カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

井上ひさしの「丸谷才一さんが申された」

2018年04月04日 12時11分48秒 | 似た言葉

日本語の「申す」には

  • 私は~と申すものでございます
  • 父が~と申しておりました

などと話者らの立場をわざと低めて、相手を相対的に高くする表現なのでしょう

尤も身内の尊敬語を他者に対しても堂々と使わねばならない現代韓国語では、「うちの社長が~とおっしゃっておりました」と言わねばならないでしょうが(笑)。

日本語の「申された」ですが

  • 丸谷才一さんが申された・・・・・・聞き手を高めるために
  • そう申されましたが・・・・・・相手に対して使うのは誤用

などが考えられます。

普通に「おっしゃる」でいいことを「申される」というのは、明らかに間違いだと思うのです。

ただし

講演や本の中で

丸谷才一さんがこう申された

というのは、微妙なところですが、謙譲的に視聴者や読者を高めているという点でいいとも言えますが、井上と丸谷の関係があやふやなので、話者としては失格なんでしょう。

つまり

話者井上 ≒ 丸谷 ≪ 視聴者や読者

であり

話者井上 ≪ 丸谷 ≪ 視聴者や読者

なっていないということが、ひっかるのでしょう。

もしも私が、井上ひさしであり、もしも井上が丸谷を高く評価しているとするならば、たとえ講演や書籍の中であっても

丸谷才一さんがこうおっしゃった

話者井上 ≪ 丸谷 ≒ 視聴者や読者

と言うでしょう。

その他の場面では

話者井上 ≪ 視聴者や読者

となるでしょうが。

まとめるならば

話の中で他者を引用するのは、かくのごとく難しいのですが

もしも引用者を高く評価する目的があるならば、私はおっしゃった」で済ませたい

と思うのです。

さてさて、皆様はどう思われますか。


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