教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

歪んだ成果主義~一人で73人分合格し費用は高校持ち

2007年07月30日 | 教育行政・学校運営
 最初から結論ありきではなく、数字を元に論議する。成果を挙げ、得られた成果が多くの人にわかるように数字化する、これらのことは大切なことです。しかし数字化された成果のなかには、時として大きな落とし穴が潜むことがあります。

 大阪市内の私立高校で大学合格者数の水増しがあったことが7月20日に判明し、学校側の記者会見が行われました。説明によると、この学校では成績トップだった生徒に対しセンター入試の成績のみで受験できる大学の併願を持ちかけ、志望大学とは別の関大・関学・同志社・立命館の73学部・学科を受験させていたのです。その生徒は全ての試験に合格し、受験料143万円は全額高校側が負担していました。この高校では上記の四大学に144名の合格者を出していましたが、その半数以上を一人の生徒が占めていたことになります。今年度だけでなく、毎年数名の成績上位者に対し水増し受験を持ちかけ、合格数に応じて3万~5万の『激励金』まで渡されていたことも明らかになりました。

 これに対して大阪の私立高校関係者からは、「他の高校でもやっている」という意見と「生徒を商品化する恥ずべき行為」という意見とが新聞などで紹介されていました。7月23日の朝日新聞や神戸新聞は、高校側が同じように受験料を負担し合格者数を水増ししている私立高校が他にもあることが報道され、大阪府は全私立高校を対象に調査に乗り出すことが明らかしました。

 競争が激化すれば、教育がすたれると言います。この一年間を振り返っても、必修科目未履修問題・特待生問題・合格者数水増し問題と、不正常な事態が続いています。数字に表れる成果しか見ようとしない学校関係者は、今こそ猛省すべきではないでしょうか。