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「模倣の殺意」 中町信

2013-06-03 | 本と雑誌

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「模倣の殺意」 中町信
東京創元社 Kindle版 560円

7月7日午後7時に作家 坂井正夫が青酸カリ服毒死する。遺書は無かったが、鍵がかかった部屋での服毒であったので自殺として処理された。しかし、坂井正夫と親しかった編集者の中田秋子は不審に思い調査を始める。また、ルポライターの津久見伸助は同人誌仲間であった坂井正夫の死についての記事依頼を受けたところから、この裏には盗作があることをかぎつけ、事実を探っていく。

約40年前に発表された中町信のデビュー作。今までそれほど注目されていませんでしたが、今年になって急に売れ出したようです。私のいつも行く書店でも平積みで置かれています。

自殺か殺人か? 一つの事件を中田秋子と津久見伸助が別々に追っていきます。それぞれの調査が別の章立てとして構成されています。これがくせ者。
盗作も鍵になります。誰が盗作したのか? が解明され、そして犯人は・・・。最後のどんでん返しは、「やられた」という爽快感。こういうトリック、そして意外な犯人。ぴたりとはまりました。

描写力、特にディテールの描き方は上手いとは言えません。東野圭吾あたりと比べるとたいそう貧相に見えます。文体は下手な翻訳小説という感じです。もう少し上手ければ、もっと売れたでしょうね。

英国の古き良き時代の推理ものを読んだような、懐かしい感じです。また本格推理小説を発掘したという感覚があります。推理小説好きは読むべき作品です。


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