鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

アリスはマージナルな存在:半分は日常的現実に、もう半分は「鏡の国の現実」に属す(GLASS9-3)

2012-04-23 20:32:57 | Weblog
 あらゆることが、いつも、とても「奇妙」な仕方で起きるので、今やアリスは少しも「驚かない」。何と赤の女王と白の女王が、彼女にもたれて両側に座っているというのに!

 PS1:なぜアリスは「驚かない」のか?それは彼女が、今は自分が、これまで彼女が生きていた日常的現実と異なる「鏡の国の現実」に属すと思うから。

 PS2:他方で、同時にアリスは日常的現実の記憶も持つ。だから彼女は「鏡の国の現実」の出来事を「自明」とせず、「奇妙」と思う。

 PS3:「鏡の国の現実」を「奇妙」と思うのは彼女が日常的現実の記憶を持つため。この意味で彼女は半分、日常的現実に属す。
 しかし今や、彼女はこの出来事が「奇妙」なのに「驚かない」。かつては「驚いた」が、その時は、彼女は十全に日常的現実に属したからである。彼女は今では半分、「鏡の国」の住人である。
 かくてアリスはマージナルな存在である。彼女は半分、日常的現実に属し、もう半分は「鏡の国の現実」に属す。

  ※旧稿(2008-01-05)
奇妙なことばかり起きる:しかし驚かない(GLASS9-3)
 彼女の両隣に白の女王と赤の女王がなぜか突然いる。しかも彼女に寄りかかっている。しかしアリスはこのことに驚かない。というのもきょうは奇妙なことばかり起きるから。アリスは新たに奇妙なことが起きても「またなんだ」と思うだけである。