三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

正岡子規 瓶にさす藤の

2009年04月29日 21時02分17秒 | Photo



瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり    正岡子規

瓶(かめ)に藤が生けられている。
その花房が短いのでたたみにとどかない というのである。
それで それが どうしたの
という歌の典型だと思っていた。
が、子規が脊椎カリエスという宿痾とたたかい、
長く病床にあって苦しむ。
そして、藤をながめている。。

この歌はそうした状況の中でうまれた。
と聞くとそうか、なるほどと思う。共感できる。

それでも、そういう背景を理解しなければ、わからないというのであれば、果たして芸術かと思う。
写生の極致なのだそうだ。





分け入っても分け入っても青い山

2009年04月21日 17時12分32秒 | Nature Photo


   晩春
 
  分け入っても分け入っても青い山    あまりにも有名な種田山頭火の句。

  万緑の中や吾子の歯生え初むる     これは中村草田男。

 今日は、穀雨である。雨百穀を生ずの意だそうである。
 春と言ってもどれほどのことばがあるのだろう。挙げきれない。
 麦秋、竹秋というような言い方もある。

 晩春と言う言葉には一抹の寂しさがある。

 と、書いたのだが、青い山も万緑も夏の季語のようである。
 しかし、気分は今の季節にぴったりくる。
 このままにしとこう。

 

宝塚音楽学校入学式

2009年04月19日 19時17分20秒 | 教育 
テレビのニュースで宝塚音楽学校の入学式が報道されていた。
大変な競争のなかから選ばれた新入生は緊張のなかでも誇りにみちた様子である。
もちろんきれいである。
しかし感動したのは、その姿勢、歩き方、表情、目、などの見事さである。
まだ入学したばかり。
これからまだまだ鍛えられるのだろうけどたいしたものだと思った。
地球上に現存する生物の「進化の頂点」としての人間の姿を極めようとしているように見える。
直立した姿、歩く姿などの基本的な所作というか。

もとより、宝塚歌劇のステージなどは見たくない。好きではない。
しかし、人間の本来持っている能力、あるべき姿というものを学べるのではないか。
特に日本人は。
あまりに汚い、歩く姿、立ち姿、挙措動作を考えなおしてみてはどうか。

立っている。座っている。歩く。他人と身振りを交えて交流する。
こういうことについて訓練をする。
没個性的に強制であれ、なんであれ、一定期間悪く言えばたたきこむ。
かつての軍国主義の教育といっしょにされては困るが。
あれは人間を醜くさせた。

若い時期のほうが良いと思う。
人間のもつ能力、可能性、すばらしさを教える。
こんな考えは間違っているだろうか。




竹秋

2009年04月11日 17時40分39秒 | Nature Photo




桜のうしろの竹やぶが黄色く黄葉しています。
これを竹秋といいます。
同じようないいかたは麦秋があります。
今筍の真っ盛り。
そのなかで古い葉を落とし、新緑となります。

晩春といってよいか、春の季語です。

   うぐいすの故郷あれぬ竹の秋      紀 逸

   夕風の吹くともなしに竹の秋      永井荷風

   山いくつその前山や竹の秋       道山草太郎

5日のオバマ演説に

2009年04月06日 10時20分28秒 | 平和
 オバマ氏は、5日 チェコの首都プラハで核軍縮について演説した。
その中で、広島・長崎への原爆投下を指す「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」にふれ、「核のない、平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」と述べた。

「核を使用した唯一の保有国としての道義的責任」という言葉はすごい。
歴代のアメリカ首脳は誰も言ったことはない。
ほぼ全ての日本人がこの言葉を待っていたと言ってよい。
自分たちが大量に持ちながら他の国に対し、核兵器を持つなと言ったって誰が聞くものか。
特にこれから世界に向けて国威を発揚し、世界の主要国に仲間入りをしようと思っている発展途上国にとってくそ食らえだろう。北朝鮮しかり。

「唯一の被爆国」として「唯一の使用国」にその「同義的責任」を追及してこなかったばかりか、追随してきた日本と言う国。世界で甘く見られ、馬鹿にされて当然だろう。

おまけに、5日、自民党の中川昭一という前財務相が北朝鮮のロケット発射に、関して記者団の質問に答え「発射基地にどう打撃を与えるのか核兵器の運搬システムが完成するのであればどう対抗するのか。議論の一つに核に関する議論があってもいい」と答えたという。2006年にも同じような発言をし、ひんしゅくを買っている。この人、持論が核武装容認らしい。ほんとに馬鹿と言うほかない。
同じ日本人として恥ずかしい。

日本には憲法第9条がある。
それを前面に押したて、核廃絶のために世界をリードしなければならぬ。


戦争で死ぬ若者 アメリカ

2009年04月01日 22時28分45秒 | 平和


先日短いがベトナムへ旅した。
あらためてベトナム戦争とはなんだったのか。
考えさせられた。
ベトナムは緑も水も日の光も豊かで人々はやさしい。
この国をあれほど無残に破壊し、蹂躙しつくしたアメリカという国と、その国の若者たち。
今またイラクで。
「殺せ!殺せ!殺せ!」と徹底的にたたきこまれたアメリカの若者たち。
命令どおりに殺した。
生きのびて帰還した彼らが気づいたのは、殺した相手は実は自分たちと同じ人間だったのだということ。
家族も、恋人も、友人もいる自分たちと同じ人間だったということに気付く。
大勢の帰還兵が自殺し、PTSDに苦しみ、人間性を剥奪されて生ける屍となっているものも多数いる。

次に紹介するのは3月30日付毎日新聞コラム「発信箱」である。
イラクで今行われていることはなにか。
読んでみる価値はあると思う。

  「発信箱」  脱走兵と反戦歌 福島良典

 黒人男性のアンドレ・シェパードさん(31)は6年前、米オハイオ州でホームレス生活を送っていた。
コンピューター工学を修めたが、バブル崩壊で定職に就けずにいた。
 声をかけたのが米軍だった。「テロにおびえ、抑圧された世界の人々を救うため、君が必要だ」。安定した収入、無料の住居、医療保険、奨学金--軍の担当者が提示した待遇はまぶしかった。
 「より良い暮らし」を渇望していたシェパードさんはドイツ駐留米軍に配属後、イラクに。だが、そこで会ったイラク人の顔には解放の歓喜でなく、米軍への恐怖と怒りがみなぎっていた。
 帰還後、再びイラク行きの命令を受け、「不当な戦争にこれ以上かかわれない」と腹を決め、基地を後にした。欧州連合(EU)の亡命・難民受け入れの法律に基づき、ドイツへの政治亡命を申請中だ。
 「戦争が好きな国民はいない。戦争したがるのは政府だけだ」。そう語る彼を平和団体は支援するが、祖国の退役軍人からは脱走に「裏切り者」「弱虫」と批判も出る。
 2度の大戦で焦土と化し、反戦世論に火のつきやすい欧州と、「軍事が文化の一部」(シェパードさん)の米国。軍や戦争に対する国民の距離感は大西洋の両岸で異なる。
 フランスの作家・歌手、ボリス・ビアン(1920~59年)の反戦歌「脱走兵」の一節にある。「服従を拒め。戦争に行くな。出征を拒否せよ。血を流すなら、大統領閣下、あなたの血を」
 フランスでは6月、ビアン没後50年を記念するアルバムが発売される。「脱走兵」も入る予定だ。半世紀後の今もイラク、アフガニスタンで武装勢力との戦争が続く。ビアンの歌詞はさびつかない。
(ブリュッセル支局)