福井日銀総裁は即刻辞職せよ! 6月14日

日銀福井総裁の説明には、まったく説得力がない。むしろ、日銀総裁という立場の人物の、認識の甘さに驚くほどだ。総裁就任など予想できない時期の投資だと、多くの人が福井氏を擁護するが、総裁就任後もなお運用していた点と、量的緩和政策解除直前の2月に突然解約を申し入れている点とが、その説明が何ら説得力を持たないことを裏打ちする。結局は、元ライブドア堀江氏の逮捕が端緒となり、完全に検察の射程圏内に入った村上ファンド村上世彰氏の逮捕を十分に予測し得た2月、ついに手放すことを決断したのだ。1,000万円の資金は、2.5~3倍に膨れ上がり、丸儲けと言われても仕方がない。

当時富士通総研理事長だった福井氏は、直前までは日銀副総裁であったわけで、本来、李下に冠を正してはならない立場にあったはずだ。日銀総裁就任後の福井氏は、大銀行の不良債権処理を進めるためのゼロ金利の超低金利時代、多くの人々を銀行預金から株式投資に向けさせ、結局はその流れを自分の利益に直結させた。通常の定期預金なら年利0.1%、1999年からの7年間で10万円程度の金利しかつかないものを、福井総裁は村上ファンドを通じて、1,500万円~2,000万円もの利益を上げているのだ。公正中立であるべき中央銀行総裁のとるべき態度とは到底思えないし、この行為は、大銀行さえ儲かれば良いという福井氏の本音を、顕著に表すものだ。「世間からいささかなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には、個人的利殖は慎まなければならない。」との日銀内規に、当然抵触する。

最も引っかかるのは、「富士通総研創設当時、通産官僚だった村上氏にお世話になり恩義を感じていた」との福井氏の発言だ。これは、通産官僚たる村上氏の職務権限にかかわることであれば、即ち、福井氏と村上氏とが明らかに贈収賄の関係にあったことを意味する以外の何ものでもない。福井氏は一刻も早く総裁を辞任し、社会的責任をとることが「筋」だ。

リクルート事件では未公開株を割り当てて多くの政官財の有力者たちに大きな利益を提供したが、村上ファンドは、政官財の有力者たちに、株の運用によって巨万の富を「贈賄」していた可能性が極めて濃厚だ。小泉総理が、何故、国会の会期延長をしないことに頑なにこだわり続けたのか、ここまでくるとはっきりする。堀江氏の逮捕以降十分に予測された村上世彰氏の逮捕は、政官財の重要人物たちを、次々と足もとから揺るがしかねない大問題だったのだ。

結局のところ小泉改革とは、政官財の癒着にメスを入れるどころか、政官財の有力者たちが金融システムの中でバリバリのインサイダー取引きを可能にするものだったのだ。就任当時の「自民党をぶっ壊す」との小泉総理の発言が、小泉政権5年間の表面上のメッキをなんとか支え続け、その裏で、竹中大臣を筆頭に規制緩和された金融市場でまさしくインサイダー取引きそのものが横行していたのだ。

強い者をより強くし、弱い者を斬り捨てる小泉構造改革は、決して真の改革ではない。小泉総理の辞任を直前にして、小泉政権下にインサイダーの耽溺に溺れた有名人たちが続々と失脚している。まやかし小泉改革の終焉だ。福井氏の日銀総裁としての最後の仕事は、中央銀行の中立と信頼とを死守するために、即刻辞職することしかない。強い者だけが得をする社会を、幸福な社会とは言えない。失われた小泉政権5年間は、国民に大きな禍根を残した。壊れた社会のセーフティネットを再構築するためには、政権交代しかもはや残る術はないのだ。

何年ぶりかに見た飛ぶ蛍の輝きは、世俗の荒廃への警鐘そのものだった。目先の利益や利権に惑わされない、高い志を持った人物こそ日本のトップリーダーにふさわしい。美しく輝く光だからこそ、蛍は愛される。日本も国民や周辺諸国そして世界の人々から心底信頼される、誇り高い優しい国家像を追い求めなければならないと、あらためて強く思う。
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