照柿 上下
2021-03-01 | 本
高村 薫 著
久しぶりの高村薫です。
題名の「照柿」の意味がずっと気になっていました。
調べてみると、伝統色の名前でした。
赤みがかった濃い橙色。熟した柿の皮に似ている、と。
8月2日の電車への飛び込みから始まり、暑い夏の間に話が進んでいきます。
最初は、熱処理工場の炉の事とかが細かく描写されていて、よく分からない私にはつまらない話でした。
が、途中からどんどん引き込まれていきました。
第一章の前のページにあったダンテの『神曲』地獄篇一・一から〜三 の言葉が読み終えてから分かった気がしました。
人生の道半ばにして
正道を踏み外したわたくしは
目が覚めると暗い森の中にいた