鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

「鏡の国」は実は平面の中にある!(GLASS2-2)

2011-08-28 08:18:55 | Weblog
 丘の頂上にアリスは行きたいのに最初に試みた道は家の前にもどってしまった。「別のもう一本の道を行ってみるわ!」と再挑戦。
 上がったり下がったり、何度も曲がったり、しかしいつも always 家にもどってしまう。
 一度など、アリスがこれまでより急いで角を曲がったら、止まるまもなく家に衝突した。

 PS1:「いつも always 」とあるから、アリスは何度も試みている。つまりこの道は途中で選択が可能である。上がるか下がるか、 道の曲がり角をどちらに曲がるか、アリスは何度も毎回、異なる選択する。しかし必ず元の道にもどる。そして家にもどる。バイパスがいくつもある1本の道。

 PS2:アリスはなぜ、上がったり下がったり、また何度もいろいろな方向に曲がったりしても、家にもどるのか?それは「鏡の国」が実は平面の中にあるから。
 アリスがどんなに道を歩き回ろうとも、道の入り口と出口は同じ平面上にある。家の「玄関のドアの平面」からアリスは抜け出せない。
 アリスはどんなに道を動き回っても、いつも「玄関のドアの平面」にいる。それを彼女は「道が家にもどる」と感じる。
 
 PS3:「鏡の国」は「玄関のドアの平面」と同一の平面の中にしかない。アリスは平面の世界のなかを歩き回る。
 しかし「鏡の国」ではアリスは自分が平面の中にいることに気づかない。平面のスクリーンの中で動き回る映画の人間たちが、自分が平面の中にいることに気づかないのと同様である。

「栓抜き」のように道は相互に交わらない!&家の前に道の入り口と出口!(GLASS2-1)

2011-08-23 07:47:36 | Weblog
 「鏡の国の家の庭が見たいわ!」と言っていたアリスは、「あの丘の頂上に行けば庭全体が見える!」と思う。
 頂上に向かうと思われる道がある。数メートル歩き、いくつか鋭角に角を曲がる。
 ところが道が頂上に向かわない。「でも最後は丘の頂上にいくはずよ!」とアリスが自分に言い聞かせる。
 しかし奇妙に道はくねくねし、「道というより栓抜きだわ!」とアリスが思う。
 「この角を曲がれば頂上のはず!」と彼女は確信するが、違った。「道が家の前にもどった!」と彼女は愕然とする。

 PS1:説明しよう。頂上が家から見える。すぐ前に道がある。頂上に向かうように見える。ところが道は岩と木々で先が見えない。ただくねくね曲がるばかり。最後の角を曲がると、何と家の前だった。

 PS2:道の形状を考える。家の前に入り口と出口。くねくねとたくさんの鋭角の曲がり角。しかし「栓抜き」のようだというから、道は相互に交わらない。一筆書きのような道である。
 
 (「GLASS2-1」は、「Lewis Carroll, THROUGH THE LOOKING GLASS, 2 THE GARDEN OF LIVE FLOWERS に関するコメント1」の意味である。以下の項目でも、同様。)

鏡に重さが映らないので、鏡の国ではアリスに重さがない(GLASS1-25)

2011-08-13 17:31:59 | Weblog
 テーブルの上の本、その『ジャバウォク物語 Jabbawocky 』に気をとられていたアリスが突然、心配になる。「鏡の国を、急いでもっと見なくちゃ。すぐもどることになったら大変!最初に庭が見たいわ!」と言う。
 アリスは2階から、下に降りる。走ったつもりが実は違った。「何て速くて簡単かしら!」と驚く。ただ指先を手すりにつけただけなのに体が浮かび、下まで運ばれていく。浮かんだまま玄関を通り抜け外まで出ていきそうになって、アリスは玄関の柱につかまり止まる。
 ずっと浮いていたのでアリスはめまいがした。その時、自分が再び普通に歩いているのに気づき、ほっとする。

 PS1:鏡の国のこの不思議な出来事は何なのか?この現実では重さがあるが、鏡に重さが映らない。だから鏡の国ではアリスに重さがない。アリスは、手すりにつかまって階段を走り降りたはずなのに、体が浮かび下まで運ばれていくとしか、思えなかった。

 PS2:鏡の国のこの不思議な特性は一時的に、現実化する。アリスが階段を降りたとき、鏡の国では重さがないという特性が出現した。しかし少したつとその特性は潜在化し、再びアリスは重さを持ち普通に歩くこととなる。