読み終えたばかりの『青い鳥』(メーテルリンク)を抱え、窓の外を見ると、
いつの間にやら、雪が降っていました。
静かに、静かに。
この雪は、積もりそうです。
素晴らしい本です。
『青い鳥』
子どもの頃も、学生の頃も、読んだことのある本ですが、
いまのわたしこそ、この本の、本当の価値が、ようやく理解できたのだと思いました。
もちろん、全てではなく。
全て本当にわかるのは、もっともっと歳を重ねた後なのかもしれません。
ただ、子どもの頃と変わらないのは、
読んだ後に、自分のまわりの、溢れんばかりのたくさんの幸せ、喜びが、みえるようになることです。
世の中の流れや、他の誰かが打ち立てた指標や目標に、左右されず、
なぜこの世界に生まれてきたか、自分の人生をどう生きるか、考えさせてくれます。
また、草木や動物、あらゆる物質たちとはどのような存在か、(目に見えないものも含めて)、示してくれます。
今回、特にびっくりしたことは、“月夜の森”に出てくる樹木たちが、全て、ケルトの木の暦(シンボルツリー)に選ばれた木であった、ということです。
作者のメーテルリンクは、ベルギー生まれの人ですがら、ケルト文明圏です。
数えきれないほどの木々のなかで、古代に特に神聖とされていたこれらの木々を選んだ作者。
大いなる直感が働いたのでしょうか、あるいは、木々だけでなくあらゆるものと、心通わすことのできる人だったのかもしれません。
本を閉じたわたしのまわりに、ささやかな、いくつもの幸せと、よろこびが、溢れているのがわかります。
母となったいま、そのよろこびは、いっそう大きく、確かなものとして、感じられます。
ほんとうに、素晴らしい本です。
また、時間を経て、読み返したいと思います。
わたしが、おばあちゃんになるまで生きることができたとして、
その時に、この本を読んだら、もっと大きな感動に包まれることだろうと思います。
こんな気持ちにさせてくれる本は、そう多くはないものです。
やはり、素晴らしい本です。