三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

何をぬかすか「いざなぎ景気」

2006年11月23日 09時08分39秒 | 経済

 現在の景気回復は、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後最長となったのだそうだ。 国民の生活はどうなってる。労働者の給料は一向に増えない。労働者の権利は次第にはく奪され、ただ働き、過労死、ワーキングプア、失業、とただごとではない。 景気拡大の恩恵はだれが享受しているのか。

 内橋克人氏(経済評論家)はいう。『毎日新聞』11月23日付 囲み記事
  「賃上げなければ引き潮に」
【 現在の景気回復の間、企業の売上高はほぼ横ばいなのに利益は大幅に増えた。パートなど非正規雇用を増やし従業員の給料を減らしたリストラ効果が大きい。銀行の不良債権処理も公的資金と日銀のゼロ金利政策が原資で、家計から企業に所得の移転が進められた。 
 輸出と円安にも支えられ企業は業績拡大で貯まった資金を設備投資に充てているが、個人消費が盛り上がらないからIT関連の在庫が増えた。一方で若い人を中心に「働く貧困層」(ワーキングプア)が急増している。貧困マジョリティー(多数者)が形成されてつつあり、将来の大きな社会問題になるだろう。 
 企業は賃金を減らす一方で配当を増やして株式時価総額を最大化するといった考えを改め、労働分配率(もうけのうち人件費に充てる割合)を高めるべきだ。そして外需依存から、自立した経済に転換しないといけない。法人減税で企業が成長すれば家計にも恩恵が波及するという考え方は錯覚で、このままでは「上げ潮」どころか「引き潮」になりかねない。 】

  「いざなぎ景気」 
 1965年から1970年にかけて5年近く続いた好景気。長らく第二次世界大戦後最長の景気回復期間とされてきたが、2002年1月を底に回復を続けてきた景気拡大が2006年10月時点でいざなぎ景気とならぶ57ヵ月となっている。いざなぎ景気という名称は、神武景気や岩戸景気を上回る好況という意味を込めて名付けられた。

 


北朝鮮の核実験・経済株式欄で読む

2006年10月14日 07時48分20秒 | 経済
経済株式欄で読む北朝鮮核実験
『毎日新聞』10月13日付 コラム「経済観測」

【 北朝鮮が核実験を表明して以来、韓国ウォンがドルに対して暴落し、日本円も弱含んでいる。しかし北の核実験は北東アジアだけでなく、世界全体、とくに米国に大きな影響を与えるので、こうした為替の動きは一時的なものにとどまろう。市場が事態をよく理解すれば、むしろ、ドルが下落してもよいはずだ。
 というのは、北朝鮮は韓国や日本には少しも軍事的脅威は感じておらず、ターゲットはもともと米国だったからだ。米国の脅威にさられている体制の安泰を図るため米国に対する抑止力になる長距離ミサイルと核兵器の開発を急いでいるのだ。
 したがって北朝鮮は韓国を攻撃する意図はないし、日本を攻撃したいとも思っていないだろう。だが、米国が北朝鮮の各施設をピンポイント爆撃したり完ぺきな経済制裁を主導したりすれば、自暴自棄になって韓国を攻撃するだろう。そうなればソウルは火の海になるに違いなく、軍事オプションは不可能なのだ。
 国際社会として可能なのは、じわじわと経済制裁を強化しつつも完全に命綱を絶つことなく、中露に北朝鮮への働きかけを強化させるしかない。これで成功する保障はないが、他のオプションは実際上とれないし、一方で人道支援もやめられないだろう。結局悪名高い太陽政策は放棄できないことになる。
 問題の根本的解決ができない以上、市場は問題と共存するしかない。その結果は、(韓国や日本を超えて)世界的な投資の減少と貯蓄の増加でありコストの上昇と成長率の低下である。これはテロの影響と同じだ。ただ、テロの場合と同様に、その影響は意外に小さいかもしれないし、あるいは、今回は大きいかも知れない。市場の動向を注視する必要があろう。 (耳順) 】

軍事オプションは不可能であること。
市場は問題と共存するしかない。
世界的な投資の減少と貯蓄の増加、コストの上昇と成長率の低下。
そういう見方もあるのか、と思う。生命の危機に対する恐怖とは別に、市場原理からみた北朝鮮の核実験である。

『日本沈没』の前に 地球を

2006年08月05日 05時33分37秒 | 経済

《 地球温暖化防止、産業廃棄物処理、製品リサイクルと環境問題は我々の生活に密接な関係を持っている。
 国際貿易投資でも環境問題は重要性を増し、今や各国の環境規制をクリアしなければ製品の生産・販売ができなくなっている。EUでは現在、ほとんどの国でTVなどの広範な廃電気電子機器の分別回収、リサイクルが義務づけられ、わが国の輸出者、現地生産者は回収リサイクル費用を負担する必要がある(WEEEという)。また、今月からはこれらの電子電機機器については、鉛、水銀など6種類の有害物質を使用できなくなった(ROHSという)。
 日本でも既にTV、コンピューターなどの5品目について製品リサイクル法が実施されているが、対象品目はEUよりはるかに少なく、ROHSに至っては一括して規制する法律はない。
 このEU規制は、国際貿易・投資に大きな影響を及ぼしている。
 第一に、日本で生産してEUに輸出する場合は、対象有害物質を使用できないので代替品を開発する必要があるほか、アジアで部品を調達して日本ブランド製品を生産する場合でも、これらの物質を使用した部品を調達しないように注意する必要がある。
 第二は、EU向けだけを生産することは難しいので、結局、全世界向け製品をEU基準に合わせざるを得なくなる。
 第三は、この環境基準の動きは各国に広がり、中国でも本年2月にROHSが導入されたことである。
 さらに、EUでは電気電子機器などで、設計の段階からエネルギー効率や分別回収などの環境配慮を求める「EUP指令」が来年には各国で法制化される予定である。
 これらの環境規制の動きはあらゆる国・地域での開発・生産・販売活動に影響を与え、これらを先取りし、対応することが企業のリスク回避や競争力強化の大きな鍵になっていく。  (創) 》
 
以上は、7月29日付『朝日新聞』の経済欄「経済気象台」という囲み記事である。
日本の政府、企業はどう対応するのか。
真面目に取り組まなければだめだろう。

国民に負担を押しつけてくる可能性はないのか。


宮内義彦 規制緩和でもうけた人

2006年08月04日 05時46分45秒 | 経済
 政府の規制改革・民間開放推進会議が三十一日、「規制緩和見直し基準」の中間答申を出した。新聞の拾い読みですが、放送、通信、教育、保育、外国人、金融に重点を置いた答申だそうです。
 この、規制改革・民間開放推進会議の議長はなんと宮内義彦オリックス会長なんですね。これはすごい。
 宮内氏が会長を務めるオリックスは、リース事業やタクシー業といった「規制緩和ビジネス」で急成長を遂げ、純利益を五倍に伸ばした会社です。
 「改革利権」という言葉が交わされ始めたようです。
 自分が会長を務める会議、で自社のための規制緩和の要望を出し、それを決め、自分の会社が儲かる。こんな美味しい話はないで。
 十年この会議のトップをやっているのです。
 選手が審判員を兼ねて、自チーム有利に試合をするようなものですね。
 今度は保育への、民間の企業の参入を緩和するそうです。
公立の保育所というのは、大抵の場合、「応納負担」で、各家庭の事情を勘案した負担額です。それが民間経営となると「応益負担」への転換となり、保育料引き上げは必至です。

 いくつかの新聞の記事の合成です。

 自民党・公明党の「改革」とはこういうものです。彼らを政権の座に据えたのは国民ですけどね。

 普通に日本人として生活している方々に聞きたい。「規制緩和・構造改革」でなんかええことありましたか。
 あったら教えて下さい。