8月4日の『朝日新聞』社説
「靖国参拝」というタイトル、見出しに「嘆かわしい首相の論法」
時の首相の言動を、嘆かわしいというのは、極めて刺激的である。
靖国神社参拝にこだわり続けた5年間の、小泉首相なりの最終答案と言うことなのか。それにしてもなんともお粗末と言うほかない。
3日付で配信されたメールマガジンで首相は年に一度の参拝に改めて意欲を示した。
その中で「私の靖国参拝を批判しているマスコミや有識者、一部の国」にこう反論している。「戦没者に対して、敬意と感謝の気持ちを表すことは良いことなのか、悪いことなのか」(社説一部)
合祀されている絞首刑となったA級戦犯は戦没者と言ってよいのだろうか。
神奈川県藤沢市在住の作家、山中亘氏(75歳)がこのほど発見した旧陸軍内部文書の写しによれば、合祀されたA級戦犯の一人、東条英機元首相自身が、靖国の合祀対象を「死没の原因が戦役勤務に直接起因」する軍人・軍属に限るように指示していた。(『毎日新聞』8月8日付)
B級(捕虜虐待)C級(非戦闘員の虐殺、及び人道に対する罪)に対する裁判も国内、国外においても行われ、920人が処刑された。国外での裁判はとくにずさんな通訳もない裁判であったという。この人たちは早くから合祀されている。「上官の命令は朕が命令」の時代、彼らも犠牲者であった。
「私は貝になりたい」(1959年作品)で平凡な理髪店主を演じるフランキー堺がC級戦犯とされ、絞首刑を宣告される。13階段を上るシーンをご記憶の方もあると思う。
A級戦犯は決定的に違う。国民を有無を言わせず死地に追いやった側である。
小泉首相はA級戦犯も含めて「敬意と感謝」の対象として参拝して何が悪いと強弁する。彼の頭脳構造はどうなっているのか。理解しがたい。