鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

状況一般化の論理は、事実の領域を超え、空想領域に入り込む(WONDERLAND1‐13)

2013-08-25 19:01:58 | Weblog
 アリスの独り言が続く。彼女は兎穴を落ち続け、ついに地球を突き抜けると思う。「頭を下にして歩く人々の間に、私が飛び出ることになったら、どんなにおかしいかしら!」とアリスが言う。

 ◎アリスの考え方・感じ方(7):ここで、アリスは、状況一般化の論理と、科学の論理を混交する。一方で、彼女は、状況の一般化の論理に従って、「地球を突き抜ける」と思う。これは科学の論理でない。科学の論理によれば、彼女の落下は「地球の中心に着き」終了する。
 ところで地球の反対側で、人々が「頭を下にして歩く」のは、科学の論理にもとづく推論である。
 さて、科学の論理によれば、アリスの落下は、「地球の中心に着き」終了し、彼女が「地球を突き抜ける」ことはない。したがって「頭を下にして歩く人々の間に、私が飛び出る」ことはない。
 ではどうしてアリスはこのように発言したか?彼女は、状況一般化の論理と科学の論理を混交したのである。
 アリスは一方で、科学の論理にもとづき、地球の反対側で、人々が「頭を下にして歩く」と思う。同時に他方で状況一般化の論理にもとづき、「地球を突き抜け」て、「頭を下にして歩く人々の間に、私が飛び出る」と思う。状況一般化の論理と科学の論理の混交!
 「頭を下にして歩く人々の間に、私が飛び出ることになったら、どんなにおかしいかしら!」とアリスが言うが、出来事は、科学の論理あるいは事実の論理に従うから、このアリスが想定した出来事は、事実として生じない。彼女が言う通り、そうなったら、確かに「おかしい!」
 科学の論理は、事実の論理である。状況一般化の論理は、部分的に事実の論理(=科学の論理)と同一だが、途中から事実の領域を超え、空想領域に入り込む。

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