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時間となじむ

2006-11-19 | 心の体験的日記
04/7/22海保 NHKラジオ  対談原稿 

第1 「世の中の流れ/ペース」と、「自分なりのペース」のずれが出てきたのはいつ頃

ゼンマイ時計が発明された15世紀前半頃からだと思います。
 これによって、誰もがいつでもどこでも同じ時間をもてるようになりましたが、
 一方では、自分なりの時間やペースが無視されるようになってしまいました。
 
ところで、自分なりの時間やペースというのは、時計時間とは違った、次のような
時間に従って、私達は生きているという事実があるからです。
  1)生理的時間、あるいは、体内時間です
     新生児はもっぱらこれに従って生きています。
  2)心理的時間です
     心理的に感ずる時間です。たとえば、充実していると、時間が短く感じます。
 
今の世の中は、圧倒的に時計時間で動きます。
しかし、私達は、生理的時間や心理的時間にも従って生活しています。
「自分なりのペース」というときには、
究極は、うまれたばかりの赤ちゃんの様に、生理的時間、心理的時間だけに従って生きることだと思います。

水曜日のこの時間に、「子供に急いでを言わないで」が取り上げられていましたが、
この頃から、子供は、「自分なりのペース」を「世の中のペース」にあわせることをしつけられます。大人になると、もはや「自分なりのペース」なんてどこかにいってしまいます。

それでもときおり、自分なりのペースを取り戻したいと思うような時があります。
時計時間と生理的時間、心理時間とのそごが大きくなり過ぎてしまったような時です。
締めきり、納期のようなタイムリミットがあるような仕事をしている時ですね。

現実的には、「自分なりのペースとは」、時計時間と心理的時間、生理的時間とが「適度に折り合いがついている」ことだと思います。

<お便り>>

第2 「自分のペース作り」とは、時計時間と心理的時間、生理的時間とが「適度に折り合いをつける」こととは、具体的にはどうすればよいのでしょうか。

生理的な方策と心理的な方策とがあると思います。
1)生理的な方策とは、自分なりの体内リズムをつかみ、それにあわせて仕事を調整する
 朝6時、夕方4時は、高速道路での車の事故が一番多い時間帯だそうです。体内リズムの
低下が関係しているようです。
 体内リズムには、個人差もありますから、自分なりにリズムを掴むことがまず大事です。
その上で、そのリズムにふさわしい仕事を割り付ければ、能率があがります。自分なりのペースで仕事をしている実感も持てます。

2)心理的な方策とは、仕事の内容にあわせたスケジュール作りと実行です
 好きな仕事、得意な仕事から入って一気に集中してしまう。きらいな仕事や不得手な
仕事は、小刻みスケジュールでこなすようなスケジュールに従って仕事をします。
 これらに加えて、もう一つ、おすすめがあります。
 それは、一日、1週間の中で一ケ所、「自分が主役で時間を動かすこと」を習慣化することです。
   たとえば、私は、ここ20年くらい毎朝3時に起きます。
   あるいは、土日の朝2時間は読書をする、農作業をするなど。
 これは、逆説的ですが、時計時間から解放されて、自分なりのペースを作るための
土台、あるいは、自分のペースが乱れてきたときの土台になります。


<<お便り>>
第3 長期的な自分のペースの作り方にはついてはいかがでしょうか

自分のペース作りも、今日、明日ばかりを射程においていると、結局は、時計時間にとらわれてしまいます。
1月、1年、さらには5年10年を射程においた、自分のペース作りも考えたほうが、短期的な自分ペース作りも、質のよいものになると思います。

よくよく考えると、「自分のペース作り」と言っても、それが目的ではなく手段です。
それによって、いい仕事をすることが本来の目的です。

ちょっと余談になりますが、私はこれまで編集本を何冊か作ってきました。編集本とは、
章立てを私がして、それぞれの章を適当な人に依頼して執筆してもらって作る本です。
困るのは、締めきりを過ぎても、原稿をおくってこない人です。タイムリミット感覚がない人ですね。
そんな人も2通りあります。催促に催促を重ねてやっと原稿をいただくのですが、
原稿の質があまりよくない人と、見事な原稿をくれる人とがいます。
タイムリミット感覚はないけれども、仕事の完成度、ワークリミット感覚の高い人ですね。
タイムリミットをあまり強く意識させると、こんな人の仕事の質が悪くなってしまうリスクがあります。
こんなことがありますから、なかなか難しいですね。

<<お便り>>
第4 高齢者の自分なりのペース作りについて、何かアドバイスのようなものをありますか

そうですね。私も還暦が過ぎました。もう間もなく高齢者に仲間入りをすることになりますので、ひとごとではありませんね。思い付くままに、いくつか。

1)基本としては、6ー6システムで毎日を過ごす
 朝6時から夕方6時までを活動時間、それ以外をリラックス・タイムにするのを
基本にするのでよいと思います。これが、一番、体内リズムにかなっているからです。

2)時計時間に基づいた自分なりのスケジュールで、社会との接点を作る
 時計時間の圧力から解放されたのに、また時計時間に従うのはどうも、という気持ちもあるかと思います。社会から隠遁してしまうわけではないのですから、今度は、自分が時間管理の主役になるつもりで、緩いスケジュールを作ってみたら、いかがでしょうか。
 それも、1日単位の習慣的なものと、私も書斎にありますが、10年カレンダーなどを活用した、1年先、5年先、10年先スケジュール作りもよろしいのではないでしょうか。


最後
○時間に負けない
○自分から時間に向かっていく
○時間を忘れる時間を作る

 

憶測判断 ボトムアップ処理 用語解説

2006-11-19 | 認知心理学
04/7/7kaiho
1111122222333334444455555
30文字/1行
04/8/30締め切り
人間工学の百科事典 丸善

●憶測判断 100-400字 図表なし
はっきりした根拠のない推測まじりの判断のこと。したがって、その正誤、妥当性は保証されないが、ヘッジ(「これは憶測だが」とか「間違っているかもしれないが」などの枕言葉)をつけることで臆測判断の内容を話すことが、会話や議論などでは暗黙裏に認められている。
●データ駆動型処理--->ボトムアップ処理を見よ
●ボトムアップ処理(bottom-up processing) 100-400字
データ駆動型処理とも言う。トップダウン処理(知識駆動型処理)と対になる用語。人や機械の情報処理において、入力データの物理的な特徴の処理に重点を置くもの。、
しかし、いかなる処理においても、保存されている知識を使ったトップダウン処理との相互作用は不可欠であり、問われるのは、いずれがより主導的かである。

本を読もう 中高生へ

2006-11-19 | 教育
04/8/16海保
04年9月1日 夏休みあけ挨拶
「読書の秋です。読書の習慣をつけよう」

●夏休みの知的冒険はいかがでしたか?
からだがたくましくなることも大事ですが、
頭や心もたくましくなることも大事です。
 ということと、読書の秋ということもありますので、今日は、高校生の読書について。

●今、日本で、一日に出版される本は、約200册n年間で7万冊もあるそうです。
 これほど大量の本が出版されていながら、
 高校生の読書の実体は驚く程、さみしく貧弱です(2000年の毎日新聞「読書調査」より)
たとえば、
・1月に一冊も本を読まなかった割合は、中学生で3割、高校生にいたっては6割。
・1か月で読んだ冊数は、中学生2.1册、
            高校生1.3冊

●附属高校生は、この平均値をはるかにオーバーしていると思いますが、念のため、ちょっと聞いてみます。
「この夏休み(1か月ちょっとありましたが)、
5冊以上は読んだ人は手を上げてみてください」

●読書することは、高校生にとってなぜ大切なのでしょうか?
 1つには、知識が吸収できるからです。学業から得られる知識の幅を広げてくれます。
 2つには、あなたの知らない世界を教えてくれます。これからあなたが否応無しに、あるいは好んで入っていくことになる、たとえば、恋愛の世界がどうなっているのか、どうやってその中で生きていけばよいかを読書は教えてくれます。もっとも、こちらのほうは、TVのほうが力があります。
 3つは、思考力を鍛えてくれます。TVを見ることと比較してみてください。読書は、頭をフル回転させ、頭の中にある知識を引っぱり出して、内容の理解をします。それが、思考力を養うことになります。

●今、小中学校などでは、朝10分間の読書タイムを設けて、本を読む習慣をつけようとしているところが増えているようです。

 また、筑波大学の人間学類では、1册の課題本を受験生にあらかじめ読んできてもらって、それをもとに面接試験をしています。

 いずれの試みも、若者に読書してほしいとの思いが、背景にはあります。

●今、落ち着いて読書するような環境がどんどんなくなってきています。読書しなくと、いろいろの情報が簡単に手に入れることができてしまいます。
 こんな時だからこそ、「自覚的に」読書することを考えないと、知識貧弱、思考力低下した若者に成り下がってしまいます。

●読書の習慣をつける秋にしてください。
・いつも鞄に1冊の本を入れておいてください。
・いつも読書をする時間と場所を決めてください。
・いつもこずかいでまず1册の本を買ってください。

---------------------------------------●私が人生を知ったのは、人と接したからではなく、本と接したからである。(アナトール・フランス)
●紙上に書かれた思想は、砂上に残った歩行者の足跡に過ぎない。歩行者のたどった道は見える。だが歩行者がその途上で何を見たかを知るには、自分の目を用いなければならない。
―「読書について」―(ショペンハウエル)