鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

歌‘門の上に座ってる’(その6):鱈の眼からチョッキのボタンを作る(GLASS8-34)

2010-11-28 23:52:51 | Weblog
 白の騎士の歌の第5連で「私」は老人を、顔が青くなるまでゆすぶり、‘お前がしている仕事の内容はなんなのだ’と尋ねる。続いて白の騎士が第6連を歌う。

彼が言った、「私は鱈の眼を探し出す  He said,‘I hunt for haddocks' eyes
明るいヒースの野原の中に、 Among the heather bright,
そしてそれらでチョッキのボタンを作り出す  And work them into waistcoat-buttons
夜なべして静かな夜中に。 In the silent night. 

 PS1:第6連前半は原文では‘eyes’と‘buttons’、和訳では「探し出す」と「作り出す」が脚韻。また原文では‘bright’と‘night’、和訳では「中に」と「夜中に」が脚韻。

 PS2:ヒースの野原の中に鱈がいるのか?キャロルは非現実的組み合わせで驚かす。また鱈の眼がどうしてボタンになるのか?現実には無理だが連想としてはありうる。鱈の眼もボタンも丸いから。

それから金貨にならないボタンを売るだけ And these I do not sell for gold  
輝く銀貨も不収入 Or coin of silvery shine,
ただ半ペニーの銅貨になるだけ But for a copper halfpenny,
しかもこれら銅貨で9つもボタン購入 And that will purchase nine.

 PS3:第6連後半は原文では‘gold’と‘ halfpenny’が韻を踏むはずだがそうなっていない。しかし和訳では「売るだけ」と「なるだけ」が脚韻。また原文では‘shine’と‘nine’、和訳では「不収入」と「購入」が脚韻。

 PS4:鱈の眼から作ったボタン9つが金貨にも銀貨にもならず、たったの銅貨半ペニー。老人がしている仕事の内容は侘びしい。

歌‘門の上に座ってる’(その5):練り物を食らい続け太る方法(GLASS8-33)

2010-11-26 22:15:11 | Weblog
 白の騎士が第4連で歌った。“老人が、ローランド・マカッサル油製造のため小川をボウボウ燃やし2ペンス半もらう。そうやって金を稼ぐと説明した”と。白の騎士が歌の第5連を次のように続ける。

ところが私は方法を思案中  But I was thinking of a way
練り物に食らいついて  To feed oneself on batter,
続行する一年中  And so go on from day to day
また少し太る方法について  Getting a little fatter.

 PS1:第5連前半は原文では‘way’と‘day’、和訳では「思案中」と「一年中」が脚韻。また原文では‘batter’と‘fatter’、和訳では「食らいついて」と「について」が脚韻。

 PS2:老人の説明を私はきちんと聞かなかった。私は練り物を一年中食べ続け少し太る方法について思案中だったから。それにしても私は変なことを考えていたものである。

私は老人を左右にゆすぶる I shook him well from side to side,
老人の顔が青く変容 Until his face was blue;
‘さあ、言え、お前の稼ぎの技能’と私は声が高ぶる‘Come, tell me how you live,’I cried,
‘そしてお前がしている仕事の内容!’‘And whay it is you do!’

 PS3:第5連後半は原文では‘side’と‘cried’、和訳では「ゆすぶる」と「高ぶる」が脚韻。また原文では‘blue’と‘do’、和訳では「変容」と「内容」が脚韻。

 PS4:私は頬髯を緑に染めそれが見えないように扇子で隠す計画を考えたり、練り物を一年中食べ続け少し太る方法について考えたり、老人の説明を聞こうとしない。困ったものだ。