へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

先生は役者です

2006-11-15 18:54:48 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

お昼休み、教室で植物ずかんをみていました。
外でみんなと遊んでいたいんだけど、まだからだが調子がよくないのと、みんなもまだまだ風邪をひいているので、誰も外にいけないからです。
元気なのは、たかのり君だけです。
「バカは風邪ひかないのよね」
と、マスクしているはるみちゃんがいいました。
ぶっころしてやろうか、このガキは…、さらだ先生は、この時そう思ったらしいんですけど、そこはそれ、
「たかのりは、ふだんからきたえているから風邪はひかないんだよ」
と、やさしくはるみちゃんにいってあげていました。
さらだ先生…
「あら、私、きたえていないけど…」
今回、風邪をひかない数少ないクラスのメンバーの1人、あゆみちゃんが自まん気にいいました。
「じゃあ、予防をきちんとしていたんだね」
と、さらだ先生はにこにこしています。
役者やの~
「ううん、ちゃんとごはんを食べて、ちゃんと寝たからよ。これが一番なんだって。もちろん、うがいもしたよ」
「えらいなあ
女子が拍手しています。
さらだ先生ももちろんにこにこ顔ですが…、先生、目が笑っていないし、笑顔がひきつってるってば…
「私って、自分がこんなにデリケートだとは思わなかった。病弱なのね、きっと」
はるみちゃんが、よろけていすにすわりました。
「…
男子は、あきれ顔。
「私、きっと、長いこと生きられないのかもしれない。だって、お医者様とおかさんがこそこそお話していたんだもの」
「きっと、きかせたくない話だったのかも」
「かわいそう、はるみちゃん」

「はるみちゃんって、とってもきゃしゃだものね」

「じゃあ、からだを大切にしないといけないな」
さらだ先生は、はるちゃんのからだをいたわるようにいすにかけてあったジャージをひざにかけてあげました。
先生、ぼくは、心にもないことできません。
だから、先生にはむいていないな、と思ったな。
「先生、やさしい~」
女子の言葉に照れ笑いをしていましたが、どうせ、心の中は、煮えくり返っているんだろうな、とぼくは思いましたね。