三流読書人

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ドングリ小屋住人 

 自殺したくなったら図書館に行こう。

2006年11月22日 09時11分50秒 | 教育 

11月22日付『毎日新聞』発信箱 元村有希子「いのち響く図書館」より

【 自殺したくなったら図書館に行こう。
 滋賀県東近江市の市立能登川図書館長、才津原哲広さん(60)は、こんな発信を続けている。住民一人当たりの年間貸出冊数12冊、全国平均の3倍という優良図書館。才津原さんは構想段階からかかわってきた。
 年間3万人以上が自ら命を絶つ時代だ。図書館に行って悩みが消えるものだろうか。才津原さん自身、九州から移り住んできて得た大切な人を自殺で失った。能登川のことを一から教えてくれた友人だった。無力感。だからこそ今がある。
「自殺を止めるのは難しいでも、もっと手前で生や死を考えたり、何かに出会える場所でありたいと思います」
 行き場がないお年寄りも、不登校の子どもも、姑と折り合いが悪いお嫁さんも、ここを居場所、かくれ場所にしてほしいという。
 図書館を訪ねた。天井が高い。木の香りがする。様々な椅子がある。窓際のソファに座って水車を眺めてもいい。畳敷きの小間もある。本を読みたくない人にも、本と出会いたい人にも優しい「休息の場」だ。
 開館から9年、いろんな出会いがあった。病気で通えなくなった女性利用者がいると聞き、毎月本を届けた。末期がんの妻と夫の「二人展」を、読書スペースを3日間だけつぶして開いたこともある。
 公立図書館は今、行政改革による正規職員の削減が進む。「図書館が『無料の貸本屋』になったらだめです」。図書館は地域文化の拠点、命の糧となる場であれ、と信じる才津原さんには、それがはがゆくてならない。 】

 地方の公立図書館が軽視され、手抜きを始めるともうだめです。図書館という地域の文化の拠点を、どんなに苦しくても守り抜くという行政の姿勢があれば、まだ再生の可能性はあると思う。
 巷間伝えられる税金のむだ遣いのことを考えれば、何ほどの負担になろうか。しかし、まずはこんなところから切り捨てて行くという発想はある。
 学校図書館もそうである。各地の学校図書館の実態を見てもらってはどうか。その貧しさには驚くはずだ。図書館教育、読書指導、司書・司書教諭の配置、蔵書など。この国の教育にかける熱意のほどは分かる。