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「殺してもいい命 刑事 雪平夏見」 秦建日子

2011-06-11 | 本と雑誌

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河出書房新社 314ページ 1600円+税
篠原涼子主演で「アンフェア」としてTVドラマ化された、雪平夏見刑事シリーズの3作目。

アイスピックを突き刺されて殺された男の口の中に「殺人ビジネス始めます。新規開業につき、最初の3人までは特別価格30万円」と印刷されたチラシが突っ込まれていた。この殺された男が、雪平夏見の離婚した夫であった。捜査が難航する中で、第2の殺人が発生。

雪平が二度目に被疑者を射殺した後の記者会見、そこでの新人女性アナウンサーと雪平とのやりとりが何度か出てきます。ここの雪平の答弁が、格好良い。繰り返して出てくるのはなぜかなと思っていたら、実はこれが重要なキーになっていました。
「前回も、そして今回も、撃つ必要があると判断したので撃ちました。それだけです」
「私は刑事です。刑事として、撃つ必要があると判断したので撃ちました。ですから、撃った瞬間も感じていませんでしたし、今も感じていません」
これと共に、雪平がほとんど眠らない理由も解明されました。

登場人物が多く、入り組んだ人間関係になっていますが、文書が上手くすんなりと読み進めることができました。それどころか、出てきた人物全員が、ジグソーパズルのピースのように、それぞれ重要な役割を果たしており、最後にはすべてのピースが 一分の狂いもなく はめ込まれました。この構想力には恐れ入ります。
ラスト数十ページ、映画のシーンのように雪平達が疾走していきます。このスピード感、スリルも凄い。作者の筆力にただただ脱帽です。
加えて、雪平夏見を中心として、人間を魅力的に描いてくれています。若手刑事の安藤も良い男になりました。雪平夏見はさらに魅力を増して、ますます好きになってしまいました。
本作 出版されてから読むのに期間がありました。これを悔やむんでいます。
雪平夏見の次作が待ち遠しいです。
自信を持ってお薦めします。

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