三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

ただ働き大国 日本

2008年02月05日 10時08分51秒 | 労働問題

 「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」とした。同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。従業員の4割が管理職でただ働きは当然だというのが会社側の主張。品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもある。
 
 日本がどれほどの大国か知らないが、労働者や長年働いてきたお年寄りを大切にしない、ただ働き、人間使い捨て大国であることは間違いない。
 
 以下は 2月4日付『毎日新聞』の社会面の小さな囲み記事「生き生き 今日の一言」
「定時退社で文化水準は向上」
 海外で仕事をすると、定時にはオフィスから人がいなくなることに驚く。午後5時過ぎに帰宅する人。子供を迎えに行く人、食事や観劇にゆく人でロッカールームは大にぎわいだ。毎週のように映画や、スポーツの応援に出かける。日本では毎日残業状態の場合が多い。文化スポーツの主催者も採算が十分とれないので、興行の場所は大都市が中心になる。残業が少なくなると、企業の生産性は少し低下するかも知れないが、文化的な水準が向上することが期待できる。
(大阪大学大学院医学系研究科保健学准教授・石蔵文信)

 文化水準の向上を享受することも大切だが、今の日本では労働者が生き延びることを考えることが先のような気がする。
 命の問題だ。 

 


「過労自殺」

2007年05月19日 10時00分47秒 | 労働問題
  過労自殺 最悪66人
 『毎日新聞』5月17日付一面記事の見出しである。
 「過労自殺」というような言葉が定着しているんだろうか。恐ろしい時代が来たものだと思う。
 厚生労働省のまとめによると、長時間労働や、仕事のストレスが原因の自殺で06年度に労災認定を受けた人が前年度比57.1%増と急増し、過去最多の66人に上ることがわかった。
 うつ病など精神疾患が認定された人も前年度比61.4%増の205人で過去最多。
 過労で脳出血や心筋梗塞などを発症した「脳・心疾患」の認定を受けた人355人で過去最多。
 長時間労働の実態は、残業時間では月80~100時間未満が最多の116人、100~120時間未満は101人で前年度より大幅に増えており、長時間労働がより過酷になっていることが分かった。
 [KAROUSI」という言葉が世界語になっているとは何年も前から言われてきたことだが、「過労自殺」とはあまり聞いたことがない。働いて、働いて、追いつめられ、追い込まれて、あげく自殺する。
 なんたる無惨! 日本はここまで来た。
 「改革なくして成長なし」と小泉は言った。これがその実態だ。




 

最低賃金

2007年03月11日 17時25分02秒 | 労働問題
 英政府は7日、全国最低賃金(時給)を10月から最大約3.2%引き上げることを明らかにした。22才以上の労働者の現在の最低時給は5.35ポンド(約1200円)から5.52ポンド(1240円)に引き上げ。1999年4月の導入以来、8年連続の引き上げで導入時の1.5倍となる。
 全国最低時給は、現ブレア政権が初めて導入。導入時の22才以上の最低時給は3.6ポンド(810円)であった。
 ダーリング貿易産業相は、今回の引き上げで100万人以上が恩恵を受け、その3分の2が女性であると説明した。
 政府はまた、最低時給を守らない企業に対して、より厳しい罰則を設ける意向だという。労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は「英国の最低賃金は偉大なサクセスストーリーだ」と述べ、最低賃金制度のなかった英国が世界有数の高い最低賃金を定める国となったことを評価した。しかしまだ今回の引き上げでも、平均賃金の上昇率を下回ったことには不満を表明した。
 経済団体の英産業連盟(CBI)も歓迎を表明した。
 
 のだそうである。

 大企業は肥え太っているが、労働者が低賃金にあえぎ、疲弊している国、絶対的に荒んでいくであろう。
 
 「美しい国」とは何か。

  

「仲間が助かった!」宮崎県日向市漁協

2007年02月13日 17時52分29秒 | 労働問題
「仲間が助かった!」宮崎県日向市漁協
 2月9日以後消息を絶っていた宮崎県日向市漁協所属アグロ延縄漁船「幸吉丸」の救命ボートが発見され、乗っていた3人全員が救助された。
 生き延びた第一の要因は、救命ボートを積んでいたこと、その扱いのための訓練をしていたことのようだ。
 救命ボートには、浮き輪、食料、飲料水、バケツ、ナイフ、医療品、釣り道具、保温剤、発煙筒、生存指導書、海面着色剤などが装備されていた。普通にはこのタイプの救命ボートは、漁船には積んでいないのだそうだ。サバイバルに勝ち抜いたのはそのために必要と思われる準備が周到であったということである。危険な仕事に従事する労働者の方々は、万全の対策を怠らないようにと、切に思う。
 
 この事故の報道で特に印象に残ったのは、安否を気遣って集まった仲間の労働者の爆発的な喜びの姿であった。
 涙を流し、抱き合って、飛び跳ねて仲間の無事を喜ぶ姿が感動的であった。
 
 しかし、3人の話によると、9日10時頃白い大型船が右舷側から衝突、、相手船は止まらずに北東方向に逃げ、船名も確認できていないという。こういう無法がまかり通れば、個人の努力では命を守れない。徹底的な追求をやってもらいたい。 
 
 これからもどうか「ご安全に」。
 

みんな反対 

2007年01月20日 15時36分06秒 | 労働問題
 みんな反対
 安倍首相は、「ホワイトカラーエグゼンプション」法案の、今国会提案を見送る、と表明しました
 訳の分からないカタカナ語は通ぜず、「残業代不払い法案」と労働者がみんな気づいて反対世論が広がっているからです。財界、政界は「自律的に働くための制度」などとほざいていますが、労働時間規制をなくして、自由に帰れるものか。既に残業代などでないのに際限もなく働かされ、長時間労働に苦しめられている労働者がいます。例えば「管理監督者」です。経営者と同様に、自分で仕事を管理できるといいますが、係長や、部下はバイトだけという店長にまで広がっています。24時間営業の店舗が増えていますが、このなかで「管理監督者」の人たちは、長時間拘束され、他の社員をうらやましいというほどの低賃金だといいます。
 のせられたらあきません。断固反対です。





労働ビッグバン

2006年12月22日 16時13分05秒 | 労働問題
 ヤバイ!労働ビッグバン
 政府の諮問会議などで「労働ビッグバン」というようなことを言い始めた。
 経済財政諮問会議(座長安倍晋三、以下御手洗冨士夫日本経団連会長、八代尚宏国際基督教大教授など)が提案している。
 日本の労働法制を根底からひっくり返す企みをもっているようだ。史上空前の利益を上げてきた大企業のむちゃくちゃなやり方、違法なやり方を合法化するために法律を作りかえようとするもの。 
今、政府財界が画策している「労働ビッグバン」の中身とは、基本的には次の三つだと言われる。
 ◇ 派遣労働の固定化…偽装請負の合法化、一定期間働いた後での派遣労働者の直接雇用義務の廃止。
 ◇ ただ働き・サービス残業の合法化…何時間働いても残業代が出ない制度、ホワイトカラーエグゼンプション制度の早期導入。
 ◇ 解雇の「自由」化…不当解雇でも金さえ払えば労働者を首にできる「解雇の金銭解決制度」の導入。
 要するにに不安定雇用、賃金抑制、長時間労働、首切り自由化という労働者にとっての生命線を奪う制度の導入である。
 絶対許してはいけませんよ。労働者を金もうけの道具にしか考えていない大資本及びそれに迎合する政府と与党自民党公・明党の企み。
 教育基本法改悪の後は労働基準法の改悪か。

 憲法
第27条「労働の権利・義務、労働条件の基準、児童酷使の禁止」
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
②就業時間その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
③児童は、これを酷使してはならない。
第28条
「労働者の団結権・団体交渉権その他団体行動権」
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 労働基準法
第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。
②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように務めなければならない。
第2条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
②労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その業務を履行しなければならない.



日本崩壊への道 労働ビッグバン

2006年12月13日 11時17分39秒 | 労働問題

【 「労働ビッグバンと再チャレンジ支援」という名のペーパーが経済財政諮問会議で議論されている。民間議員4氏が連名で提案したものだが、これほど強引でバランス感覚に欠ける主張も珍しい。これが実現すればわが国の貧富の格差はさらに広がるに違いない。
 ペーパーは前文で「複線型でフェアな働き方を実現させ働く人ひとりひとりが『働くことへの誇り』を持てるようにし、同時に企業活力を増強させるよう関連制度を包括的に見直す必要がある」とうたっている。一見公正であるようだが、真の狙いはそんな生易しいものではない。
 現に中心的役割を果たしている八代尚宏氏は「日本のような正社員と非正社員との身分格差は賃金の年功制や過度の雇用保護から発生している。仕事能力にかかわらず雇用が保護されている正社員の既得権の見直しが重要である」と主張している。つまり、労働の規制緩和の名のもとにさらに労働者の非正規化を推進しようという狙いなのだ。
 これは労働現場の実態を全く無視した議論である。規制が緩和されれば「転職の自由度」が高まり、より効率的な労働市場が確率するというが、それは働くものが経営者と対等の立場に立ってこそ可能なのだ。しかし、現実は天地の差がある。そのために労働者に団結権が、経営者と対等に交渉できる道が開かれたのである。そして、労使交渉で勝ち取ってきたのが労働関係の規則なのだ。
 ビッグバンがまかり通れば経営者は正社員をもっと解雇し、コストの安い非正規社員を増やすであろう。そうなれば労働者の生活は低下し、子供を産むことも難しくなる。極端に言えば、社会崩壊へつながる契機となりかねない。実現を阻止するよう労働組合の奮起を促したい。                                                                                                                (邦)  】

 12月13日付『毎日新聞』 経済欄コラム「経済観測」である。
 極めてまっとうな意見というか、今日の日本の労使状況に危惧を抱きつつ述べられていると思う。
 日本国憲法、労働基準法、教育基本法が機能していれば何とか国民の生活はぎりぎりのところで守られるのではないか。と思ってきたが、すべての面で危うくなってきた。
 権力を縛る法律はすべて換骨奪胎し、形骸化し、骨抜きにしようとしている。
 労働者が国を背負う。労働者が生き生きと明るく生きてこそ国である。
 日本が近代国家として存続しうるかどうか、瀬戸際であろう。

 

 

 


亡国的労働政策 日本は亡ぶ

2006年07月28日 06時17分32秒 | 労働問題
  長時間労働 規制せよ      関西大学教授 森岡孝二氏 (縦並び社会 格差克服への提言ー② 『毎日新聞』7月25日付より)
《便利な消費生活は過酷な労働で支えられている.24時間営業が進み、つねにどこかで誰かが働いている。コンビニやファミリーレストラン、スーパーがそうだ。この流れがどこまで行くのか。合理的な基準を導入し、妥当性のある業種については営業時間を規制することが必要だと思う。
 労働者の現状は出生率に最もよく表れている。
 フルタイムの男性の4人に1人が60時間を超えて働いているが、それでは異性と付き合ったり、子どもを育てることは困難だ。
  長時間労働を規制すれば「国際競争力を失う」という主張があるが、日米英よりはるかに労働時間が短いオランダや北欧は経済が成長しているし、生活は豊かだ。
  労働形態としては、フルタイムもパートタイムも人生の各段階の生活設計に応じて選べ、相互に移行が可能なことが理想だ。ただ私の言うパートとはあくまでも働く時間のことで、時間による賃金の平等と雇用の安定が保証されていることが大事。
  オランダではフルタイムとパートの間で時間あたりの賃金、年金、雇用期間、昇進などの労働条件に格差を付けることを禁じている。    
  「ホワイトカラーエグゼンプション」導入の動きも大きな問題だ。特定の職種では残業代の支払い義務を除外する制度で、労働者が自分で労働時間を決められるようにするというが、実際は違う。工場では班長、オフィスでは課長や係長まで「管理・監督」にして残業手当を出さない会社が多い。これをさらに拡大するような法律を許してはならない。
  国の政策は消費者や投資家のニーズ優先で決まってきた。誰もが労働者でもあるのに保護する仕組みが取り払われている。働き過ぎが進むと人間関係がすさみ、自殺やうつ病などの病理現象が広がっていくだろう。「働くこと」とは何か。もう一度原点に立ち戻って考えるべきだ。》  
  
週60時間という労働、家庭崩壊、子育て崩壊、小手先の少子化対策、少子化対策担当大臣など、笑っちゃう。聞いてあきれる。  
  亡国的労働政策、長時間・低賃金・超過密労働、日本は亡ぶ。
  労働者が疲弊して日本が成り立っていくものか。『女工哀史』、『職工事情』、『日本の下層社会』の時代にもどった。