三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

すみれ

2007年03月31日 19時16分03秒 | Nature Photo



   山路来てなにやらゆかしすみれ草    芭 蕉

   菫程な小さき人に生まれたし      夏目漱石

この漱石の句はなんだろう。
ひとかたきほどのわらびをとっての帰り。

満開! すもも

2007年03月29日 14時17分14秒 | Photo


今日の満開は、すもも。
ほったらかしのすももです。普通はこんなに樹高高くしません。
作業をしやすいように低く作ります。
ウイルスやら害虫を殺さなければまともな物は出来ません。
味はよいのですが、毎年、虫食いやら、変形したのが多く、
食べられるのはちょっとです。

         青白き李の花は霞まずに      佐野 良太





「癒しの音楽」

2007年03月16日 15時57分07秒 | 芸術
 「癒し」「癒される」という言葉を最近よく聞き、何とはなしに違和感を感じていた。
 音楽の持つ「癒し」ということについて渡辺裕氏(東大大学院教授・美学芸術学)が3月15日付『毎日新聞』に書いている。タイトルは「『癒しの音楽』は危険な罠」。少し長いのですが、ご一読を。

 世の中がひどくヒステリックになっている。論理的思考や冷静なバランス感覚が、没論理的な激情的うねりにあっという間に押し流されて無効化され、チェック機能も働かなくなるようなことが相次いでいる。「小泉劇場」などと呼ばれる状況に象徴されるように、多面的な視点と冷静な判断が一番求められるはずの政治家までがそういう動きに翻弄されている。
 テレビも新聞も論理や思考の影はうすく、「感動」や「怒り」の大安売りである。無知ゆえに一方的に流れがちな素人に対し、物事を裏から見たり斜めから見たり、想像力を働かせて敢えて逆の立場に身を置いたりして、多面的な視点を提示し、ヒステリックな暴走をとめるのがマスコミの役割だと思うのだが、今はマスコミ自体がそれを作り出し、あおっているようにみえる。危機的状況だ。
 世の中の落ち着きがなくなってくると、せめて一時でも現実逃避できる安らぎの場所を確保したいという欲求が生まれる。その切り札として登場するのが音楽だ。「癒し」などのタイトルがついたCDが次々と出てくるのはそういう状況の反映だろう。だがこの音楽、なかなか一筋縄でいかない曲者なのである。
 音楽は古来、感情をかきたてることによって人を動かす強い力を持つと考えられてきた。プラトンは政治家たる者は音楽を熟知すべきであると述べた。音楽を効果的に使う術を身につけることが、いわば理屈抜きに人間を動かす武器になると考えたからである。中国にも、同様な考え方にもとづき、音楽の秩序の支配こそ国の支配の源だとする思想があった。こういう考え方はその後もいろいろな形で残り続けた。日本が開国直後の明治十二年という早い段階
で、音楽教育普及のために音楽取調掛(後の東京音楽学校)を作ったのも、音楽が国家統治のための不可欠な手段だと考えた結果であり、日本を文化的な国にしたいなどと考えてのことではない。音楽は「癒し」どころではなく、人々を政治的に支配するための強力な武器だったのである。
 芸術の自律性が認識された近代には、音楽のそのような性格は背景に退いて行く。

(・・中略・・。しかし、音楽はいろいろな方向に人を引っ張り込む力を持つ危険な存在である。例として)

 以下要約
 そういう例で思い出されるのはベートーヴェンの《第九》である。フランスの革命シャンソンにルーツを持つとも言われるこの作品は、二〇世紀初頭のドイツで労働者運動を盛り上げる切り札として使われる一方、一九三六年のベルリン・オリンピックの開会式では、ナチが人々を引き込むための道具となった。日本でも戦時下の一九四四年出陣学徒壮行大音楽会、戦後のうたごえ、労働運動と全く逆とも言ってよい様々な動きの中で絶大な効果を発揮した。論理を抜きにし、感情レベルで人を動かし、引き込む絶好のメディアなのである。没論理的・感情的にものが動くようになっている昨今、音楽はその動きに拍車をかけるもっとも危険な存在ではないかという気がしてくる。

 本文
 必要なのは、音楽の持つ巨大な政治的力を認識し、そのあり方を見きわめた上で、それをプラスに転化して「平和利用」する術を考えることの出来る知性である。  (・・以下略)




 




採用シーズンを前に

2007年03月15日 09時58分22秒 | 政治 

  3月14日『毎日新聞』経済欄コラム「経済観測」

【  最近、一流といわれるある大学で教鞭をとっている人から聞いた話であるが、今年の新入生の質は、早くからゆとり教育で育った世代のせいか一段とひどい。学力が劣るだけはでなく、学ぶ意欲にも欠けるものが少なくないとのことである。
 その人によれば、企業としても4年後にはそうした人材を受け入れることになることを覚悟すべしということであった。
 その話を聞いてふと思ったのは、昨年末問題になったいわゆる未履修の根はかなり深いところにあるのではないかということであ。大学受験に必要のない科目を外した方が受験に有利と考えた高校側の問題というのが一般的な見方のようであるが、それだけでなく生徒の側に学ぶだけの力も、学びたいという意欲もなかったという面がなかったかどうか。高校に責任があるとすれば、そうした生徒におもねって、未履修を引き起こしたことにあるのではないか。
 私たちの時代、文化系に進むものが歴史を学ばないですむなどといったことは考えもしなかった。しかもグローバル化が叫ばれる時代に世界の歴史を知らないで何がわかるというのであろうか。そんなことも考えずに必要最低限のことだけやればすむなどと考える人間に大学に入る資格があるのであろうか。こんな若者が就職してくる時代になるとすれば、これまでのように、平均的な力はあることを前提に、どこの大学を出たかは問わない、大学に成績も見ない、人物本位で採用するなっどといっていたらとんでもないことになりかねない。大学で何を学んだかを確認するとか、採用の時期を4年生の秋以降に遅らせることなども考えておいたほうがよくはないか。
                               ( 童 )   】

 大学で何を学んだか、何を身につけたかといわれると、冷や汗が出、忸怩たる思いにかられる。
 それでも(童)子の心配はわかる。が、その原因が直ちに、ゆとり教育で育ったからといわれると異論はあるが。


知事ネタ

2007年03月14日 11時06分28秒 | 政治 


 川柳 知事ネタ

 またも拝借 『毎日新聞』仲畑流万能川柳 選 仲畑 貴志氏 3月14日付

 税金と知るか知らずか知事の客     土浦   山田三太夫

 知事候補僕は辞退と電話する      武蔵野  竹とんぼ

 さんま知事志村けん知事たけし知事   久喜   青毛のアン
 
 石原のまばたき数が多くなり      川崎   望月重治
 
 選挙前暴言やめた慎太郎        札幌   竹内達郎

 身銭切る覚悟でおやり都知事さん    小田原  広瀬まさ子
 
 それとなく気配消してる石原氏     東京   ノムノム

 町が市となってもクマは知らんわな   大崎   一見紳士風
 
 自宅でも都知事出来ると証明し    東京   金ジイ

 次々と出てきて都知事シュン太郎    桜井   宮本昇

 料亭で恥部さらけだす石原氏      足利   菊池治夫

 粋でない税でやるなよ親ばかを     川崎   武蔵ハジメ
 
 都知事さん税でぜいたくそりゃないぜ  綾部   あらさが氏

 弟で入れた都民がバカだった      さいたま 里の春

 太陽族いよいよ来たか日暮れ時     市原   玉チャン

 東京都自分の物と思ってる       伊賀   頓馬天狗

 都政って片手間仕事ですむみたい    敦賀   松原気比

 万柳を恨まないでね石原氏       東京   黒川哲子


最低賃金

2007年03月11日 17時25分02秒 | 労働問題
 英政府は7日、全国最低賃金(時給)を10月から最大約3.2%引き上げることを明らかにした。22才以上の労働者の現在の最低時給は5.35ポンド(約1200円)から5.52ポンド(1240円)に引き上げ。1999年4月の導入以来、8年連続の引き上げで導入時の1.5倍となる。
 全国最低時給は、現ブレア政権が初めて導入。導入時の22才以上の最低時給は3.6ポンド(810円)であった。
 ダーリング貿易産業相は、今回の引き上げで100万人以上が恩恵を受け、その3分の2が女性であると説明した。
 政府はまた、最低時給を守らない企業に対して、より厳しい罰則を設ける意向だという。労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は「英国の最低賃金は偉大なサクセスストーリーだ」と述べ、最低賃金制度のなかった英国が世界有数の高い最低賃金を定める国となったことを評価した。しかしまだ今回の引き上げでも、平均賃金の上昇率を下回ったことには不満を表明した。
 経済団体の英産業連盟(CBI)も歓迎を表明した。
 
 のだそうである。

 大企業は肥え太っているが、労働者が低賃金にあえぎ、疲弊している国、絶対的に荒んでいくであろう。
 
 「美しい国」とは何か。

  

鹿児島県議選捏造事件

2007年03月02日 19時48分49秒 | くらし
 03年4月の鹿児島県議選をめぐる選挙違反事件の判決が23日、鹿児島地裁であり、谷敏行裁判長は公職選挙法違反(買収・被買収)の罪に問われた鹿児島県志布志市の元県議・中山信一被告(61)ら12人の被告全員に対し、「いずれも犯罪の証明がない」と無罪を言い渡した。谷裁判長は、2回の買収会合に出席していないとする中山被告のアリバイを認定し、「買収会合の事実は存在しなかった」と判断。6人(起訴後死亡した1人は公訴棄却)の自白調書は「脅迫的な取り調べがあったことをうかがわせ、信用できない」などとして、検察側の主張をことごとく退けた。
 恐るべき「犯罪のデッチ上げ」であり、背筋が寒くなる。

 大谷昭宏というジャーナリストがいる。しょっちゅうテレビに出てくるのでご存じの方も多いと思う。
 3月2日付『ニッカンスポーツ』のコラム「大谷昭宏フラッシュアップ」に次のように書いている。

【 無罪を報じるテレビニュースでコメントしながら、「これを冤罪といってはいけない。警察が全く架空の事件を作り上げた事件だ」と言って、私はすべての局で捏造事件と言い換えて放送した。
 先週、鹿児島地裁で、03年に行われた鹿児島県議選で買収などの罪に問われた被告12人全員に無罪が言い渡された。その判決の数日前、私は買収事件の舞台となった志布志市四浦の懐集落を訪ねた。鹿児島空港から車で1時間半の志布志市。その中心からさらに山間を縫って50分。こんな山奥に、という所に戸数わずか6戸、20人が住む懐集落がある。
 なぜこんな集落が警察のデッチあげ事件に使われたのか。答えは簡単。人里離れた集落の人たちは公選法の買収の意味も弁護士の頼み方も知らない、県警はそこに目をつけたのだ。いくら地方の選挙とはいえ、有権者のたった0.2%。そんな集落の十数人の有権者のために候補者が4回も会合を開き、10人余りに191万円もの金を使うことはあり得ないとわかっていながら、集落の人を次々に逮捕。当然のことながら、男性はもちろん女性も素裸にして体の細部まで調べ上げた。そんな純朴な人たちに「お前以外はみんな自白した。お前一人のせいでみんなが村に帰れない」「交通違反の切符に拇印を押すのと同じことがなぜ、できんと」と責め立て、金を配った側に仕立てられた県議は1年以上、集落の人も4ヶ月、5ヶ月と留置場や拘置所にぶち込まれた。
 買収した側とされた志布志市内の男性の足下には、刑事が故人になった父親や、かわいい孫の名前を書いた紙を置き、その字を踏ます「踏み字」を強要。引っ張られて、あまりの痛さに男性の足が踏み字につくと「この人でなし。お前は親や孫を踏みつけるのか」と大声で罵倒された。
 デッチ上げられて被告とされてしまった人たちは小間物屋一つない山奥の集落、薪で炊いたご飯のお握りを作って私たちを待っていてくれた。判決に期待しながらも、インタビューが警察の取り調べの様子に及ぶと恐怖の体験からガタガタ震え出す人や、あまりの辱めに涙がこぼれ落ちそうになる人もいた。
 何より怖いのは、こうした架空の事件の調書に対して裁判長が「あるはずのない事実が具体的、迫真的に書かれていることだ」と述べていることだ。つまりプロの裁判官だから、出来過ぎている事が見破れたという。それが再来年に始まる素人参加の裁判員制度だったらどうなるだろうか。
 被告にされた人たちは必死で私に覚え立ての「取り調べの可視化」を訴えていた。こんな苦しい思いをもう誰にもさせたくない。だから調べの様子を録画や録音しておいてほしいというのだ
 いま私たちがせめて出来ることは、この方たちに可視化なしには、断じて裁判員制度を導入しない、と約束することではないだろうか。 (ジャーナリスト) 】

 これが法治国家とされる日本の警察、検察の姿である。『美しい国」とはなにか。

  





トヨタ株価:時価総額、30兆円!

2007年03月01日 12時20分19秒 | 読書
 トヨタ株価:時価総額、日本企業で初めて30兆円突破
 東証1部上場のトヨタ自動車の株価が27日、前日終値比50円高の8340円で取引を終え、発行済み株式数を掛け合わせた時価総額が約30兆1000億円となった。30兆円の大台を超えたのは日本企業として初めて。2位は三菱UFJフィナンシャル・グループの16兆円台、3位はNTTドコモの10兆円台と、トヨタは企業価値で他の日本の大手企業を大きく引き離している。
 海外市場を中心に販売好調が続くトヨタは、07年にも世界生産・販売台数で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き、世界1位となることがほぼ確実。また円安も追い風に07年3月期連結決算での最終(当期)利益が1兆5500億円と過去最高益を更新する見通しで、好業績を背景に株価の上昇が続いていた。
 トヨタの株価は05年半ばまで4000円前後で推移しており、わずか1年半余りで2倍に上昇した。(『毎日新聞』2月28日付【三島健二】)

 トヨタは製造業で世界一の利益を上げ、自動車の売上台数世界一も目前に迫っている。だが、この世界一の利益、営業利益で二兆円を超え、純利益で一兆五千億円に迫る。
 確かに生産が増え、販売が増えた。トヨタの2000年3月決算時の売上高は12兆9千万円であったのが、2006年度には21兆円になり、6年間で1・63倍になった。生産台数も500万台から771万台、1・54%になった。しかし、この間にトヨタの利益は4100億円から1兆3700億円、実に3・4倍に膨らんだのである。当然、売上利益率は3・15%から6・52%と、2倍に拡大した。

 労働者はどうなんだろう。
 この結果は、トヨタをはじめとする大企業のすさまじいコストダウンによるものであり、それを可能ににしたのは労働市場の規制緩和による。
 労働市場規制緩和の担い手となったのがトヨタ出身経団連会長奥田氏であった。そしてトヨタと日本の大企業のコストダウン要求は単なる非正規労働者の導入によって解決できるレベルではなかった。下請企業はより安い外国人労働者を導入し、さらに次から次へと違法行為を積み重ねた。そのことによって日本の労働市場は不法状態が構造化していった。この規制緩和が偽装請負・違法派遣・偽装出向、残業割増・社会保健・年金未払い、年次有給休暇未支給、労災隠し、賃金未払い、違法解雇等などを生み出した。そればかりではない。このトヨタ下請企業は現代日本型の強制労働にまで手を染めていた。

 世界一の企業トヨタは、労働者に対する処遇も世界一であってもらいたい。