三流読書人

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ドングリ小屋住人 

普天間 沖縄に対する構造的差別

2011年10月02日 12時54分34秒 | こくみんをなめんなよ
9月28日付毎日新聞 囲み記事 「異論反論」より
寄稿 佐藤 優 氏
構造的差別と認識せよ
普天間問題「沖縄の理解を」と首相が訴えました。
《・・・・・略・・・・・
 野田首相は、沖縄が米海兵隊普天間飛行場の辺野古(沖縄県名護市)への受け入れに理解を示す可能性が皆無であると言う現実を直視すべきだ。率直に言おう。政権交代以前ならば、辺野古移設の可能性はあった。しかし鳩山由紀夫政権が沖縄県外への移設を口にしながら、最終的に辺野古移設に回帰した過程で、普天間問題の位相が変化してしまった。
野田首相を含む東京の政治エリート(国会議員、官僚)は普天間問題を安全保障の枠組みで考えている。これに対して、沖縄は普天間問題を東京のエリートによる沖縄への差別問題と捉えている。この認識の差異を正確に理解しない限り野田首相がいくら誠実に努力しても、空回りするだけだ。日本の地上面積の0.6%にすぎない沖縄に在日米軍基地の74%が所在しているという現状はは、明らかに不平等だ。しかし、沖縄はその不平等な現実に耐えてきた。その背景には以下の琉球語(沖縄方言)の俚諺に象徴される沖縄の精神的伝統がある。「チュニクルサッティン ニンダリーシガ チュクルチェ ニンダラーン (他人に痛めつけられても眠ることはできるが、他人を痛めつけては眠ることはできない)」

 民主主義原則の適用他都道府県と同様に 
当時の鳩山首相が沖縄県外への移設を模索すると宣言したとき、沖縄は「ついにわれわれの痛みを理解し、その解消に努力してくれる首相が現れた」と心から喜んだ。しかし外務官僚、防衛官僚の包囲網によって鳩山首相は身動きが取れなくなり、辺野古案に回帰してしまった。この過程で見えたのが差別の論理だ。沖縄県以外の都道府県が海兵隊飛行場を受け入れないのは地元の民意が反対しているからだ。民意に反する政策をしないと言うのが民主主義原則だ。沖縄の民意も海兵隊飛行場の受け入れに反対してるにもかかわらず移設を強要されるのは、沖縄に民主主義原則が適用されないと言うことに他ならない。これは明白な差別だ。しかもこの差別は、人間にたとえるならば生活習慣病のように構造化しているので、東京の政治エリートにはどこに問題があるか見えないのである。野田首相が構造的差別という観点から普天間問題を見つめれば、新たな展望が開かれる。  》


 佐藤 優という人どんな人かは知らない。元外務省のエリートのようだが現在は作家であると言う。どんな作品があるのかは知らない。時々テレビで見る。
 この意見には全面的に賛同する。
 彼の言う「政治エリート」のイメージの貧困はひどすぎる。日本国民は何を望んでいるか、ということが見えていないものたちが日米合意というが、国民が合意したわけではない。まして沖縄県民が合意したわけではない。
 さっそく野田首相はオバマ大統領に恫喝されて「沖縄に県外移設を望む声があることも承知しているが丁寧に説明しながら(県内移設に)ご理解をいただくということ」と述べたという。丁寧に説明すれば沖縄の民意が変わると言うのか。馬鹿も休み休み言え。政治エリートのなかにある「構造的差別」、重いぞこの言葉。