用(読解)の特性を踏まえた効果的な指導法とは何かを問うことになる。ここでの課題は、大きく、2つになる。
 一つは、文章・談話に作り込まれた仕掛けの活用にかかわる課題である。文書で言うなら、目次、索引、ヘッダー・フッター、見出しなど、さらには、文書構成の仕組、イラストなどを読解の手がかりとしてどのように使うかにかかわる課題である。ここでの知見は、ただちに、読み手の読解を効果的に支援する文章・談話作成リテラシーへの提言ともなる(たとえば、海保ら、1987)
 もう一つは、読解方略の指導にかかわる課題である。上述の課題が外在化された文章・談話にかかわる知識の活用の学習であるのに対して、ここでの課題は、読解のために行なわれる認知活動の支援にかかわるものである。「大事そうなところは反復して読む(リハーサル方略)」「知っていることと関連づける(記憶方略)」「自分のことばで言い直してみる(理解方略)」といった方略の訓練効果が吟味される。

12.4 文章・談話にかかわる知識の貯蔵論の課題と方法

●内と外の知識の関係
 ここまでは、知識を人の頭の中にあるもの(表象としての知識)を想定してきたが、知識には、もう一つ、外在化された知識がある。文章・談話は、まさにその典型である。最近の認知心理学では、この外在化された知識とのかかわりが強い関心を引きつけている。本章の後半を参照されたい。
 それはさておくとして、ここでの課題の一つは、表現者によって外在化された知識である文章・談話が、頭の内部にどのように表象として貯蔵されているのかである。これは、認知科学研究の初期(60年代、70年代)の中心的な課題であった。
 
●外在化された知識の心理的実在
 文章・談話をコンピュータに「理解させる」ためには、文章・談話の意味構造を分析しなけれならない(意味解析)。そのための分析用具として、文章・談話のさまざまな単位(綴字、語彙、文、文章、談話)でさまざまな用具が提案されてきた。それらの有用性は無論、コンピュータがどれだけ正確に理解できるかで評価されるが、それらを人の理解のモデルとして転用したときの有効性を吟味する研究が多数なされてきた。これが、外在化された知識表現の心理的実在(表現)を問う課題として、認知心理学が取り組んできたものの一つである。
 次に、その心理的実在が確かめられている3つの用具(モデル)を、例示しておく。
*********

○命題
○意味ネットワーク
○物語文法

図12.4 文章・談話の記憶表象のさまざま

 いずれにおいても、このような形で文章・談話が表象されているとするなら、所定の文章・談話についての認知処理は、このようになるはずとの仮説を、人を使った実験で検証することになる。たとえば、物語文法に関するものであれば、次のような事実からその心理的実在が示唆されている。
・表層的な文の長さは同じで命題数が異なる文を読ませると、 読み時間は命題数と比例する。
・階層の下部と上部で構成される文は、同一レベルで構成され る文より真偽判断に時間がかかる。
・物語の文法構造を乱した物語を記憶させると、再生成績が悪 くなる。

12.5 文章・談話にかかわる知識の運用論の課題と方法

●知識の形成と貯蔵と運用
 文章・談話に関する知識の形成と貯蔵にまつわる課題をみてきた。最後は、それらの知識をどのように使って(運用して)、文章・談話を理解しているかを取り挙げてみる。ちなみに、文章・談話に関する認知論的アプローチによる研究の歴史から言うと、実は、この順序は逆で、知識の運用にまわる課題の研究から始まっている。
 さて、文章・談話理解に関する研究の具体的な課題は、理解のさまざまな状況に応じて異なってくるが、共通しているのは、理解の目標を達成するために、既有の知識をどのように使うかについての内的な情報処理過程モデルを作ることである。
 なお、情報処理過程モデルは、図12.*に示す、短期記憶ー長期記憶の枠組の中で構築されてきた。これまでに述べてきた知識の形成と貯蔵は、この枠組で言うなら、いずれも長期記憶にかかわるものであり、これから述べる知識の運用にかかわる課題は、もっぱら短期記憶において長期記憶に貯蔵されている知識が、外的な文章・談話素材の理解に際してどのように運用されるかにかかわるものである。

文章・談話----短期記憶----長期記憶

図12.5 短期記憶-長期記憶の枠組 
 
 研究の大枠は、ここ20年間、van Dijk &
Kintsch(1983)の提案に沿って行なわれてきたといってよい。彼らによると、文章・談話の記憶表象には、3つありそれを運用することで文章・談話の処理内容が異なるとされている。一つは表層的な言語表象である。単語や句や文などに対応する表象である。2つは命題表象である。文章・談話のミクロな命題表象と、文章・談話のマクロ命題表象とである。図12.4はその例となる。3つは状況モデルと呼ぶもので、文章・談話が記述しようとする状況全体にかかわる表象である。
 このうち、表層的な言語表象の運用は、その処理単位からして、文章・談話の範疇には入らないので、ここでは省略するが、この処理単位、とりわけ語彙処理をめぐっての認知心理学的な知見は膨大なものがある。大津(1995)や御領(1987)などを参照されたい。

●命題的表象の運用
 字義通りの理解を支えているのがこの命題的表象の運用によるものである。文章・談話の局所的な理解にはミクロ命題が、また文章・談話の全体的な理解にはマクロ命題が運用されている。
 研究は、12.4で述べた、命題表現の心理的実在性をめぐっての議論とセットになって行なわれてきた。その典型的な理論がスキーマ理論である(注1)。
 スキーマ理論は、仮定された記憶表象がどのように運用されるかに関する理論であるべきなのだが、多くの研究は、スキーマの特性分析のほうに力点が置かれ、その運用過程については、トップダウン処理(知識駆動型処理)が行なわれている、あるいは、せいぜい、スキーマの活性化による、といった程度のおおまかな説明で終ってしまっているのが現状である。
 たとえば、Rumelhart & Ortony(1977)は、スキーマの特性として次の4つを挙げているが、それでどうしたという点にまでは踏み込んではいないことがわかる。
・スキーマは変数を持つ  
 変数にいろいろの値が入ることでスキーマが具体化される。
・スキーマは埋込構造を持つ
 上位スキーマは多数のサブスキーマを埋め込んでいる。
・スキーマは抽象度のレベルごとに存在する
 知覚的レベルから概念的レベル、さらには行動的レベルまで さまざまな抽象度のレベルで定義できる。
・現実的な知識を表現する
 概念の定義や用語の意味を表現するのではなく、現実の中で 使われる世界知識を表現している。

●状況的表象の運用
 文章・談話の字義通りの理解を越えて、世界知識や文脈を使った理解がここでの課題となる。文理解を例にとれば、
 砂糖の入ったコーヒーと緑茶を飲んだ。
は、あいまい文の典型であるが、緑茶には砂糖は入れないという世界知識があれば、この文のあいまいさはなくなる(長尾、2001)。
 ここでは、状況的表象が無限定になるため、その表象表現は問題とされない。どのような状況がどのように文章・談話理解にかかわっているかというまさに運用論が取り挙げられている。
 ただし、ここでも、状況モデルが文章・談話理解に深くかかわっているといった存在証明の類の研究も多い。
 たとえば、建物の空間構造に関する状況モデル構築のための情報を与えた後に、関連する文章の処理を要求すると、状況モデルの関与を示す証拠が得られたといった類のものである。
 今後、状況的表象の運用に関しての認知論的な研究は、2つの方向で進められることになる。
 一つは、内的な処理モデルの構築である。ここでも、Kintsch(1988)による、コネクショニスト・モデル(注2)をベースにしたコンピュータ・シミュレーションが注目される仕事の一つとなっている。
 もう一つの方向は、効果的な状況的表象の構築を支援する外的な仕掛けである。文章・談話中に挿入される挿絵や具体例の効果、あるいは見出しや概要の効果などが実用的な活用を射程において研究されることになる。
 2つの方向があまりに乖離しているが、それぞれの研究の進展は、いずれ統合的な成果として結実してくるはずである。
 
 
*******************
注1 スキーマ理論という言い方はやや曖昧さがある。記憶表象として何を仮定するかによって、スクリプト理論やフレーム理論や物語文法理論と呼ぶのが正しい。ここでは、それらを総称してスキーマ理論と呼ぶことにする。
(注2) コネクショニスト・モデルとは、神経回路網に似た階層的なネットワークを想定し、リンクとその結合強度とを学習的に変化させることで現象を模擬しようとするものである。

*************
参考・引用文献

御領謙 1987 「読むということ」 東京大学出版会
海保博之・加藤隆編 1999 「認知研究の技法」 福村出 版
海保博之ら 1987 「ユーザ読み手の心をつかむマニュア ルの  書き方」 共立出版
邑本俊亮 1998 「文章理解についての認知心理学的研究--- 記憶と要約に関する実験と理解過程のモデル化」 風間書房
長尾真 2001 「わかるとは何か」岩波新書
大津由紀雄編 1995 「認知心理学」3「言語」 東京大学 出版会
Anderson,J.R.1980(富田達彦ら訳) 認知心理 学概論  誠信書房

Collins,A.M.& Quikkian,M.R.1969
 Retrieval time from semantic memory. Journal of Verbal Learning and Verabal Behavior,8,240-247

Kintsch,W. 1988 The use of knowledge in discourse
processing; A consutruction-integration model.
Psychological Review,95,163-182.

Thorndyke.P.W. 1977 Cognitive structures in comprehension and
memory of narrative. Cognitive Psychology,9,77-110

van Dijk,T.A. & Kintsch,W 1983 
  Strategies of discourse
 comprehension. New York;
 Academic Press
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風呂好き

2006-11-27 | 心の体験的日記
風呂が好きなので、よく入る
ただし、高齢者は入り時を間違えると
危ないとのことであるので、注意は
しているつもり。でもそんな危ない時こそ
実は風呂の醍醐味なんだなー
・朝起きてすぐに入る
・一杯飲んでから入る
でもそろそろ止めた方がよさそう。

東京に行かなくなった

2006-11-27 | 心の体験的日記
これでほぼ2月くらい東京に行っていない。
とりたててどうこうはないが、
少し刺激がほしい感じはある。
でも、だんだん、おっくうさも
感ずるのも事実。
別の形の刺激を求めるほうに気持ちを向けるべきか


犬の声が消えた

2006-11-26 | 心の体験的日記
これほど静かになるとは!!
いかに犬のほえ声が迷惑行為かをあらためて実感
これが永遠に続くことを切に願う。

お向かいさん、ここ1週間くらい不在のけはい。
また帰ってきたら、前と同じ
恐怖の時はいつくるのか

今日のドジ

2006-11-26 | 心の体験的日記
通販から1週間前に届いたのと同じカレー2箱が届いた。
合計、40食
最初の注文は、はっきりと覚えているが、
2度目はまったく記憶にない。
先方の間違いと今でも思っているがーーーそして、もしかすると
2度目は得をしてしまったかも、とも思ったりしているが
ーーー、多分、自分のほうのドジだろう。
やったことを忘れるのは、ボケ症状としては
かなり危ない。これからもこんなことがしょっちゅう起こるのだろうナー
・お金を2度はらってしまう
・贈り物を2度してしまう
・同じことを何度も話してしまう
などなど


海保の著作 売れてる順番

2006-11-25 | 心の体験的日記

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ユーザ・読み手の心をつかむマニュアルの書き方 海保 博之、堀 啓造、加藤 隆、、原田 悦子 (単行本 - 1987/8)
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汗を流す機会がない

2006-11-25 | 心の体験的日記
週に2,3度はテニスで汗を流していた。
それが最近はまったくない。
ウオーキングでは汗をかかない。
長風呂でと思っても、たいくつで30分ももたない。
汗を流すことが健康にどんな効果があるかはわからないが、
経験的には心身ともに効果があると思う。
ウオーキングマシーンが書斎の隅にあるので、
これでひたすら歩くか!!

自己実現 用語解説

2006-11-24 | 認知心理学
06・11・24 海保
現代用語の基礎知識に収録

● 自己実現(self-actualization)
出たばかりの芽が太陽の光に向かって自力で成長していくように、自分なりの理想像を求めて自分の能力をフルに活用して人生を生きること。マズローは、自己実現欲求を、欲求の5階層モデルにおいて、生理的欲求、安全、安心の欲求、所属と愛情の欲求、自尊の欲求の最上階に置いたことで知られる。
自立支援の究極のねらいは、弱い立場におかれがちな人々の自己実現欲求を満たせるようにすることと言って良い。

絶対評価の導入

2006-11-24 | 教育
02/9/9海保
ベネッセ ネット・インタビュー
【成績(絶対評価)について】
●保護者の不安・疑問
1)テストの点数がよくても、授業中の態度が悪いと「1」になることもある、と学校で言われたが、先生との相性が悪い子もいれば、贔屓されている子もいるので、成績表に先生の主観や好みは当然入っていると思う。

解答 絶対評価には、先生の主観が入りがちですが、今回は、4つの観点ごとに、評価規準を定めて評価することになっていますので、それほど心配はないと思います。

2)建て前としては、絶対に先生の主観、好みは入っていないと言うが、先生の本音が知りたい。点数の甘い先生と辛い先生がいる実態に、どう対処するつもりなのか。

解答 評価規準は単元の内容ごとに一様に決まっていますが、それぞれの到達度を3段階で評価するところに、先生の主観が入りがちです。しかし、これも、主観をできるだけ排除するように、ここまでできたらAにする、というものが作られていますので、かなり主観は排除されているはずです。

3)うちの子は典型的なテストの点はいいのに成績表がよくないというパターンです。具体的にどこがいけないからこの成績になったということが教えてもらえないですよね。それではいったいどこをどうしたらいいのかが子どもにわからないと思うのです。テストの点以外に何が成績表の点数に反映されるのか具体的に教えてもらいたいと思います。

解答 テストの点がよくて成績表(通知表の5段階の評定のこと?)がよくないのは、4つの評価の観点のうち、もっぱらテストではかる「知識・理解」が高い点で、それ以外の3つの評価の観点が低いことだと思います。これが、今回の絶対評価の大きな特徴です。通知表の評価の観点をよく吟味してみると、どこが悪いかがみえてくるはずですし、さらに詳しく知りたいときは、先生に面談のおりに尋ねてみることをおすすめします。

4)成績表はなんの役に立つのかよく分からない。クラス全員5だってありえるわけだし・・・。

解答 相対評価の通知表は、ただ一点のわかりやすさ、つまり集団の中での順位という点において大変すぐれていました。高校受験という目を通してみると、今回の絶対評価の通知表は何も有効な情報を提供してくれていないようにみえます。それはかなりあたってはいます。ただ、子どもの学校での日常的な学習活動に思いをはせてみてください。いつも隣の花子さんより高い点をとれるかどうかだけが学習の動機づけになっているような学習環境は、もっと大切なものを失わせているのではないでしょうか。


5)相対評価から絶対評価になって、観点が4つともA。でも成績が「3」でした。納得いかない。全国でちゃんと統一してほしい。

解答 すべての観点でA,]でも成績(5段階評定)は「3」は、絶対評価ではありえません。多分、成績(評定)は、従来通り、相対評価で行っているはずです。先生にお尋ねください。法律で義務づけられている指導要録のほうは絶対評価でつけることになっていますので、通知表とは違っているはずです。過渡期の混乱かもしれません。

6)絶対評価に変わって、成績表の見方が、良いのか、悪いのか、上がったのか、下がったのか、ただ単純によくわからない。

解答 相対評価のほうが、別の意味でわからないことが多かったはずです。40人クラスの順番だけしかわからなかったのですから。これに対して、絶対評価では、観点別に3段階ででていますから、相対評価のときより、よくよく見れば、はるかに学習活動の指針がたてやすくなっているはずです。

7)絶対評価の基準について、教科間や先生間で何らかの一定基準はあるのか。

解答 各学校で一番苦労しているのが、この点です。国立教育政策研究所からも膨大な評価規準の参考資料が提案されています。
今はまだすべての教科、単元で安定したものにはなっていませんが、次第に納得のいくところに収れんしていくのではないでしょうか。

●取材内容
8)評価方法が変わったことで、混乱が起きているようです。現状を教えてください。

解答
 実は絶対評価のもとになっている4つの観点別評価は、すでに過去10年間の実施の実績があります。ただ、最終的な評定が5段階の相対評価でしたので、つい、子どもも保護者も、時には先生さえも観点別評価はおまけくらいの意味でしか参考にしてきませんでした。
 今年から、同じ5段階評価が、絶対評価になりましたので、むしろ、子どもと保護者のほうに混乱が起きているというのが実情です。
 この際、受験という目だけから子どもの勉強をみることをやめて、少し広い目でみてやれないでしょうか。

***
→「新しい評価方法に対応するのが手いっぱいで、授業に心の余裕がなくなった」という先生の声。現場の先生の現状は?
→「自分たちの子どもは、過渡期の実験台にされているのでは…」という保護者の不安・不満。こうした不安・不満の声は届いているのでしょうか?
****

9)「観点別評価」に対するとまどいが、先生にも保護者にもあるようです。

解答
 今年導入された絶対評価は、正確には、目標(規準)準拠評価と呼ばれています。観点別に設定された各単元ごとの評価規準に基づいて評価をして、その総合として、学期末の評定をすることになります。
 1,2度のペーパー試験で順位をつけて評定をすれば終わりだった相対評価の時にくらべれば、はるかに時間も労力もかかります。
 ただ、評価規準は、実は、先生にとっては、指導目標になります。評価と指導とが一体になっているのが、今回の絶対評価の大きな特徴なのです。
 それを実現するために、たとえば、観点別評価の観点である「意欲、関心、態度」を評価するために、子どもの提出物などをファイルしたり(ポートフォリア評価)、「表現、技能」を評価するためにには、実際にからだを動かして実験などができるかをみたりする(パフォーマンス評価)、新しい評価法も開発されています。
 それにしても、授業中に一人一人の子どもにきちんと目を配らないと評価も指導もできませんので、大変だと思います。30人学級がはやく実現して、先生方の労力の低減がはかられてほしいものです。

***
→この「観点別評価」の仕方について、先生方には、どう説明されているのでしょうか?
→教科ごとに「観点」がいくつかありますが、現場の先生は、ひとりひとりを観点別にきちんと評価できるものなのでしょうか? 
→また、そのポイントについて、保護者にはどう伝わっているのでしょうか?

10)「習熟度別クラス」における絶対評価のあり方はどうなっているのでしょうか?

解答 今回の絶対評価導入の当然の帰結として、目標を達成してしまった子どもと、目標未達成の子どもとがはっきりしてきますから、習熟度別クラス編成という話になります。
 ただ、これは一つの選択枝であって、数学などのような積み上げ型教科では、効果が期待されますが、社会などのようなグループ学習が行われるところでは、社会的な技能を学ぶということも大きな目標になりますので、習熟度別クラスが最適ということにはなりません。

11)「達成不十分」とされた子どもについては、どのような対策が講じられていますか?

解答 達成不十分は、もしかすると、指導が悪かったからということもありえます。そのままほっておくわけにはいきません。土曜スクールや補充教材の学習、さらには教職志望の学生によるチュター制などの試みがなされるようになってきました。

12)「絶対評価では、贔屓が成績に反映されるのではないか」「辛い先生と甘い先生の差は出ないの?」保護者が最も気にしているところです。実際のところどうなのでしょう?

解答は、冒頭にあり。省略




【内申点・調査書(絶対評価)について】
●保護者の不安・疑問
1)北海道は1年生の成績から内申点に含まれるが、他の都府県ではどうなのか。我が家は1・2年生の時は部活に打ち込んでいたため、成績があまりよくなかった。3年生から急激に伸びたが、今までの成績が響いてトップ高合格は難しいと思われるが、難しくてもチャレンジしたほうがいいのだろうか。

解答 いつの内申点が入試に含まれるかは、県によって異なります。インターネット検索ができるようでしたら、高校入試をキーワードにして調べてみてください。ほとんどの県で高校入試のやりかたは、詳しく公表されています。
 なお、ここ3年くらいは、高校入試の配点はかなりかわることが予想されます。ある県では、今年はまだ、内申点は相対評価で、というところもあります。

2)2年生のとき友達関係から保健室登校になり、内申点が悪くなってしまった。今頑張っているが、1度のつまずきが内申点重視では影響してしまい、やり直しが聞かなくなってしまう?

解答 内申点の怖さですね。しかし、今の高校入試の選抜方法はかなり多彩になってきています。ある県では、5教科試験成績で上位1割をまず取ってから、内申点と試験成績とを4対6の割合で5割をとり、などといった選抜をしたり、もちろん、推薦入試もあります。こうした子どもにも道は開かれているはずですので、よく調べてみてことをおすすめします。

3)全体的に内申が上がったのなら、志望校合格のための点数もやはり上がるのだろうか。

解答 絶対評価5,4は、インフレ評価と揶揄(やゆ)されるように、相対評価のときの5,4の人数よりはるかに多くなります。そうでなければ、先生の指導が悪いということになりますから、当然です。
 ただ、その志望校が内申点をどのように使うかによって合否を分ける点数がかわります。
 一般的に言うなら、たくさんの受験生が5,4にいるということは、それを合否判定に使っても、あまり差がつかないということになります。弁別力がないわけです。したがって、これも一般的な話ですが、当日行われる入学試験の成績が合否を分けるのにはより有効となります。


4)途中で転校する場合、地区によって評価方法が違うとどうなってしまうのか。内申点はどの時点からどの時点の成績が関係しているのか。

解答 絶対評価は、目標との関係で評価しますので、教科書が同じなら地区による違いはそれほどありません。また、どの時点からの内申点を使うかは、県によって違います。教育委員会で公表されていますので、調べ見てください。

5)絶対評価になったことにより、各中学校によって内申のつけ方がばらばらになり、内申点の信頼度が薄れてくるのでは? それにより、受験当日のテストの方が重要視されるのではないか。そうなると、ふだんの定期テストより、当日の入試向けの学習が
必要なのではないか。

解答 絶対評価により内申点の学校間差がでてくるのではという心配は、その通りです。目下、各県では、なんとか統一的な規準は作れないものかと腐心している段階です。
 評価規準は単元内容から決められますから学校間差はありませんが、評価の得点化のところでは、たとえば、Aの数を一定にする、観点別評価の重みをそろえる、観点別達成度の総合の仕方を決めることは、入試で内申点を使う限り、最低限、やらなければならないことです。

6)授業内容の削減・絶対評価など、教育制度が大幅に変更され、今までの受験内容とは比べることができないので、入試が不安。

解答 今回の絶対評価の導入は、いわゆる「ゆとり教育」の総仕上げです。
 入試だけに話しを限定すると、見事なほど、日常的な学習活動での評価と矛盾した話になってしまうようなところがあります。入試での「隣りの仲間との競争」から日常の学習活動の「学ぶべき内容との関係」へと転換しようというわけですから。
 過渡期に伴うどうしようもない不安ですと申し上げてもなぐさめにはならないかと思いますが、そう言う以外にありません。

7)通知表は絶対評価なのに、受験は相対評価。子どもの位置付けがうまく把握できないのは、どうしたら良いのか?

解答 教育にも自己責任の原則が入り込んできています。「すべてを学校で」ではなく、みずから積極的に学校外の教育環境を活用することもあってよいのではないでしょうか。そこには、受験目的のところもあります。興味関心を喚起する目的のところもあります。スポーツ活動もあります。それらをもうまく活用して、子どもを幅広い教育活動へとガイドしてやることが、これからは大事になってくるように思います。

8)絶対評価になって、内申点は受験校を選ぶのに影響があるのか?

解答 3)の解答と同じなので省略

9)テストの点と通知表の関係。通知表の評価と受験校の関係。絶対評価になったことで、これらのつながりがわからない。

解答 テストの点は、評価の観点の「知識・理解」と「思考、判断」にほぼストレートに反映されます。通知表の評定は、これ以外に2つの観点の達成度を加味して決められます。
 通知表と内申点とは、実は、まったく同じではありません。内申点は、高校側が提出を要求するものです。通知表は先生が子どもや保護者に日ごろの学習活動の成果を伝えるものです。
 今回、絶対評価が導入されましたが、内申書は、従来の相対評価で提出を求める県もあります。

気がかりなこと

2006-11-24 | 心の体験的日記
筑波に残してきた2人のポストドクター
共に、学位もあり、業績は大変な数ある。
それが、まだーーというより、多分、この時期に
決まっていないということは、来年はだめということかーー
就職先が決まった形跡がない。
非常に心配である。
30歳、大学教員としても、研究者としても、
一番、使い勝手のよい世代なのに。

最近、ポストドクター問題は、どうなっているのであろうか
PD研究員制度が充実してきたので、今現在の心配はあまりないのかも
しれないが、将来の不安はかなり高いのではないか。
これほど、大学の先生に「大学院教授」とつく時代。
修了者の就職問題が実に心配である。
超トップクラスよりちょっと下の層あたりが意外と苦戦しているような
気がする。

人材を無駄にしないようにしないと、日本の上層の?知的環境が劣化する。