鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

落下が地球を「突き抜ける」か「中心で終わる」か?:状況一般化の論理と科学の論理(WONDERLAND1‐12)

2013-08-18 10:54:36 | Weblog
 兎穴を落ちながら、アリスが今また、独り言を始める。「私は地球を突き抜けてしまうんじゃないかしら!」と。

 ◎アリスの考え方・感じ方(6):一方で、アリスは確かに「地球の中心に着きそうだ」と言った(WONDERLAND1‐9)。この観点からすれば。落下は、地球の中心に向ってであり、中心で終了する。落下が、その向こう側に突き抜けることはあり得ない。ところが他方で、アリスは今、「地球を突き抜けて落ち続けるんじゃないかしら」と思う。彼女は、矛盾する。
 なぜだろうか?アリスは、自分が今、「落ち続ける」状況にあると知っている。そして「落ち続ける」とは、「落ちるのが止まらないこと」である。落下は、落下を遮るものがない限り、終わらない。彼女の今の状況が変わらない限り、「地球を突き抜けて落ち続ける」との推論は可能である。
 しかし他方で、科学の知見によれば、「落下は地球の中心で終わる」。アリスは、これを知っている。だから、アリスは、落下し続ける自分が「地球の中心に着きそうだ」と言った。
 アリスの発言は矛盾する。つまり、彼女の中に二つの論理がある。彼女の推論は、一方で現在の状況の一般化の論理にもとづく:「地球を突き抜けて落ち続ける」。彼女は、他方で科学の論理にもとづく:「地球の中心に着きそうだ」。

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