黍生山の村夫子 (きびゅうやまのソンプウシ)

黍生山の村夫子が「蜂を追っかけた」とか「山が笑った」とか言ってます。

推敲

2019年01月22日 04時18分28秒 | 日記
昨日歩地爺さんのブログに「推敲します」とあったのでネタ切れのバカには渡りに舟
今日はその推敲の故事とその漢詩を

唐代、都の長安に科挙(官吏の登用試験)を受けるためにはるばるやってきた賈島は、乗っているロバの上で詩を作っていた。その途中、「僧は推す月下の門」という一句を口ずさんでから、「推す」のほかに「敲く」という語を思いついて迷ってしまった。彼は手綱をとるのも忘れ、手で門を押すまねをしたり、叩くまねをしたりしたが、なかなか決まらなかった。あまりにも夢中になっていたので、向こうから役人の行列がやってきたのにも気づかず、その中に突っ込んでしまった。さらに悪いことに、その行列は知京兆府事(長安の都知事)、韓愈の行列であったため、賈島はすぐに捕らえられ、韓愈の前に連れて行かれた。そこで彼は事の経緯をつぶさに申し立てた。優れた名文家であり、漢詩の大家でもあった韓愈は、賈島の話を聞き終わると、「それは『敲く』の方がいいだろう、月下に音を響かせる風情があって良い」と言った。そして、二人は、馬を並べていきながら詩を論じ合った。(Wikipediaより)

その賈島が韓愈の助言をもとに作り上げた五言律詩が以下である

「題李凝幽居」  李凝(りぎょう)の幽居(ゆうきょ)に題す

 閑居少隣並  閑居(かんきょ) 隣並(りんぺい)少(まれ)に
 草径入荒園  草径(そうけい)荒園(こうえん)に入る
 鳥宿池中樹   鳥は宿る 池中(ちちゅう)の樹
 僧敲月下門  僧は敲(たた)く 月下(げっか)の門
 過橋分野色  橋を過ぎて 野色(やしょく)を分かち
 移石動雲根  石を移して 雲根(うんこん)を動かす
 暫去還来此  暫く去りて 還(ま)た此に来たる
 幽期不負言  幽期(ゆうき) 言(げん)に負(そむ)かず

五言律詩ですから偶数句末の園・門・根・言は韻を踏んでいます
また2句づつの対句で最初の対句が「起」順次「承」「転」「結」となっています
これが対句でないと絶句となります五言絶句です


 隣近所に家のない 静かな住まい
 草の小道が荒れた園へとつづいている
 鳥は池中の樹で眠っている
 僧は月に照らされた門をたたく
 橋を過ぎるがここも野趣豊かである
 石は雲湧く峰から移したものだ 
 久し振りにやって来たが
 その風雅さはやはり以前のままだった

二句三年得  二句三年にして得
一吟双涙流  一吟(いちぎん)すれば双涙(そうるい)流る
作詩の難しさを詠った賈島(かとう)の名句です。
対句(二句)、上の詩で言えば「二句三年得」と「一吟双涙流」が対句です。
これだけ作るのに3年かかると言うのです。
ですから対句や漢詩を金で買うと言う事が横行していたようです。