先日観た映画『風の電話』の中で
西田敏行が新相馬節を唄うシーンがとても印象に残っている。
原発事故後の福島で暮らす男が
かつての福島を思いながら語る中で
独り言のように、つぶやくように口ずさむ唄。
なんだかとても心にしみた。
西田敏行自身も福島の出身だそうだ。
そして、「即興演出」という手法を用いる諏訪監督は
この場面において、唄をひとつ入れてください、と指示しただけで
あとは役者に任されたのだそうだ。
YouTubeでいくつか見た中でも
原田直之の唄がとてもいい。
この人も福島の人なのだそうだ。
新相馬節は”新”とついているくらいだから
厳密な民謡の定義からは外れるのかもしれない、
それでも、土地の人がふるさとへの想いを込めて唄うとき、
それがどんな唄い方であっても
その唄は民謡になるのだろうし、生きた唄になる。
よそ者の私には、とうていそんな唄は唄えないけれど、
それでも東北の唄には特別に心ひかれる。