●ステレオタイプは思考をなまらせる
多くのステレオタイプは、過去の限られた個人的な強い感情を伴う体験を独断的に---実は暗黙の社会的通念によって---意味づけすることによって形成され、信念や偏見に近いものになっている。
また、ステレオタイプは、面倒さを避けるための方便のようなところがある。方便なだけに便利なので、つい安易に使ってしまう。
かくして、ステレオタイプから自由な思考を展開するのはなかなか難しくなる。
しかし、ステレオタイプを使いすぎると、思考がなまってくるし、頭も硬くなってくる。
それに加えて、恐ろしいのは、みえるものもみえなくさせてしまうことである。
「T大出は頭は良いが、人づきあいはへた」とのかなり一般化しているようにみえるステレオタイプは、目の前にいるT大出の人が持っている本当の特性をみえなくしてしまう。
「参考」
「あなたの人物評価についてのステレオタイプをチェックする」
次の-----の部分にあなたの頭に浮かんでくることを入れてください。
・女性は---
・日本人は----
・東大出は---
・この顔は----
「解説」
多分、いずれについても、それなりのセリフが思う浮かんだはずである。それが、あなたのステレオタイプであり、実は、それは、あなたの周囲で暗黙のうちにお互いが認めあっている通念でもある。
このように、ステレオタイプには、社会や文化が強く影響している。それだけに、強力な機能を果たす。
なお、よくよく考えると、いずれのステレオタイプも、その真実性の保証がほとんどないことにも注意してほしい。かといって、虚偽とも断定できない。
なお、相手に不快や不利益を及ぼすステレオタイプが偏見である。