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「民主主義」文部省著作教科書 1948年

2015年09月01日 14時26分54秒 | こくみんをなめんなよ
 1948年文部省(当時)は「民主主義」という社会科教科書を作り、中学3年と高校1年向けに配布した。(1948~1953) 以下はその教科書の一部抜粋である。

 【 第5章 多数決

(略)・・・多数決という方法は、用い方によっては、多数党の横暴という弊を招くばかりでなく、民主主義そのものの根底を破壊するような結果に陥ることがある。なぜならば、多数の力さえ獲得すればどんなことでもできるということになると、多数の勢いに乗じて一つの政治方針だけを絶対に正しいものにたてまつり上げ、いっさいの反対や批判を封じ去って、一挙に独裁政治体制を作り上げてしまうことができるからである。・・・・(略)
 第一次世界大戦に負けたドイツは、ワイマールという町で憲法を作って、高度の民主主義の制度を採用した。ワイマール憲法によると、国の権力の根源は国民にある。その国民の意志に基づいて国政の中心をなすものは、国会である。国会議員は男女平等の普通選挙によって選ばれ、法律は国会の多数決で定め、国会の多数党が中心となって内閣を組織し、法律によって政治を行う。そういうしくみだけからいえば、ワイマール憲法のもとでのドイツは、どこの国にもひけを取らないりっぱな民主国家であった。
 ところが、国会の中にたくさんの政党ができ、それが互に勢力を争っているうちに、ドイツ国民はだんだんと議会政治に飽きて来た。どっちつかずのふらふらした政党政治の代わりに、一つの方向にまっしぐらに国民を引っ張って行く、強い政治力が現われることを望むようになった。そこへ出現したのがナチス党である。初めはわずか7名しかなかまがいなかったといわれるナチス党は、たちまちのうちに国民の中に人気を博し、一九三三年一月の総選挙の結果、とうとうドイツ国会の第一党となった。かくて内閣を組織したヒトラーは、国会の多数決を利用して、政府に行政権のみならず立法権をも与える法律を制定させた。政府が立法権を握ってしまえば、どんな政治でも思う力ままに行うことができる。議会は無用の長物と化する。・・・・(略) 】

これが、文部省著作の社会科教科書の内容である。高い理念で書かれ、現在の状況をほぼ正確に予測している。
1947年に出された「あたらしい憲法のはなし」は、よく知っていたが、この教科書は最近知った。すごい過激ともいうべき内容である。
 自民党は、長期政権のもとで少ない票で、さらに多数の議席を得るべく小選挙区制度を作りあげ、今日それを民意というに至った。
 本当の民意はどこにあるか、早く彼らに知らしめねばならぬ。急を要する。

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