へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

細太郎、なんかへんになる

2006-11-08 23:54:28 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

ぼく、昨日から胸がおかしいんです。なんだか胸がきゅっとなって、すごくさびしいようなかなしいような、そんな気分なんです。
だから、ぼくのようすがおかしいと、おばあちゃんやおじいちゃんがすごく心ぱいして、
「風邪ひいたかな?」
と、おばあちゃんがひたいに手をあてた時には、いたたまれない気がしてたまりませんでした。 風邪かもしれないけど、そうじゃないかもしれない。
なんだろう、ぼく、どうしちゃったんだろう。 おとうさんが帰ってきた時には、顔をみることができませんでした。 ぼく、悪いことしてないけど、そんな気持ちになってしまったみたい。
「細太郎、どうしたんだ、どっか悪いのか」
おとうさんは、ぼくがごはんをのこしているのをみて、大さわぎをしました。
「変なのよ、この子」
おばあちゃんが首をかしげていますが、ぼくにだってわからない。じいっと3人がぼくを見ています。
「もしかして…」
おばあちゃんが何かを言いかけましたが、ぼくのほっぺたをさわってくるんです。
「細太郎、ぐあいが悪いならちゃんと言え、でないとわからないだろ」
いつもよりきびしいおとうさんの声がしました。心配そうに、でもちょっとおこった表情をしています。 ぼくは、もうしわけなくて涙がでてきてしまいました。
「ごめんなさい、ごめんなさい
泣きながらいっしょうけんめいにあやまりました。
「泣くな」
おとうさんがにらんでいます。
「怖い顔しないの、よく見てごらん」
おばあちゃんがぼくのあごを持ち上げて、おとうさんに見せてました。
「あ、顔が左右違ってる」
「こりゃ、おたふくだ」
おじいちゃんの間のぬけた声に、おとうさんは息を大きくはいて、いすに深くすわりなおしました。
「あ~
ためいきです。 ためいきつきたいのは、ぼくの方です。

ぼく、おたふく風邪になっちゃったよ