三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

オリンピック

2006年08月31日 13時42分44秒 | 教育 

 福岡市と東京都が名乗りを上げていた2016年夏期オリンピックの国内候補について日本オリンピック委員会は30日東京都を立候補地と決定した。さっそく東京都石原知事が次期首相と目される安倍晋三氏に支援の依頼のために挨拶をしたというような報道があった。おそらく巨額の国費も使われることになるだろう。
  もうやらなくてもいいって。 
  石原の最後の置きみやげに税金を使われたり、動員をさせらりたりはうんざり。 
  国民やら都民のことをしっかり考えろ。 
  一方で北京は張り切っている。 今日の『毎日新聞』の「発信箱」はそのことに触れている。

  『毎日新聞』「発信箱」「ほほ笑みを測る」 担当は飯田和郎氏(中国総局)
   《 北京の街角で見知らぬ若い女性から声をかけられた。「さあ笑って。心が明るくなりますよ」。たじろぐ私を前に、これ以上ない笑みの彼女。「笑顔1500万人運動」の学生ボランティアだと名乗った。 
 北京五輪まで8月で2年を切った。近く1500万人になる市民すべてが、笑顔で建国後最大の行事を迎えようと呼びかける活動だ。 
  店員が無愛想に客に応じる。乗り物にわれ先に殺到する……。      中国を訪れた外国人が腹を立てる場面は少なくない。たまに笑顔を向けられれば、何か企みがあるのではと勘繰る時もある。 
  胡錦涛主席は「和睦社会」(調和のとれた社会)を目指し、「以人為本」(人間本位)の実践を掲げる。
  最高指導者の号令には、人々の奉仕の精神に欠け、その行為に伴う奉仕の精神が乏しいという背景があるからだろう。 
  五輪の誘致・開催を都市の発展の起爆剤と考えるのは、16年五輪の国内候補地選定で綱引きを演じた東京都、福岡市の例をまたない。
  社会主義・中国の権力が集中する北京で開く五輪ならインフラ整備は難しくない。開催地にふさわしい総合力は人的ソフトがカギになる。 
  「北京の名刺は微笑み」(五輪組織委員会)を合言葉にした官主導の取り組みは、北京が己の力不足を熟知しているがゆえでもある。 
  市民のほほの筋肉はまだ硬いが、笑顔の浸透はGDP(国内総生産)や外貨準備高の伸びより、ある意味で価値がある。
  街に自然な笑みがあふれる時こそ、この国は変わる。 笑顔は中国社会の進化を観察する上でのポイントになる。 》  
  
  今の日本がなんぼのもんかということを忘れずに中国のこと考えたい。


教え子を再び戦場に送るな

2006年08月30日 06時02分01秒 | 教育 
世の元教師たちよ。忘れていないだろうな。

 1952年,高知県教組機関誌「るねさんす」に,当時の青年教師竹本源治さんが,「戦死せる教え児よ」と題する詩を発表した。
 
戦死せる教え子よ 竹本源治
「逝いて還らぬ教え児よ/私の手は血まみれだ!/君を縊ったその綱の/端を私も持っていた/しかも人の子の師の名において/嗚呼!/『お互いにだまされていた』の言訳がなんでできよう/慚愧 悔恨 懺悔を重ねても/それがなんの償いになろう/逝った君はもう還らない/今ぞ私は汚濁の手をすすぎ/涙をはらって君の墓標に誓う/繰り返さぬぞ絶対に!」

  この詩がウイーンの第一回世界教員会議で紹介された時,これを聞いた人々は,国の違いを越えて,ハンカチで顔をおおい嗚咽したといいます。「教え子を戦場に送らない」これが,戦後教職員運動の原点であり,万国普遍の教師の誓いであった。

 繰り返す 元教師たちよ 忘れていないだろうな。日本の教育はここから出発した。

 リチャード・アーミテージは言う。「日本は地球的役割を」(読売2005年12月4日付)
 日本について言えば、米国にとってアジア地域でこれほど重要な相手はほかにない。日米両国には共通の利害がある。それを基盤とする強力な結びつきを言葉と行動で確認する作業が必要である。海外での役割の拡大を通じて日本はさらに地球規模のパートナーとなった。
 だが、課題が残っている。それは日本が地球規模の役割を果たすかにある。あえて言えば、その決断は日本の憲法第9条の問題に関わっている。
 どうするかを決定できるのは、もちろん日本だけである。だが問題は、単に普通の軍事力を持つべきか否かになるのではない。その軍事力によっては、どのような地球的役割を果たせるかにある。近隣諸国との比較の上で目だつのは、日本の兵力の方が小さいことである。この弱点は、とりわけ軍事力を含む世界の重心がアジアに移行する時、日本に困難をもたらしかねない。
 
 アーミテージは地球規模、地球的役割と繰り返し言ってるが、誰の地球だ。
 アメリカは日本の憲法を変えたい。日本を脅迫しつつ、アメリカの世界戦略・「地球戦略」に組み入れることを企んでいる。
 日本の若者を死なせたいのだ。
 小さな政府をといって国民には痛みを強い、大きな軍事力を持つ。
 
 元教師たちよ。再び日本の若者を戦場に送っていいのか。日本国憲法第九条一項、二項を守る戦いに立ち上がれ!
 教育活動支えた憲法を変えようという奴らがいる。座視することは己の全否定につながるのではないか。
 
 涙を払って君の墓標に誓う 繰り返さぬぞ絶対に!

ヘルマンヘッセ『庭仕事の楽しみ』

2006年08月29日 08時08分12秒 | 読書
ヘルマンヘッセという作家がいました。
1946年ノーベル文学賞
1962年没
『車輪の下』『郷愁』ぐらいは読んだと思う。内容はわからない。
晩年は執筆以外の時間は戸外で自分の庭で過ごすことを日課とした。
『庭仕事の楽しみ』(草思社1900円)という作品がある。珠玉のような言葉でつづられた、詩、文、添えられた絵も素晴らしいです。高くないです。
 ちょっとだけ紹介します。

 夏の夜の提灯
暗い涼しい庭に 暖かく
色とりどりの提灯が並んで漂う
葉群の中からやわらかな
謎めいた光を放っている

ひとつはやさしくレモン色に微笑み
赤や白の提灯は哄笑している
青い提灯は 梢にかかっている
月か幽霊のように光っている。

突然ひとつが炎につつまれ
燃え上がって すっと消える……
姉妹たちは 無言で見ぶるいし
微笑みながら死を待つ
青白い月色の ワイン色の ビロード赤の姉妹たち


この絵はこの詩に添えられたヘッセ自身の水彩画。


安倍晋三こんなの首相にしていいのかよ

2006年08月28日 14時54分03秒 | 嫌安倍流

安倍晋三という人物が本を書いた。『美しい国へ』というそうだ。文春新書。 買わないように。
 
私はこんなもの買うわけがないがあるところで紹介されている一部。

《 憲法前文には、敗戦国として連合国に対する詫び証文”のような宣言がもう一つある。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと勉める国際社会において、名誉ある地位を占めたい 」 という箇所だ。 このときアフリカはもちろん、ほとんどのアジア諸国はまだ独立していないから、ここで言う「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会 」とは、おもに連合国、つまりアメリカをはじめとする列強の戦勝国をさしている。ということは,一見力強い決意表明のように見えるが、じつはこれからは自分たちは、そうした列強の国々から褒めてもらえるように頑張ります、という妙にへりくだった、いじましい文言になっている。 》

もう一カ所、

《 たとえば日本を攻撃するために、東京湾に、大量破壊兵器を積んだテロリストの工作船がやってきても、向こうから何らかの攻撃がない限り、こちらから武力を行使して、相手を排除することはできないのだ。わが国の安全保障と憲法との乖離を解釈でしのぐのはもはや限界にあることがお分かりだろう。 》

 どんな頭脳構造をしているのか知らないが、憲法前文にこういう解釈があるとは知らなかった。諸外国に対する侮辱だろう。
 二つ目もあまりに発想が貧困だ。国際法、領海の規定、海上保安庁、警察などは抜きで、どうしても軍隊でやっつけたいらしい。
あんまり勉強してないんじゃないか。言語に関する能力に欠けているな。
 こんなあほに軍隊を外国へ出動させて戦争してもいいというような憲法を持たせたら国は確実に亡ぶで。

 


大量破壊兵器

2006年08月27日 14時29分38秒 | 政治 

『毎日新聞』8月27日 コラム「発信箱」今日は大島英利氏(社会部)担当 

《 暴力が暴力を生む状況が世界各地で連鎖のように起きている。それは過去の悲劇の学ばないことが根元にあるのではないかと思う。
 侵略戦争を起こしたわが国の加害の歴史と、原爆による被害の歴史を十分考慮しないと,さまざまなかたちの悲劇を生むだろうと8月6日から15日にかけて思う。
 今夏、私の立つ立場から戦争を考える上で注目すべき報告書が出た。スエーデン政府が主導し各国の識者が集まった「大量破壊兵器委員会」(ブリックス委員会9がまとめたものだ。題名は「恐怖の兵器ー世界を核、生物、化学兵器から解放する」。 
 この中に「大量破壊兵器は誰の手にあっても危険だ」という指摘がある。
 核問題に詳しいピース・デポ代表の梅林宏通さんは専門誌「核実験・核兵器モニター」でこれに注目している。
 私も同感で、新世紀の一連の出来事を見るにつけ重みを持つ指摘だろう。 
 報告書はとくに核兵器に重点を置いて言う。 
 「どこかの国が核兵器を持っている限り、他の国が持とうとするであろう。核兵器が存在する限り、計画的であるにしろ事故にしろ何時かは使われる危険がある。使われたならば破滅である」。 
 まさに暴力の連鎖を危惧するものだ。
 「核兵器を持つ政府は責任ある行動をとることもあれば、無謀な行動を取ることもある。政府は時がたてば交代する」
 これは多数の核兵器を持つ米国やロシアを念頭に置いたものだろう。 
 米国の核の傘下に入る一方、近隣諸国との関係が、きしむ今の日本に私は強い違和感を持たざるを得ない。  》

 憲法を変えて、外国へ戦争をしに行くことを可能にする。
 核兵器を日本に持たせる、そして日本の若者に戦争をさせる。
 今度は日本人が死ぬ番だと。
 これだけ莫大なお金を負担し、基地を提供し、基地を移転すると言えば引っ越しの費用を出す。
 いくら言いなりになっても日本のために米軍の兵士は死ぬことはないだろう。アメリカが守ってくれると日本人は信じているが、アメリカの世界戦略の一翼を肩代わりさせられてきただけである。
 大変な額のミカジメ料を払ってきたけれどおそらくは無駄であった
ということに。
 憲法を改悪する理由はそこにある。
 日米安保条約を破棄して、以後付き合わないこと。それが一番。

 


子どもたちを戦争に差し出してはならない

2006年08月26日 17時21分30秒 | 平和

 大谷昭宏というジャーナリストがいます。テレビにも毎日出ています。 数少ないまともなジャーナリストの1人だと思うのですが、彼が書いている『ニッカンスポーツ』のコラム「大谷 昭宏フラッシュアップ」というのがあります。 8月22日号です。紹介します。  

《…略(まず夏の高校野球の話があって) 決勝まで行かずに散ったチームも猛暑の中、さわやかな風を残してく れた。沖縄の離島から初の夏の甲子園となった八重山商工の監督は「将来この子たちと島で草野球がしたい」。初出 場でベスト4に進んだ鹿児島商工の監督は「選手たちがカッコよく見えました」。 
  こんな甲子園、そしてなによりも自由で溌剌、さわやかな日本がいつまでも続いてほしいと願う。… 中略 …
 この2006年夏、私は角川書店から「監視カメラは何を見ているのか」(新書版・税込み720円)を出版させ ていただいた。 
 本の帯に「のぞかれる私生活 裁かれる心の中 共謀罪、監視カメラ、官による情報操作とは何か」とある通り、 先の国会で危うく成立してしてしまいそうになった共謀罪を中心に、私たちの身も心もガンジガラメに縛りつける法 律の数々、あらゆる所で、覗かれ、見張られている監視カメラの乱立。私たちの国は何をしようとしているのか、国 民に何をさせようとしているのか。
 それは憲法を改悪して、戦争をしない国から、戦争をする国に、そしてあの大戦 の後、戦争という名のもとに、自国民にただの一度も血を流させたことのない国から血を流させる国に、さらには戦 争という名のもとに、他国民を一度たりとも傷つけなかった国から他国民を殺戮する国に。 
 明らかにそれを狙って、国民を縛りつけ、監視下に置く。様々な法律や監視はそれを狙ってのことに違いない。 そんな思いで私は本の終わりにこう書いた。
 〈 とりわけいま、大事なお子さんをお持ちのお父さん・お母さんたちにぜひとも考えてほしい。「あなたたちは、 いつくしみながら、今育てているお子さんを戦争のために差し出すのですか?」と 〉 夏の甲子園、あのさわやかだった若者たちにグラブをバットを持つ手を砲弾を、銃を握る手に持ち変えさえてはな らない。こんな思いを込めてワープロを叩いたのだ。 以下略  》

 読んでみませんか。角川書店新書版720円。私もまだ買っていませんが、必ず読みます。

 


屁糞かずら

2006年08月25日 08時45分04秒 | Nature Photo



誰が言ったのか この花を屁糞葛とは。
あんまり殺生やと思いませんか。8月から9月にかけてこの花の咲くシーズンいつもそう思います。
別名を、灸に似ているのでヤイト花と言うそうです。この方がまだましです。
この葉を摘んで手でもんで匂いをかぐと花の名の由来がわかるそうですが、そんなことはしなくてもよろしい。


財政破綻の原因は何か

2006年08月24日 06時49分20秒 | 政治 
   
 8月末に期限の迫った2007年度予算の概算要求に向けて各省庁の作業が進められている。政府の「構造改革の基本方針」(いわゆる骨太方針)は5年、10年にわたって社会保障を切り捨て続ける方針を掲げている。
 歳出の削減と言えば社会保障、歳入の見直しと言えば消費税・庶民増税とすべての負担を庶民に転嫁するというのが自民党・公明党が言う「構造改革」である。
 財政破たんの原因は、軍事費、大型公共事業のむだ遣いと大企業・大資産家への行き過ぎた減税にある。
 米国に次ぐ水準の5兆円の軍事費、グアムの米軍基地にまで国民の血税を投入するという異常さ。国と地方合わせて50兆円に上る公共投資、この無謀な大規模プロジェクトの積み残しで財政赤字が大きくふくらんだことは国も認めている。
 「構造改革」の名の下で連続して大企業減税を実施、相続税・所得税の最高税率を引き下げ、株の売買益や配当課税の減税を進めてきたことが歳入の基盤を直撃した。
 財務省の法人企業統計によると企業の経常利益はバブル期の最高(89年の39兆円)を大きく超え、04年には45兆円に達した。にもかかわらず、この間の法人税収は19兆円から11兆円に、8兆円も減っている。
 社会保障費が財政悪化の主な原因であるかのような小泉内閣の宣伝は全くウソである。
 国の最も大切な政策の第一は「国民の生存権」を保障することである。

 とくに切り捨ての対象となっているのは、障害を持つ人、生活保護を必要としている人、子どもを抱えて働く母子・父子家庭、介護を必要とする病人を抱えた家庭、老人など。さらには、長時間・低賃金・過密労働・不安定雇用にあえぐ労働者。
 こうした人々が標的となっている。
 かろうじて年金で食べている私どもでも申し訳ない気持ちにさせられる。そして税金を払う。脱税など全くしたことはない。

 日本医師会の日医総研のレポートによれば、
《 例えば04年度の国債・借入金残高は78兆円も増えたのに対し、社会保障費はわずか6千億円の増加。社会保障費の増加額と借金の増加額には「全く関係がない」。公共事業の過去の遺産は重く、社会保障削減の一方でイラク派兵が強行され、米軍への「思いやり予算」は死守、今また米軍再編の費用が捻出されようとしている  》
と分析している。

 憲法第25条
 すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する ②国はすべての生活部面について、社会福祉、 社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

とある。だから憲法を変えたいのだろう。彼ら小泉・安倍をはじめとする自民党及び自民党的政治家(野党の一部を含む)の憲法改悪の企みは、9条の改悪だけではない。弱者抹殺、弱者攻撃を合理化するためのすべての部分に及ぶと思って間違いない。憲法9条を変えて戦争をする国に変えるためにはそのことが必要なのだ。

劣情を煽る

2006年08月23日 06時12分04秒 | 読書
毎日新聞 2006年8月21日「発信箱」

《 「劣情をあおるな」 山田孝男
 フランスは第一次大戦でドイツの侵攻をよく防いだが、多大な犠牲を払ったために戦後は反戦思想が行き渡り、平和と繁栄に浸りきっていた。野望を秘めて軍拡に努めたヒトラーの意図を見抜けず、パリはあっけなくドイツ軍に占領されてしまう。昨年日本語訳の復刻版が出た「フランス敗れたり」(1940年)は、渦中を生きた作家、アンドレ・モーロワの回想記である。
 ひるがえって今日。防衛白書によれば、中国の国防費は18年連続で2ケタの伸び率を示した。米国防総省年次報告によれば、中国の意図は短期的には台湾の独立阻止だが、長期的には東アジアで活動する他国軍にとって確実な脅威となり得る。北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器が日本にとって重大な脅威だ。政府が的確な情報を示して国民を説得する限り、自衛隊が米軍の協力を得てよく対処し得る国防政策を支持したいと思う。
 同時に、中国なり北朝鮮なりの独裁政権の意図や軍事的能力を見極めて対抗することと、中国人、朝鮮人を敵視することは区別しなければならないと思う。「フランス敗れたり」の冒頭でチャーチル(後の英首相)はモーロワに「女の愛だの男の野心だのではなく、ドイツに追い抜かれたフランスの空軍力について書きたまえ」と忠告するが、ドイツ人をののしったりはしない。
 最近は平和ぼけ批判の名の下に、身もふたもない民族的偏見をかき立てる出版物が目に余る。相手国が自国民の劣情をあおる反日宣伝に走ろうとも、日本の市民社会は真の国防と悪乗りを厳しくより分ける成熟を示すべきだろう。(編集局) 》
 

「平和ぼけ批判の名の下に、身もふたもない民族的偏見をかき立てる出版物が目に余る。相手国が自国民の劣情をあおる反日宣伝に走ろうとも、日本の市民社会は真の国防と悪乗りを厳しくより分ける成熟を示すべきだろう。」
 全く同感である。
 しかし、『毎日新聞』記者氏なかなか書きますね。頑張って下さい。
 7月30日付のこのブログも似た内容です。ひまのある方はご一読下さい。




 劣情をあおる出版物の一部。2冊「聞けわだつみの声」はさまってますがこれは別。必読です。




小泉の5年間

2006年08月22日 07時23分23秒 | 政治 

 『朝日新聞』8月18日付 コラム「経済気象台」 金融情報欄のコラムである。
  「議論をしない議員たち」
《 5年半近く続いた小泉政権が終わろうとしている。バブル崩壊の宮沢政権から数えて8人目、長期政権となり、ゼロ成長、デフレ、ゼロ金利、不良債権の問題に脱出のめどをつけ、日本経済は新たな成長期に入った。
 だがこれが、改革なくして成長なし、のスローガン通りになったかと言えば、そうではない。改革では、政府部門の焼け太りが目立った。新たな成長は、企業のリストラが進んだところ、中国、アメリカの刺激が注入され、投資、消費拡大につながったためだ、新たな成長の陰で、財政や年金の問題はやり残しとなり、一層肥大化した。
 日本経済は世界、アジア、中国に向かって一層開かれることで回復した。だが歴史認識、外交ではうちに閉じこもる方向に舵を切った。
 あの戦争をどう考えるかは、憲法改正や防衛という今後の政策に直結する。世界が今後の日本をどう受け止めるかにも直結する。日本の首相となる者は、国内外の信頼をかち得るため、このテーマについて考えに考えを重ね、体系的に表明し、行動すべきだ。ところが小泉首相は、このテーマに正面から取り組むことを避け続け、8月15日の靖国参拝を首相最後の大事業として実行した。
バブル・長期低迷期の政策を総括し、小泉首相がやり残して肥大化した大問題、新たにつくり出した内政・外交上の大問題を国民に明らかにし、どう取り組むかで競い合うことこそ、次の政権を志す者たちの仕事のはずだ。ところが自民党の議員の多くは議論せずに、まるで世襲のように次の首相を決めようとしている。大問題を議論するのは、政権獲得にとって得策でないという理由だ。議論をしないで政権を決める議員たちは、国民から遊離し、政治不信の火に油を注ぐことになる。成熟した民主主義国日本はどこに行ったのか。 (曙光)》

 議論をする能力のない人間を議員にしたというのがそもそもの出発点である。
 小泉政権の総括の一部としてはわかりやすいと思う。
 彼は果たして何を改革したのか。
 
 自殺者は毎年、毎年記録を更新し続ける。大企業の空前の利益は不安定雇用労働者が支える。消費者金融は客に生命保険をかけさせて金を貸す。老老介護で介護者が被介護者を殺す。親が子を殺す。子が親を殺す。虐待の限りを尽くして子を殺す。ひたすら競争を強いる教育。その中で愛国心を言う。何千億ともうける若者と生活保護を支給されずに餓死をする人。
 勝者があっても敗者があってもいいのだという。そのくせ税金は広く薄くと貧しい人間からも取らねば国は成り立たないという。
 しかし、やはり言わねばならないのは、そういう為政者を選んだのは国民だ。  


靖国をめぐる亡霊たち

2006年08月21日 07時42分44秒 | 堪忍袋

平泉澄という学者がいた。皇国史観を主唱した歴史学者である。
1895年(明治28年)福井県生まれ。
1935年(昭和10年) 東京帝国大学教授となる。
1945年(昭和20年) 敗戦後、直ちに大学を辞職、言論活動を開始。
1984年(昭和59年) 死去。

 この人物と関わったことがら
 人間魚雷回天を発案した黒木博司海軍少佐。平泉は黒木を激励、軍上層部での採用をと宮中にも働きかけた。
 78年10月、世論を無視してA級戦犯を合祀した靖国神社元宮司松平永芳も心酔者の1人。
 遊就館の戦史パネルを書いた元防衛研究所戦史部主任研究官永江太郎。彼は平泉史学を継承する「日本学協会」理事。
 戦時中は、皇族や政治家、軍人らと交わり、東条英機、近衛文麿両元首相の相談にのるなど、戦争政策に深く関わった。

 農民史をを卒論に書こうとした学生に「豚に歴史はありますか」と反問、学徒出陣前の最終講義では短刀を抜いて和歌を詠み「永久にお別れです」と言ったという。

 「現行のマッカーサー憲法なるものは外国の暴力による強制であり、日本国の憲法とすることは恥ずべきこと。なによりも先に顔を洗って唾の汚れを去るべきだ」と、54年岸信介元首相(A級戦犯)が会長の、自由党憲法調査会で激烈に「自主憲法」制定を主張。
 次期首相と目される安倍晋三は岸信介の孫でその論理は平泉史観と驚くほど似ているという。
 東大を去った平泉の門下生の何人かは、文部省で教科書検定や学習指導要領の作成を担当。80年代にはじまった歴史教科書問題と靖国問題は表裏の関係にある。
 
 戦前戦後を通じ、反平和の立場を貫き通した「歴史学者」である。
 靖国問題の根底にはこういう人物がいた。

 ※皇国史観とは「日本国は皇国であると考え、日本の歴史を皇国の歴史として捉える歴史観」である。その「皇国」とは、天照大神を皇祖とする万世一系の天皇が統治する国をいう。とくに国家主義的な政治・社会体制が強化された段階で、西欧の近代的な歴史思想を排除し、国体を宣揚する歴史観であり、その運動の中心となり指導的役割を果たしたのが平泉澄であったとみられている。(阿部猛 「平泉澄とその門下」『太平洋戦争と歴史学』吉川弘文館)

 荒唐無稽としか言いようのない歴史観である。
 皇国史観、平泉史観という亡霊が戦前のみならず、戦後も徘徊し戦後政治や教育政策に少なからぬ影響を与えているていることには驚かざるを得ない。
                  (『毎日新聞』シリーズ「靖国」 ほか)


球児よ助けてくれ

2006年08月20日 06時05分10秒 | 阪神タイガース
 藤川球児の歌
「every little thing every precious thing」

 every little thing every precious thing(詞・渡瀬マキ 曲・川添智久)

 震えるつま先 高鳴る鼓動
 何度も何度も胸に手を当ててみた
 見えないハードルにつまづいた時
 あなたの気持ちが少しでもわかりたくて
 スタジアムに響き渡る歓声を吸いこんで
 あなたはゆっくり立ちあがる
 every little thing every precious thing
 あなたがずっと追いかけた夢を一緒に見たい
 every little thing every precious thing
 奇跡のゴール信じていま大地を踏み出した

 藤川がブルペンからマウンドに向かう間に流されるテーマソング。リンドバーグというグループの曲。ボーカル担当は渡瀬マキというんだそうだ。藤川にとって00年に結婚した英子夫人との思い出の詰まった曲。英子夫人が故障続きの藤川を励まし、二人でこの曲を聴きながら立ち直り、今日の藤川があるという。
 実はこの曲、陸上競技400㍍日本記録保持者高野進氏と由美夫人の夫婦愛を描いてつくられたものだそうである.
 世界陸上で入賞を果たした高野氏を由美夫人が「私が彼に金メダルをあげたい」とねぎらったシーンに感動して生まれた。同じ勝負の世界に生きる高野氏と藤川、ボーカル渡瀬マキも感動しているという。
 この歌をバックに藤川再び立つ。
 阪神の惨状を救え!
              (ニッカンスポーツ記者村上久美子氏の記事より)

「灯籠流し」アイスランド

2006年08月19日 06時45分34秒 | 平和

最北の「灯籠流し」(『朝日新聞』「特派員メモ」という囲み記事より)

《 休暇で訪れたアイスランドでまさか「灯籠流し」を目にするとは思わなかった。
  北極圏に近い首都レイキャビクでは、8月は午後11時ごろになってようやく薄暗くなる。ホテルに戻る途中、市庁舎前のチョルトニン湖近くを通ると、数百のキャンドルの炎が湖面に揺れていた。 「幻想的だなあ」と近づくと、そこには「ヒロシマ」と「平和」の文字。深夜なのに、小さな子ども連れの家族も目立つ。湖の周辺には、一千人ほどが集まっていた。 
 ラジオ局勤務のフレイル・エイウルソンさん(32)が「広島と長崎の原爆犠牲者に祈りをささげ、核廃絶と世界平和を望む」と訴えると、参加者らは静かに祈った。湖にうかぶキャンドルは、世界最北の島国の「灯籠流し」だった。毎年8月9日に行われ、今年で21回目だという。 
 アイスランドは日本の4分の1強の広さの島々に約30万人が住む。北大西洋機構(NATO)加盟国で、国防を米軍に依存しているが、自前の軍隊を持たない。 
 エイウルソンさんは「小国だが、平和への思いは強い。レバノンでの戦闘や対テロ戦争など、いかなる戦争にも反対だ」と強調した。        さいはての小国の願いが、大きな声となることを願わずにはいられなかった。 (関本誠)》

 「レバノンでの戦争や対テロ戦争など、いかなる戦争にも反対だ」 
 わが国の取るべき態度ではないか。 朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン、イラク戦争など第二次世界大戦後の悲惨な戦争のほとんどにわが国は、アメリカ側の一員として加わった。

 

 


世の虎キチよ

2006年08月18日 07時41分59秒 | スポーツ
 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある人と栖と、又かくのごとし。

 たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へ、高き卑しき人のすまひは、世々を経て尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋 ぬれば、昔しありし家はまれなり。或は去年焼けて今年作れり。或は大家滅びて小家となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、古見し人は二三十人が中に、わづかに 一人二人なり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。

 不知、生れ死ぬる人、 いづかたより来りて、いづかたへか去る。又不知、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その主とすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。或は露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども、夕を待つ事なし。

 ご存じ鴨長明『方丈記』無常観です。しばし心を静め、静謐の中に身をおいて無念無想の世界にひたろう。
 「クッソー」「コノガキャー」「オンドレャー」などと言わずに。


海外旅行と言うけれど

2006年08月17日 11時15分38秒 | 堪忍袋
海外旅行というけれど飛行機は大丈夫?

夏休み、お盆ということで空港の情景がよく報道されるが、飛行機は大丈夫なんだろうか。
昨年11月、日本航空機で、左の第一エンジンと右の第4エンジンを入れ替えて取り付けた「前代未聞」の事態が発覚した。定例整備を依託する海外企業の一つ、シンガポールのSASCO(サスコ)社の作業。
日航、全日空ともアジアの整備場への依託を急増させている。
日本の整備労働者の証言によると「定例整備を終えて日本に戻ってきた機体を見ると『またか』という話になる。注油忘れ。配線ミスでブレーカーが飛ぶ。最近では翼のすきまからネジを入れた袋のひもがみ見つかった。… そんな不具合がたくさんあって、2、3日再整備しないと就航できない。事故にならないよう必死でミスをカバーしている。」「飛行機の構造を知っていればありえないようなミス」が目立っているという。
昨年8月、サスコ社が整備した日航機に多数の腐食や亀裂が発見された。10月には別の日航機で、急減圧したときに客室の床が抜け落ちるのを防ぐ通気孔パネルが接着剤で固定され、開かなくなっていた。
ある機長は「重大事故の芽を摘むための後追いができていない。国や会社は委託先の能力を検証しているのか」という。
海外整備も規制緩和で可能になった。その狙いは「利益」。これも国策として行われた。
「中国・シンガポール・タイにおける整備コストは本邦社の3分の1」(定期航空協会資料)
海外の整備会社の信じられないほどのずさんな作業、乗客の安全など無視したコスト削減は、果たして何をもたらすか。
                  (『しんぶん赤旗』より再構成)