三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

狂った金銭感覚

2006年11月29日 08時40分05秒 | 教育 
11月19日付『毎日新聞』 経済欄コラム「経済観測」から

【 景気拡大がいざなぎ景気を超えたことで、両者の比較が論じられている。いろいろな相違点があるが、最も違うのは所得格差の有無だろう。それを象徴的に物語る言葉がある。
 いざなぎ景気のころ、日本社会の格差は小さかった。東証一部上場会社で、部長と新入社員の給料の格差はせいぜい数倍止まりだった。このころ使われていた言葉に「個人円と法人円」というのがある。企業の交際費が多く社用族だけが恵まれている、という意味。確かに料亭や高級クラブなどは交際費抜きでは考えられない存在で、個人では手が届かない世界だった。とはいえ、社会全体の健全さをゆがめるようなものではなかった。
 現在の金銭感覚を考えるならば「あぶく円と地獄円」になるのではなかろうか。
58ヶ月の景気拡大の間にお金の価値が異常に軽くなった世界がある。ITバブルに浴した分野やスポーツ界。その代表が西部の松坂大輔投手の移籍金だ。何と60億円。ソフトバンクが旧ダイエーを買収した代金40億円よりも高い。西部球団はドラフトで松坂を引き当てた幸運だけでこれといった努力なしで巨額の移籍金を手に入れたのだから「軽さも軽し」ではないか。「あぶく銭」という言葉があったがこれの上をいく「あぶく円」と言わざるを得ない。
 これに反し、借金の方は今まで以上に重くなっている。財政破たんした北海道夕張市の再建案は13000人の市民にものすごい負担増を強いるもので「去るも地獄、残るも地獄」の状況になっている。さしずめ「地獄円」の世界だ。だがその負債総額はおよそ360億円。松坂を6人移籍させればすむ金額なのだ。
 格差を驚いてばかりはいられない。まともな金銭感覚を取り戻さなければ、私たちの生活が狂ってしまう。   (邦) 】

 コメントすることはない。至る所に露見する税金のむだ遣いを切歯扼腕しながら眺めているだけ。IT分野や、松坂をひきあいにだすまでもなく金銭感覚の麻痺した役人や東京都知事などがいる。腹が立つのはその金は私たちの血税であるということ。