へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

しつこいおばさん

2006-11-22 23:35:57 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今夜、おとうさんは学校の合宿所にお泊まりです。 明日、町の駅伝大会があるからです。
ぼくとしては、おとうさん、見合いの話がイヤでお泊まりしたんじゃないかと思うんだ。
ちょっと前のぼくだったら、おとうさんが家にいなかったらさびしかったけど、今は平気です。
さて、見合い話を持ち込んだおばさん。連日のように電話をかけてきて、
「見合いの日取りはいつにしますか?」
と、しつこいのなんの。 今日なんか、学校から帰るぼくを待ちかまえていて、
「細太郎くん、おかあさん欲しくない?」
と、とつぜん声をかけてきました。
「へっ?
「だから、おかあさん、いないと寂しいでしょ?」
うるさいなあ…
「ぼく、寂しくないし、おかあさんはいないわけじゃないから、別に新しい人はいらないよ」
と、おばさんに向かってわざとらしくにっこりとやりました。
最近、ぼく、性格悪いなあ。
おとうさんもおばあちゃんもおじいちゃんも、嫌いになったわけじゃないけど、なんかぼくだけがかわってきているような気がするんだ。
「ちょっと細太郎くん」
おばさんが声をかけてきましたが、ぼくはだまって帰り道をいそぎました。
やだやだ、こんなぼく。
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つくばった町駅伝大会イブ

2006-11-22 20:32:23 | へちま細太郎
細太郎の父のピカいちです。
あ、なんだな、俺の人生もピカいちだな。
(・_・;)…。
明日、つくばった町の駅伝大会がある。藤川や久保田が、
「でっぺよ~」
というから仕方なく出ることになった。
うちからは陸上部はもとより、サッカー部・野球部・ラグビー部が出ることになっていて、教員チームは高校と中学が合同で出場だ。リーダーは高校体育科の金本先生がつとめているおかげで、うまくまとまっている。
「ひ弱そうだが大丈夫かな、走れっか?」
と、中学の黒田先生がからかうように聞いてきた。
「悪いけど脱いだらすごいんだからね
俺は、いっそのこと上半身裸で走ろうか、と思ったが寒いし何言われるかわからないから、やめた。
「それより、あの人あの格好で走る気なの?マズいんじゃないの?」
俺はみんなから離れたところで黙々と準備運動をする、ぼーさん姿ののぶちゃんを指さした。
「ああ、あれはあれでいいんだ」
黒田先生は笑いながらうなづく。
「コスプレもいいらしいんだ」
金本先生も腕組みして見ている。
「コスプレ~?」
俺はあきれたが、どうやら金本先生はマジらしい。
「バカ殿にも鎧甲で走れって言ったら、重要文化財だからダメなんだとさ」
藤川~、何が重要文化財だよ。
「その代わり、戦場の伝令の格好をして走るって、約束させた」
「はあ?」
なんなの、この連中…。
明日、大丈夫なのかよ~。
不安だ…
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だからなんなの

2006-11-21 22:03:14 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

おとうさんは見合いの話をきいて、
「だから、なんなの
と、少々むくれ顔です。
おとうさんは、学校のある町で今度駅伝大会があって、学校職員チームに選ばれて毎日走らされているおかげで疲労がたまっているみたい。だから、見合いの話にも、
「余計なお世話だ」
と、悪態のつきまくりです。
「他人にあてがってもらわなきゃいけないほど、困ってないからね」
「ほんとけえ」
おじいちゃんがからかうようないいますが、いつものように白い顔を真っ赤にして、
「子供の前で変なこと言わないでくれる
ますます、いきりたっちゃった。
「ああ気分悪い俺はもう寝るかんね細太郎も余計な心配しなくていいぞ
おとうさんはそうわめき散らして、2階へ上がってしまいました。
ぼく、心配してないけど…
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愛と書いて“めぐみ”という…

2006-11-20 21:34:21 | へちま細太郎
こんにちは、へちま細太郎です。

来ましたよ来ました、ついに来たおとうさんにお見合い話が…。
近所に住む“おせっかいばあさん”とおばあちゃんが呼んでいるおばさんが、おとうさんに、
「よい話なのよ~」
と、写真と“つりがき”というのを持ち込んできました。
「先方様のお嬢さんはそりゃもう気だての良い方で、お料理もお花やお茶のたしなみもあるそうですのよ」
「そんなすばらしいお嬢さんなら、何もうちのようなこぶつきとお見合いしなくてもよろしいでしょう?あら、それとも剛の方にいただいたお話でしたっけ?」
おばあちゃんも負けてないなあ。
「光一さんですよ。先様は細太郎君のことを承知の上で、このお話をお受けなさったのですからね」
「未婚の父を承知、とは随分できたお宅ですこと
おばさんの恩を売るような言葉に、ちょっとおばあちゃん、言葉にトゲが入る。
「まあ確かに、未婚の父、というのはあまり聞かない話ですものね。世の中女性に背負わせてしまう男性がいる中で、責任感がおありになるということで、先方様では感心なさっておられますのよ」
こういっておばさんは、とってつけたようにおほほほと笑った。
「ほら職業も保育士さんでいらっしゃいますでしょ?子供がお好きみたいだから、細太郎君と仲良くなれそうとおっしゃってるみたいで」
なんだかもう結婚するみたいな言い方だなあ。
「光一さんもいつまでもお1人というわけにはいきませんでしょ?細太郎くんにもおかさんは必要ですわよ」
余計なお世話だよ。
このあと、おばあちゃんのいやみにも負けなかったおばさんは、むりやり見合い写真とつりがきをおいていってしまいました。
「なんかあるのよねえ、光一に見合い話って」
おばあちゃんは、写真を開いてみながらつぶやいた。
「だいたい、うちをバカにしてんのよ、光一が未婚の父だからってさ、持ち込んでくる見合い相手みりゃわかんのよ」
おばあちゃん、プンプン怒ってます
「だいたい、細太郎の母親は医者の娘なんだからね。それとつりあいがとれる家の娘じゃないとだめなんだから」
あ、そうだった。ぼくのお母さんのおうちって、お医者さんだって言ってたっけ。
「なあにが、愛と書いて“めぐみ”と読みます、よ。田村正和のドラマじゃあるまいし」
「え?なに?」
「昔、“パパはニュースキャスター”ってドラマがあったのよ。その主人公が酔っ払って女を口説く時の決めセリフに“子供ができたら名前は決まっている。愛と書いてめぐみという”というのよね。笑った笑った」
田村正和って、古畑任三郎だよねえ。刑事やったりニュースキャスターやったり、総理やったり忙しい人だなあ。
「おとうさんだって同じじゃない」
ぼくは、ちょっと意地悪を言ってみたくなりました。
「あら、なんで?」
「だって、よっぱらうと、必ず“リカちゃん”に反応しちゃうでしょ」
ぼくはいたずらっぽく笑いました。
「細太郎…」
おばあちゃんは困ったような悲しそうな表情を見せました。それを無視して、
「ぼく、おとうさんがお見合いしてもいいよ、おばあちゃんがよければ、ぼくおばあちゃんたちと暮らすから」
よく考えてみたら、ぼくってあんなおばさんにバカにされるようなそんざいなのかな、と思えてきました。
ぼく、誰からみてもおじゃま虫なの?
ねえ、おかあさん。
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藤川先生の怒り

2006-11-19 21:30:53 | へちま細太郎
藤川だよ。

こ~いっちゃんのおふくろさんが風邪で寝込んでいるというので、食料を買い出しして細太郎の家に行った。
そしたら、台所は洗い物がたまっている、鍋をのぞいてみりゃ不気味な煮物が入っている。
「なあんだあこりゃあ
細太郎がそばで情けない顔をしている。
「ぼくがやるっていったんだけど、おじいちゃんがうまいもん食わしてやる、と言って作ってくれたんだけど…」
「…
鍋の中の残骸は、もはや食欲をそそるような代物ではなかった。
「細太郎~、こ~いっちゃんは作ってくれなかったのか~」
「うえじにしたって作ってくれないよ」
俺はこのうちの男どもの情けなさに腹がたってきた。 人間の糧となる食事をないがしろにするなんて、許さん
「細太郎、俺様がうまい鍋を作ってやるからな
「うん」
細太郎は、嬉そうに俺の顔を見上げた。かわいいなあ。俺は、細太郎の頭をぽんぽんと叩くと、
「手伝ってくれるか?」
と聞けば、
「いいよ、何からやるの?」
と、わくわくした顔をした。
俺は、結婚しなくてもこんな子供ができるのなら、嫁なんかいらないと思った。どうせなら細太郎を養子にしてもよいな、とも思う。 そしたら、こ~いっちゃんは大騒ぎするだろうなあ。
俺は、鶏の挽き肉でだんごを丸めながら、そんなことを思った。
ま、無理だろうけどな。
こんちのじいさんは昼間からうだうだし、こ~いっちゃんは台所をうろうろと役にも立たないのに歩き回った。おふくろさんが苦労するわけだ。
「ぼく、おばちゃんと食べていいかなあ。一人じゃ寂しいと思うから」
「そうだな。起きるのが辛けりゃ小さいテーブルを出して、そこで食べればいいから」俺はテレビの前でうだうだするバカ父子をみて、こんなやつらのために俺様のカニ鍋を食わせてたまるか、と怒りがこみ上げてきた。
俺は人数分の倍あったカニを2つだけ残し、すべて俺たち用にと分けて、やつらの嫌いな人参を厚切りにして大量にぶちこんだ。 さらに、真っ赤になるほどキムチを入れた。 手伝わないのと、飯をないがしろにした罰だ。
俺は、まっかな鍋をやつらの前におき、
「めし」
と言い、そのまんまかにを持っておふくろさんの部屋に向かった。
「ここで食べるの?恥ずかしいなあ、こんなかっこで」
おふくろさんは、はんてんの前をあわせて少々恥じらった。目が細太郎にそっくりだ。このおばさんにも、そんな女らしい面があったんだ、とちょっと見直したな。
うちの母親は、あんまりこういう弱みを見せないからな。
「今夜はカニ鍋ですよ~」
俺は、
「から~っ
「なんだこれー
という悲鳴を遠くに聞きながら、カニの足をぱきっと折った。
「へんだ
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鬼のいぬ間に

2006-11-18 17:44:46 | へちま細太郎
はい、細太郎のおじいちゃんです。

孫の風邪が古女房に伝染し、一昨日から寝込んどります。
ま、鬼の攪乱ってやつだっぺ。
困ったのは食事。細太郎がソフト麺とやらを持ち帰ってきたおかげで、これを晩ご飯にすることにしたけどよ。が、つゆを作るのがめんどくさい。
冷蔵庫をあけてみると、甘エビが入っていた。こりゃ、酒のつまみによさそうだ、と思ったが、日にちが経っていたのでこれを具にしてしまえ、とばかりに冷蔵庫に入っていたものを適当に鍋にぶちこんでしまった。
料理なんてしたことないし、俺は酒が飲めればいうことがないしよ。
甘エビのおかげでうまいだしがとれ、そのごった煮で酒が飲めて、じいちゃん幸せだ。
うるさく言うばあさんも眠ったっきりだし、いつも以上に酒を飲んだ飲んだ。
甘エビも景気よくリカにあげて、リカもこの時ばかりはすりよってきた。
なんだな、女ってやつは犬でも人間でも一緒だっぺと。ものでつればいいんだっぺな。
うちのバカ息子も、見習ってくれりゃいいんだ。
あ~眠くなった。寝っぺ。
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臨時休刊

2006-11-17 18:54:40 | 休刊案内
風邪ひいた。
喉頭炎で、向こう1週間声だし禁止になっちまったぜ。
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なんというか、まあ、その~

2006-11-16 22:00:41 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

学校の図書室にいったら、りょうこちゃんがいました。 しずかに、本をよんでいました。
『きれいだなあ』
ぼくは、自然にそう思っちゃいました。横顔がすごくきれいなんですよ。
小学生が同じ小学生をきれいだな、と思ったって悪くないよね。かわいいとか、そんなレベルじゃないんだもん。 きっと、だれもが同じようなこと感じたと思うよ。
しばらく見とれていると、
「どうしたんだ、細太郎」
と、さらだ先生に肩をたたかれました。
「あ、あのね」
ぼくは、さらだ先生の耳にこしょこしょと、今思ったことを話しました。
「ほ、細太郎?」
さらだ先生は、なんかひどくおどろいた顔をしました。
「なに?」
「おまえ~」
さらだ先生は、ぼくの両肩に手をのせて、うなだれてしまいました。
「おまえ、やっぱり、こうちゃんの息子だなあ」
「へ?」
ぼくはなんのことだかわかりません。だって、ぼくはおとうさんのこどもにちがいないんだけど…。
「どういう意味?」
と、聞き返すと、
「いい、いい、わかんなくていい」
さらだ先生は、なんだかため息をついています。
ぼく、なんか、変なこと言った?
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先生は役者です

2006-11-15 18:54:48 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

お昼休み、教室で植物ずかんをみていました。
外でみんなと遊んでいたいんだけど、まだからだが調子がよくないのと、みんなもまだまだ風邪をひいているので、誰も外にいけないからです。
元気なのは、たかのり君だけです。
「バカは風邪ひかないのよね」
と、マスクしているはるみちゃんがいいました。
ぶっころしてやろうか、このガキは…、さらだ先生は、この時そう思ったらしいんですけど、そこはそれ、
「たかのりは、ふだんからきたえているから風邪はひかないんだよ」
と、やさしくはるみちゃんにいってあげていました。
さらだ先生…
「あら、私、きたえていないけど…」
今回、風邪をひかない数少ないクラスのメンバーの1人、あゆみちゃんが自まん気にいいました。
「じゃあ、予防をきちんとしていたんだね」
と、さらだ先生はにこにこしています。
役者やの~
「ううん、ちゃんとごはんを食べて、ちゃんと寝たからよ。これが一番なんだって。もちろん、うがいもしたよ」
「えらいなあ
女子が拍手しています。
さらだ先生ももちろんにこにこ顔ですが…、先生、目が笑っていないし、笑顔がひきつってるってば…
「私って、自分がこんなにデリケートだとは思わなかった。病弱なのね、きっと」
はるみちゃんが、よろけていすにすわりました。
「…
男子は、あきれ顔。
「私、きっと、長いこと生きられないのかもしれない。だって、お医者様とおかさんがこそこそお話していたんだもの」
「きっと、きかせたくない話だったのかも」
「かわいそう、はるみちゃん」

「はるみちゃんって、とってもきゃしゃだものね」

「じゃあ、からだを大切にしないといけないな」
さらだ先生は、はるちゃんのからだをいたわるようにいすにかけてあったジャージをひざにかけてあげました。
先生、ぼくは、心にもないことできません。
だから、先生にはむいていないな、と思ったな。
「先生、やさしい~」
女子の言葉に照れ笑いをしていましたが、どうせ、心の中は、煮えくり返っているんだろうな、とぼくは思いましたね。





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ストレスがたまる…たまらん仕事につきたい

2006-11-14 16:45:51 | へちま細太郎
こんにちは、へちま細太郎です。

今日、久しぶりに学校に行ったら、おたふく風邪で3人、風邪で5人休んでいました。
さらだ先生によると、よその学校ではこんなにはやっているわけではなく、この4年3組だけなんだそうです。
原因は、はるみちゃんです。
そのおたふく風邪とふつうの風邪にダブルでかかっていたはるみちゃんは、まだようすをみます、ということでお休みしています。
だったら、最初からくるんじゃねえ、とさらだ先生はいかりくるっていました
先生というしょくぎょうも、ストレスがたまるんだね。
ぼくは、先生になんかならないぞ。
ぼくは、先生といっても大学の先生になりたいと思った。
孟宗学園でもいいかなあ。
だって、あそこには中島教授もいるし、片山教授は保健室で寝ているし、ずいぶん楽な仕事だと思ったから。
それに好きなことしかしていないように見えるし。
元気になったから、あとでまた中島教授のところに遊びに行こうっと。
みんな、いやがるけどね。。。。
中島教授をみていると、ストレスなんてなさそうだから。
おとうさんもさらだ先生も、中島教授を見習っ言いたいこと言えば、ストレスたまらないのになあ、とぼくは思うんだけど・・・。
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