三流読書人

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ドングリ小屋住人 

「無言館」

2006年11月09日 09時14分21秒 | 芸術
「無言館」に行ってきました。

「無言館」 戦没画学生慰霊美術館
一度は行かなければならなかった。
館長 窪島誠一郎氏の詩が添えられている。




あなたを知らない

遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのはあなたが残したたった一枚の絵だ

貴方の絵は 朱い血の色に染まっているが
それは人の身体を流れる血ではなく
あなたが別れた祖国の あのふるさとの夕灼け色
なたを胸を染めているの 父や母の愛の色だ

どうか恨まないでほしい
どうか咽かないでほしい
愚かな私たちが あなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に
今ようやく 五十年も立ってたどりついたことを

どうか許してほしい
五十年を生きた私たちのだれもが
これまで一度として
貴方の絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを

遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのは あなたが残したたった一枚の絵だ
その絵に刻まれた かけがえのないあなたの命の時間だけだ

                          窪島誠一郎