教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

小学校6年生社会科授業から

2006年12月10日 | 平和について
昨年に続き、私は小学校での社会科授業を受け持つことになりました。授業開始は、11月21日から。教科書で言えば、94ページの「アジア・太平洋に広がる戦争」からとなります。最初の授業でこんな話をしました。

戦死する子どもたち
みなさん。今日から始まる歴史の授業では、戦争を学ぶということが大切になってきます。ところでみなさんは、世界で毎年何人の子どもが戦争で死んでいると思っていますか?これぐらいと思う人数を答えて下さい。
小学生は「1000人」「500人」「1500人」と答えてくれます。「1万人」と言う声が出た時には「そんな多いわけないやろ」という声も出ました。

10万人の重み
実は1年間に10万人の子どもたちが戦争で死んでいるのです。これは国連が1985年から1995年までの調査結果として発表した数字です。イラク戦争が続く現在では、もっと増えていますが、残念ながら死者が増えすぎて統計が追いつきません。今も戦争でたくさんの子どもが死んでいるのです。

戦争は61年前に終わっていない
現在日本のニュースでは、子どもの自殺増加を取り上げています。それはとてもつらく、悲しいできごとです。しかし私たちは、家で寝ているときに爆弾が落ちてこないか、校庭で遊んでいたら銃で撃たれないかと心配をすることはないと思います。東丘小学校のみなさんにとって、戦争は61年前に終わった過去のできごとです。でも世界で暮らしている多くの子どもたちにとっては、戦争は現在も続いているできごとなのです。

薄れる戦争への感心
私が子どものころ、大人たちは全員が戦争体験者でした。戦争の話は、両親から、学校の先生から、近所のおじさんやおばさんからも聞きました。漫画本には「ゼロ戦ハヤト」「紫電改のタカ」、テレビをつければ「コンバット」といった戦争を扱った作品がありました。私のような戦後生まれの子どもたちも戦争についてそれなりの知識がありました。しかし、今も世界で戦争が続いているにもかかわらず、日本で暮らす私たちは戦争に触れることが難しくなっています。それは幸せなことですが、一方で戦争に対する無関心を作り出しています。

歴史を学ぶ事は今を知ること
今から戦争について学びます。私が多くの人から伝えてもらった話をできるだけみなさんにも伝えたいと思います。しかし私たちは一番聞かなければならない話は聞けません。なぜなら戦争で亡くなった悲しさや悔しさを死んだ人は語ることができないからです。語ることができるのは、生きて帰れた人だけなのです。みなさんは今から学ぶ戦争を決して過去のできごとと考えず、今も続くこととして学んでほしいのです。



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