鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

鏡像の世界である「鏡の国」では未来・現在・過去の順に出来事が起こる(GLASS5-11)

2008-09-21 23:05:25 | Weblog
  白の女王が突然叫びだす。「指から血が出てる。痛い、痛い、痛いー」と。アリスが「針を指にさしたのですか?」とたずねる。「まだ刺していない。しかし直に刺すだろう」と白の女王。これから針を指に刺すから今、血が出てるなんてありえないとアリスは笑ってしまう。
 「いつ針を刺すと思うんですか?」と彼女がたずねる。「ショールがほどけてもう一度留めようとするときだ!」と女王が言う。するとショールを留めていたブローチがはずれショールがほどける。ブローチをつかんで留めようとしたとき女王は針を指にさす。だが女王は痛いと叫ばない。「なぜ今、痛いと叫ばないんですか?」とアリスが質問する。「叫ぶことはもうすっかり済んでしまったから」と女王が答える。
 すでにGLASS5-9で見たように現実の世界では、針を指に刺す→血が出て痛い→叫ぶの順、つまり過去・現在・未来の順に出来事が起こる。しかし鏡像の世界である「鏡の国」では未来・現在・過去の順に、つまり叫ぶ→血が出て痛い→針を指に刺すの順に出来事が起こるのである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿