宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻3」(30)「リュディアの船乗りたち」:20人の内、アコイテス1人を除き、船乗りたちはバッコス神によって海豚(イルカ)にされた!

2022-01-16 15:36:47 | Weblog
(1)バッコス神に帰依するアコイテス!(125頁)
テーバイ王ペンテウスに命じられ従者たちがバッコスを捕縛に向かった。しかしが見つからず、代わりに「祭儀を手伝う神官」である男を捕らえた。ペンテウスは怒り狂い、バッコス神に帰依するこの男を直ちに殺そうと思ったが、辛うじて思いとどまり言った。「きさまの名と故国を言え。新趣向のこの祭りにいれあげているわけも、聞きたいものだ。」男は少しも恐れず「名はアコイテスといいます。生まれはリュディアです」と答えた。

(2)リュディアの船乗りアコイテスは、キオス島で「小さな男の子」(バッコス神)を見つけた!(125-127頁)
アコイテスが、バッコス神に帰依した理由を説明した。彼はリュディアの船乗りで、ある時、キオス島に上陸した。仲間たちがそこで「小さな男の子」(バッコス神)を見つけた。彼らはこの「男の子」を売りさばいて儲けることを考えた。ところがアコイテスにはこの子が人間並みに見えない。アコイテスは仲間たちに言った。「この子の体内には神様がいらっしゃる!」「売りさばいて儲けたりすべきでない!」

(3)仲間の船乗りたちは「男の子」(バッコス神)が望むナクソス島とは、反対の方向へ船を進めた!(127-129頁)
仲間の船乗りたちはアコイテスの言うことを聞かない。「男の子」(バッコス神)が言った。「進路をナクソスへ向けてよ!そこに家があるの。その島ではみんなも手厚いもてなしにあずかれようよ。」私(アコイテス)は「ナクソス島」に向かおうと帆を右へ向けた。だが他の仲間たちは「左へ行くのだ」とナクソスへの進路は取らず、反対の方向へ船を進めた。

(4)バッコス神(「男の子」)は船を立往生させ、神としての姿を現した!(129-130頁)
すると「男の子」(バッコス神)が言った。「頼んだ土地へ着けるの?」「よい若い者たちが大勢で子供をだまして、名誉になるの?」突然、船が海の中で立ち往生した。櫂を動かしても、帆をどのように張っても船は進まない。ふと見ると葡萄の蔓が櫂を妨げ、つるを巻いて船中を這い、葡萄の房が点々と帆を彩っている。今やバッコス神(「男の子」)が神として姿を現し、房になった葡萄を頭に巻き、常春藤(キヅタ)の葉におおわれた杖をふりかざす。そのまわりに虎、山猫、豹のまぼろしが寝そべる。

(5)船乗りたちは20人の内、アコイテス1人を除き、バッコス神によって海豚(イルカ)にされた!(130-131頁)
船乗りたちはバッコス神の姿を見て、恐怖と狂気で飛び上がった。そのうちに、船乗りたちの体が黒ずみ、背骨が曲がり、口が裂け鼻が鉤なりに曲がる。固くなった皮膚に鱗が生じ、手は縮み鰭となり、腕のないずんべらぼうの胴となる。彼らは海豚(イルカ)になった。先ほどまでいた20人の船乗りのうち、私(アコイテス)1人が残った。

(6)アコイステスは、ナクソス島でバッコス神の祭儀に加わり、以来、帰依する身となった!(131頁)
「恐ろしくて身がすくみ、わなわな震える私(アコイテス)を神さま(バッコス神)が励ましてくれ、『怖がることはないよ。ナクソスへ向かうのだ』と言った。ナクソス島へおりた私はそこで祭儀に加わり、以来、バッコスに帰依する身となった。」アコイテスの話がこうして終わった。ペンテウス王が「ずいぶんと長たらしい話だったな!」と言い、「ものども、この者をしょっ引いて行け!恐ろしい拷問で痛めつけたうえ、冥府の闇へ投げこめ」と命じた。アコイステスは、堅固な牢屋に閉じ込められた。しかし拷問と処刑の準備がなされている間に、ひとりでに扉が開き、鎖が腕から抜け落ち、彼はのがれた。


★バッコス神がリュディアの船乗りをイルカに変える!
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