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SiRFstarIII搭載GPS受信機コメットCF/3レビュー

2006-06-21 00:38:38 | GPS
【そのまま内税】SiRF StarIII搭載コメットCF/3※車載用外部アンテナ付き※(CFカード型GPSレシ...

 SiRFstarIII搭載のCFカード型GPS受信機、コメットCF/3をパソコンGPSショップで購入した。
 コメットCF/3という名称はパソコンGPSショップでつけたものであり、実際は HOLUX の GR-271 という受信機だ。
 今まで使用していた IO DATA の CFGPS2(SiRFstarII 搭載)よりも確実に感度アップ・初期測位時間の向上が図られているが安価であり、最初のGPS受信機としても、買い換えとしてもメリットは大きいと思う。

 ただし残念ながら、今現在は人気があり受注がたまってしまって、一時注文を停止している状況のようだ。


・セット内容(アンテナつき)
 箱は HOLUX GR-271 そのものだ。
 Super Mapple Digital Ver.6 for SPA の CD-ROM
 日本語版取扱説明書
 英語版マニュアル
 ユーティリティ CD-ROM (GpsViewer という NMEA ビューア、と英語版マニュアルが入っている)
 外部アンテナ(5m)

・外観
 とにかく薄くてスリム。今までは、ずんぐりしていた CFGPS2 を使用していたために余計そう感じる。ただし、長い。長いのは、薄い分長くなったのであろうことと、パッチアンテナを PDA 本体から離すためと考えられる。
 従来 CFGPS2 を使用していたときには PDA 側につけっぱなしでバッグに放り込んでいたのだが、コメットCF/3では取り外さないとバッグの中で折れてしまいそうに感じる。
 2cm×2cmのパッチアンテナが透けて見える。



・電源制御
 PDAのCFスロットにコメットCF/3を挿入する。この状態ではコメットCF/3はオンになっていない。PDA側からCOMポートを開くことでコメットCF/3側のLEDが点灯し、電源が入ったことが分かる。不必要なときに測位を行わないので、電池のもち向上につながっている。

・添付ソフトウェア
 Super Mapple Digital は言わずと知れた地図ソフト。ただし製品版のように全国の中域地図、主な都市の詳細地図、がある訳ではなく、全国の広域地図と主な都市の中域地図が格納されている。ユーザー登録も可能なようで、恐らく優待価格でアップデートが受けられるものと思う。優れものは Pocket Mapple Digital で、PocketPC ユーザーの方には是非とも試していただきたいものだ。
 GpsView は PC 版と PocketPC 版がある。PocketPC 版は SigmarionIII では動作しなかった。なかなか使いやすい NMEA ビューアだ。主に PocketPC 版を使用しているが、このツールで ColdStart, WarmStart, HotStart の指示ができる。

・使用感
 見通しのよい場所であれば、およそ40-50秒程度(理想的な環境ではもっと早そうだ)で LED が点灯から点滅に変わり、測位が完了してトラッキング(連続測位状態)に入る。
 測位完了までの時間も実用的な時間内であり、LED も状態を把握するのに分かりやすく、とても使いやすい。
 ただし次に記載する問題点があるので、これをうまく回避する必要がある。
 緯度経度(GPGGA)は1秒ごと、衛星の状態(位置と信号強度:GPGSV)は5秒ごとに出力される。

・問題点
  • 測位成功後、測位結果が安定するまでに時間がかかることがある。安定しないときの状況としては、正しい位置を中心に、直線上を行ったり来たりする。この状況は数秒で正しい位置に落ち着く場合と、数十秒の間落ち着かずに数十mから悪いときには100m単位で行ったり来たりを繰り返す場合とがある。落ち着かない場合は見通しのよい場所で測定を続けると、しばらくして正しい位置に納まる。恐らく測位結果のフィルタリングにおける特性と思う。
  • 測位成功後に電源を落としても、前回の測位結果を覚えている。これ自体は悪くないのだが、次回電源を投入するとなぜか1度前回の最終測位結果を返してきてしまう。それを受けるソフトの側からするとその時に昔の位置で1度測位が成功したように見えてしまう。ログに保存していた場合は、最初の測位結果は捨てる必要がありそうだ。
  • データバックアップの規則が全く不明。例えば一旦COMポートを閉じてすぐに開いた場合、Hot Startで始まることもあれば Cold Start から始まることもある。ただ Cold Start と言っても完全に Cold Start ではないときもあり、時間などは初期化されているのになぜか前回の測位結果だけは返してくることもある。PDAの電源を落としてしばらくのちの再測位でも同様で、Warm Start? になったり Cold Start になったりする。Cold Start のときにも同様で、時間すら初期化されているのになぜか前回の測位結果だけは覚えていて最初に出力される。

 最後の問題が最も困りもので、例えばコメットCF/3付属のアプリケーションで衛星の補足具合を確認し、測位できたところで一旦 COM ポートを閉じて Pocket Mapple Digital で COM ポートを開くと、Cold Start になってしまうことがある。また一度測位させ場所を確認し、一旦PDAの電源を落としてしばらく(数分など)のちに再度測位をさせると、それだけで Cold Start になってしまうことがある。
 仕様上は「SnapStart」という機能があり、オフにしている時間が25分以内であれば3秒で再測位できるはずだ。もしかしたら壊れてしまったのか、とさえも思う。現状解決策は見つかっていない。

・CFGPS2 との比較、測位速度
 PocketPC に CFGPS2、SigmarionIII にコメットCF/3をつけて、比較してみた。
 とても見通しのよい場所で比べれば、測位時間に大きな差は無いように思う。しかしながら、少しでも環境が悪くなると、途端に顕著な差が現れる。
 コメットCF/3はCFGPS2に比べて、コールドスタートからの衛星の補足が早い。CFGPS2 がまだ1-2個の衛星しか補足できていないのに、コメットCF/3は既に4-5個の衛星を見つけている。これがそのまま測位成功までの時間に影響し、コメットCF/3では1分弱程度なのに、CFGPS2では倍の2分かかったり、また5分かかっても測位できないことがあった。
 最近 SiRFstarIII を搭載したハンディナビ(迷WAN BZN-100, BZN-200 や P350, C310)が話題だが、今回の様子から見ると、車内といったそれほど開けた環境で無くとも、比較的早くに測位が成功しそうだ。

・CFGPS2 との比較、感度
 感度には体感的に絶大な差がある。例えば CFGPS2 はベランダで測位をし家の中に入ろうとすると途端に測位ができなくなるが、コメットCF/3では家の中でも測位を続けることができる。
 トラッキング状態に入ったときの感度は、定評通り恐るべきものがある。
 ただし Cold Start からの感度は衛星信号からのデータデコードが必要なので、それほど高くは無い。他社製品と同等と思われる。

・CFGPS2 との比較、フィールド評価
 屋外で実際に使ってみた。一度測位が出来てさえしまえば、CFGPS2 とコメットCF/3 とで大きな差異は無い。普通に屋外を歩いている限りでは、コメットCF/3の高感度を活かせる場面は少ないからだ。精度も大差無い。今回ビル街のような非常に劣悪な環境では試せなかったが、例えば首都高速を走っていた限りでは、トンネルに入らない限りは車内に置いた CFGPS2 でも問題なく測位できた。
 両者の差が最も現れたのは、最初の測位時間だ。衛星の補足が早いコメットCF/3がここでは有利となる。
 また今回の評価では、コメットCF/3の「測位結果がしばらく安定しない」状況が現れた。どのような結果になるかは、次の SuperMappleDigital に貼り付けた結果をご参照いただきたい。青がコメットCF/3、赤がCFGPS2。縮尺が出ていないので分かりづらいが、右上の測位開始時点から左下に向けて動いたとき、コメットCF/3がある程度までバタついているのが分かるだろう。このときの振れ幅は50m程度だ。



・その他
 実際に使用してみると、このような GPS 受信機では最初の測位での測位時間が重要だと感じた。その点 SiRFstarIII は若干悪い環境でも衛星の補足が早くその結果測位時間が早く、とても使いやすい。ただしコメットCF/3側の問題だろうが、コメットCF/3側の電源を落とすとすぐにCold Start状態になってしまうことには閉口した。普通にデータの保持をすれば、2時間程度は Hot Start に近い状態でいけるはずだ。Cold Start からではどうしても 30-40 秒程度はかかるので、もう少し SW に工夫が欲しい。
 感度については、高い方がいいとは思うが、このような GPS 受信機ではオーバースペックかもしれない。コメットCF/3は Assisted GPS では無いので、初期測位は屋外で行う必要があることは明らかだ。そしてこのような GPS 受信機の用途(カーナビ、ログ取りなど)において建物の中で測位し続けられることに、大きな意味は無いと思う。
(ケータイでは屋内で初期測位を行うことが十分あり得るので、Assited GPS も必須だし、高感度であることも必須だと思う)
 次にフィルタリングの特性が気になった。よく SiRFstarIII は「測位出力が遅くすぐに追従できない」という話を聞くが、まだその状況には巡り会っていない。低速で移動する徒歩用途に使っているからだろう。ただし同様にフィルタリングの特性と思われる、初期測位結果が安定しない状態が頻繁に発生している。これももう少し SW に工夫が欲しいところだ。最初数回の測位でのフィルタリングを外す程度で、それなりに改善すると考えられる。

 とはいうものの、初期測位の時間が高速なコメットCF/3は、なかなか買いだと思う。

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