海兵隊「第31MEU(ミュー)」

アメリカにとって沖縄の海兵隊基地は、他の海兵隊基地と比較しても非常に位置づけの高い、また思い入れの強い基地となっています。

アメリカ海兵隊の最大規模の編成である「海兵遠征軍(MEF=メフ)」は3つあり、そのうち第7艦隊の指揮下にある「第3海兵遠征軍」は唯一永続的にアメリカ国外に展開される部隊で、司令部は沖縄県うるま市のキャンプ・コートニーです。

従って、第3海兵遠征軍に所属するキャンプ・ハンセンの「第31海兵隊遠征隊(第31MEU=ミュー)」は、アメリカ海兵隊が配置する7つの海兵隊遠征隊(MEU)の中で、唯一海外展開される部隊なのです。

この第31ミューは、2,000名の海兵隊員と100名の海軍将兵とで編成され、近年ではイラク戦争での武力攻撃にも参加したほどの極めて戦闘能力の高い部隊です。当然、高い戦闘能力を維持するための訓練が日常なされており、周知のように普天間飛行場周辺の人々に与える大きなリスクが、特に問題となっています。

普天間基地周辺の人々の安全を最優先するために、普天間基地の移設をアメリカ政府に求めることは、日本国政府としての当然の責任です。日米双方が100%納得をする解決策はあり得ない沖縄の米軍基地問題は、究極、この第31ミューのローテーション展開基地と訓練基地をどこに置くかに行きつくのだと、私は思います。

ローテーション展開基地として沖縄に海兵隊がベースキャンプを置くことまでをも否定してしまったら、日米同盟は崩壊します。問題は、高い戦闘能力を維持するために行う訓練がもたらす弊害(被害)です。事実、低空飛行によって普天間飛行場周辺の住民のみなさまは、沖縄国際大学ヘリ墜落事故をはじめ多大なる実害を被っています。まず、2014年までは、航空法特例法を廃止して、日本の航空法のもとで、飛行訓練の回数を減らすべきです。その上で、伊江島など普天間に代わる施設を決めていくべきだと思います。

アメリカ政府の、「地元の同意がなければ協議しない」という姿勢は、地元をねじ伏せて徳之島に受け入れを強要しようとする日本政府よりも、まともな対応です。第31ミューの実際の武力攻撃を想定した高度な訓練を「受け入れる」地元でなければ、アメリカ政府にとって訓練基地をつくる意味はないのです。従って、既にそのことを承知して歓迎すると表明している北マリアナのテニアン以外に、現在のところ第31ミューの訓練基地は考えられないのです。

日本政府の負担によって2014年までに8,000名の海兵隊員がグアムに移転することと併せて考えれば、沖縄の訓練基地としての機能をテニアンに移設することができれば、新たに日本国内にローテーション展開基地をつくる必要はないかもしれません。

沖縄とテニアンとの距離は、沖縄と横須賀の第7艦隊揚陸指揮艦ブルー・リッジとの距離と殆どかわりません。むしろ、第7艦隊総司令部のあるハワイに、より近づきます。テニアンに新たな訓練基地をつくる費用を日本が負担すれば(私は日本が保有する米国債を充当すれば良いと思います)、アメリカがこの案に反対する理由はどこにもないと、私は思うのです。

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MEF(メフ)・MEU(ミュー)

①沖縄の米海兵隊は、アメリカに3つある海兵遠征軍(MEF)のうちの第3MEFに所属。その中核部隊が第31海兵遠征隊(MEU)で、現在はキャンプ・ハンセンに司令部があり、2,000名の海兵隊と100名の海軍から編成されている。

②この第31MEUは、ベトナム戦争・イラク戦争でも重要な役割を果たしたが、現在は日本・韓国・フィリピン・タイ・オーストラリアで、2~3ヶ月ずつローテーション展開されている。抑止力とともにインドネシア大地震など大規模災害にも対応。グアム移設後に残る海兵隊機能の中心となる。

③MEFはメフ。MEUはミュー。

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