宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

田房永子(タブサエイコ)『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』2016年:①「休む」、②「自分をほめる」、③「今」に注目する!

2018-10-23 22:33:43 | Weblog
はじめに
A 日曜日、「なんで、いつも朝食の準備を自分だけがするんだ!」とイライラしてきて、寝ている夫を殴る私!
A-2 34歳まで、このように私はしょっちゅうキレていた。35歳の今、私はキレない。

《感想》この本が扱うのは、妻、夫の問題でなく、「キレる」自分が嫌になっている人の救済の問題だ。

第1章 キレまくっていた私
(1)母・担任・元彼
B 私は母からも、担任からもひどいことを言われて育った。私はキレた。Ex. 担任が「田房さんは何も取り柄がないから将来はなるものがないわね!」と言った。
B-2 元彼が「才能もお金もないエイコちゃんが、こんないい部屋に、ぼくのおかげで住める」と言った。私はキレた。

《感想》何とひどいことを担任が言うのか!無神経、最低、パワハラだ。元彼も最悪だ。「私」は働いているが、元彼の発言は、「専業主婦」への傲慢な侮辱に似る。

(2)今の夫、タカちゃん
B-3 今の夫、タカちゃんが「部屋が散らかってる」とか何か感想を言うと、「自分が責められてる」とどうしても思ってしまう。私はキレる。
B-4 自分はDVのように、「キレて殴る→謝る→蜜月期」のサイクルだ。
C 子どもも生まれた。しかしキレる。
C-2 自分のことを「ダメだ」って思ってる時、私はキレる。
D 夫とケンカした時、いつになく夫が強く私を掴んだので、私はキレて夫の暴力を110番した。ひどく反省した。すでに夫、タカちゃんと結婚して6年。夫が、許してくれた。

《感想1》「自分が責められてる」とどうしても思ってしまいキレる。「後ろめたい」からキレる。自分のことを「ダメだ」と思ってしまってキレる。これらは本当だ。
《感想2》これらはパワハラの一部の動機でもある。パワハラはもちろん他の動機もある。傲慢、権力者意識、見せしめ、刑罰、人への侮蔑、差別、悪意、苛める楽しみ等々。


第2章 どうしたら「キレる」をやめられるの?
(1)専門家
E 誰か(何かの専門家)に、「夫はいい人です」とか「素晴らしい夫婦です」とか言ってほしい。
E-2 「箱庭セラピー」、神経科など色々ある。

《感想》誰かにほめてもらうと言っても、みんな忙しいし、世間のしがらみもあり、私生活を吐露するのもむずかしく、かくて専門家に相談し、ほめてもらうしかない。

(2)ゲシュタルトセラピー
F ゲシュタルトセラピー:次々と座布団にすわって、色々な役(様々な状況ごとの「私」、「お母さん」、さらに「体の部分」)を、自分(私)が演じる。
①まず自分(私)について話す。「夫にキレちゃうんです。そこまで怒ることじゃないのに・・・・」
②自分(私)の怒りを思い出し、体で感じる。肩がカッカしてくる。「怒っている」自分だと思う!
③自分(私)のカッカする肩がなんと思っているか推定する。カッカする肩は、一方で夫に「ムカムカする」と思い、他方で私に振り回されない夫に「いいな」と思う。
④夫を「いいな」と思う自分(私)になってみる。その自分から、「怒っている」自分がどう見えるか言う。「その自分(私)はまるでお母さんみたいに見える!」
④-2 「お母さんみたいだと夫に嫌われる」と私。右手に力が入る。
⑤そのお母さんに対し、わたしの右手が「殺してやる」と言う。
⑤-2 さらにお母さんに言いたいことを、私が色々言う。
⑤-3 「お母さんは、いつも私が真剣に怒る時に限ってヘラヘラする」と私。
⑥私がお母さん(の役)になる。(お母さんがいることにした座布団に、私が座る。)
⑥-2 「エイコちゃん(私)はそんなに悩まなくていいのに――」、「エイコちゃんは宝物だから、そんなに怒らないで!」、「仲良くしたい!」とお母さん(の役)になった私が言う。
⑦私が(私自身の役になって)「お母さんのこと、許したい」、「ずっと子ども扱いされて耐えられなかった」、「そういうところが嫌いだし、殺してやりたい」と言う。
⑧再び私がお母さん(の役)になる。「そんなに言われても覚えてないし――」、「私は子育てが得意じゃなかった」、「今は、さみしいけど、そんなにさみしくもありません」と母さん(の役)になった私が言う。
⑨再び私(の役)になる。お母さんの言っていたことを聞いて私が感想を言う。「なんかお母さんに腹を立てたのが、アホらしくなってきました」、「なんか可笑しいです」。笑いがでる。

《感想》まず①自分がキレるのはなぜかを自分で述べる。②その怒りを体で感じる。怒りが体の特定の部分に集中する。③そこに溜(タ)まった怒りの内容をその体の部分(Ex. 肩)に言わせる。私が、「夫に対しキレる私」と、「夫を肯定する私」に分裂する。④「夫を肯定する私」になって、「夫に対しキレる私」について、どう思うか述べる。④-2 夫に対し私がキレる理由が、私にわかる。「夫に対しキレる私」はまるで「お母さん」そっくりで、⑤私の右手が「お母さん」を殺したいと叫ぶ。「怒り」が私から自立化し、体(右手)に宿る。⑤-2&⑤-3ここで私がキレる原因が「お母さん」だと分かる。ここからは「お母さん」と「私」の役を、私が交互に演じ(⑥⑦⑧)、両者の和解に至る(⑨)。

(2)-2 マグマがなくなった
F ゲシュタルトセラピーで、体の中のマグマがなくなった。
F-2 私は「暴れ出す何か」(マグマ)を「キレたらだめ、嫌われる」と押さえつけていた。
F-3 今、私は、キレるはずの場面で怒りがわいてこなくなった。

《感想》「怒り」の原因であった「お母さん」(私の分身)と「私」(私の分身)の「対立」が解消し、私は穏やかになった。「暴れ出す何か」(マグマ)つまり「怒り」がなくなった。

(3)暴力
G だがまだエイコ(私)の中に、マグマのくすぶりが残っていた。数か月後、エイコはキレた。
G-2 子ども(2歳)が牛乳をひっくり返した。子どもを叩いた。
G-3 しかし「暴力って絶対無意味だ」とエイコは思った。「意味のある暴力なんて記憶にない!」(Ex. 先生からの暴力)

《感想1》「暴力でしつける」のは権力関係・力関係を思い知らせ、相手に服従を強いることだ。この服従が成立するのは「痛みの回避を求める欲望」があるからだ。
《感想1-2》ただし服従が強固となるためには、権力関係・力関係(暴力)が世界観的倫理によって正当化されねばならない。つまり正当化の理論がいる。
《感想2》なお「痛みの回避を求める欲望」に対抗できるのは、「麻薬」か、「世界観的倫理」(正当化の理論)だ。Ex. 殉教者にとってのキリスト教。


第3章 キレるメカニズム
(1)キレないためには、意識が「今」にいることが大事だ(⇔「未来」・「過去」)
H キレる原因①「未来」に悪いことが起きると勝手に決めつける。Ex. 大変なことになる。
H-2 キレる原因②あの時、こうしてなかったからと後悔し、「過去」に目が行く。
H-3 キレる原因①②は、要するに、意識が「今」にないことだ。
H-4 キレる原因③責任感が強い。Ex.1 私のせいで、このままでは大変なことになる。Ex.2 私のせいで、とんでもないことになった。
H-5 かくて冷静に「今」にいることが大事だ。

《感想1》「未来」への不安・心配が、君をパニック状態にする。つまり「未来」への不安・心配を引き起こした相手に対しキレる。
《感想2》「過去」への後悔が、君をパニック状態にする。今更、過去は変えられないのに、君は過去にこだわる。君は、「過去」への後悔を引き起こした相手に対しキレる。

(2)キレないためには、「状況」でなく「心」に注目する
I また「状況」でなく「心」に注目することが大事だ。
I-2 例えば「ブドウが食べたい」と泣く子供。「オレンジしかない」「ないんだから仕方ないでしょう」と私。子供は泣き止まない。これが「状況」のレベル。
I-3 「ブドウが食べたいんだよね」、「ブドウ大好きだよね」、「ブドウがなくて残念だね」と私が言うと、子供は泣き止んだ。これが「心」のレベルだ。

《感想1》キレるのは、「心」のレベルで起きる。問題は「心」だ!
《感想2》「状況」が問題となるのは、「状況」が「心」に影響を与えるからだ。「状況」が「心」に問題を引き起こさなければ、そもそも「状況」が問題にならない。

(3)キレないためには、「前提」(※バーチャルの現実)に気づかねばならない
J キレる時は、「バーチャル体験」と同じことが起きている。
J-2 ある「前提」(※バーチャルの現実)がすでにある。この「前提」のもとで、ある出来事が起きてキレる。

《感想1》「前提」とは、「未来」・「過去」へのこだわりだ。かくて、キレないために、「今」に生きるのだ。
《感想2》また「前提」とは、「状況」へこだわることだ。かくて、キレないために、「心」そのものに目を向ける!
《感想3》「前提」とは思い込みだ。「自分は悪意に囲まれている」、「皆が自分の悪口を言っている」、「あいつは自分を馬鹿にしている」などの「前提」があると、なにか出来事や相手の行動に対し、君はキレやすくなる。

(4)キレなくなる効果的方法:①「休む」、②「自分をほめる」、③「今」に注目する
K キレなくなる効果的方法①「休む」。「自分はダメだ」と思い、「自分に厳しい」ので君は疲れている。だからEx. 体をいたわる・眠る。Ex. 行きたくないところに行かない。Ex. 好きなところに出かける。Ex. 逃げる。
K-2 キレなくなる効果的方法②「自分をほめる」(栄養補給だ!)。Ex. 翌日やるべき予定の項目を書きだして、それが翌日出来たら自分を「ほめる」。半分出来たら、半分出来た分を「ほめる」。
K-3 キレなくなる効果的方法③(「ほめる」ものがどうしても見つからない時は)「今」に注目する。君は「今ここにいる」!(Ex. 机が見えます、座っています、椅子の上にお尻がある。)かくて「状況」や「世間体」が削ぎ落され、自分の素材(「心」)が見えて来る。「悪くないじゃん」と思えれば最善。
K-3-2 ③-2 また、すでに見たように、キレないためには、意識が「今」にいることが大事だ(⇔「未来」・「過去」)。

《感想1》①「休む」、②「自分をほめる」、③「今」に注目するは、君の心が安らぐため重要だ。
《感想2》特に③意識が「今」にいることが大事だ。(ア)「未来」に悪いことが起きると勝手に決めつけない。Ex. 「大変なことになる」と過度に不安にならない。(イ)またあの時、こうしてなかったからと、「過去」に目が行き後悔にさいなまれても過去は変わらない。君は過去を受け入れるしかない。死んだ子の歳を数えてもしかたない。子どもはもう死んだ。
《感想3》君は実は(ウ) 責任感が強いのだ。(Ex.1 このままでは大変なことになる。Ex.2 私のせいでとんでもないことになった。)もっと自分を許してよい。

(5)アンダードッグが爆発し、トップドッグをはねのける時、君は「キレる」:岡田法悦(ノリヨシ)(日本ゲシュタルト療法学会理事)
L ゲシュタルトセラピー理論は、心の中のトップドッグ(topdog、勝者・支配者)とアンダードッグ(underdog、 敗者・負け犬)との対立が「キレる」ことの原因だと説明する。
L-2 トップドッグ(※超自我に相当)は、「本当はやりたいけど、やっちゃダメ」、「本当はやりたくないけど、やらなきゃいけない」と君に命じる。そして怒りを「わがままだ」「良くないものだ」と抑える。
L-3 アンダードッグは、「でも・・・・」「やだな」「逃げたい」「反抗する」という気持ちだ。(※超自我への反動エネルギー!)もともとのものなのでエネルギーが大きい。かくてアンダードッグが、爆発的にトップドッグをはねのける時、君はキレる。

《感想1》トップドッグ(※超自我に相当)は必要不可欠だ。「本当はやりたいけど、やっちゃダメ」(Ex. 基本的に犯罪はダメだ)、「本当はやりたくないけど、やらなきゃいけない」(Ex. 会社が嫌でも働かないと給料が入らない)、そんなことばかりだ。、他者たちとうまくやり、自分が生きて行くには必要だ。
《感想2》もちろんアンダードッグが消えるわけでない。「でも・・・・」「やだな」「逃げたい」「反抗する」という気持ちだ。正当なものは吟味し肯定するべきだ。「わがままだ」「良くないものだ」と抑えるのが、善と言えないことがある。Ex. 理不尽な支配のための道具としての道徳。
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