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ザオ・ウーキー氏、逝去

1921年に北京で生まれ、フランス人として世界的に活躍した現代抽象画家、ザオ・ウーキー氏が9日、亡くなりました。92歳でした。

世界文化賞の中国系仏人画家、ザオ・ウーキーさん死去 叙情的な抽象画(msn産経ニュース)
中国出身の画家、ザオ・ウーキーさん死去(朝日新聞デジタル)


ザオ・ウーキーのコレクションといえば東京のブリヂストン美術館。同館の創設者の石橋正二郎が若かりしザオに惚れ込み作品を蒐集。長年に渡る石橋とザオとの親交もあり、現在でも世界屈指のザオ・コレクションを形成しています。


2004年ザオ展図録

そうしたザオを私が初めて見たのもブリヂストン。まだ美術を見始めてから2~3年だった頃、2004年の「ザオ・ウーキー」展。作品約70点余による回顧展でした。

私自身、いわゆる現代美術を好きになってはいたものの、ザオの名前を見聞きしたこと自体がその時初めて。おそらくは当時のめり込んでいた『美術館巡り』の流れでブリヂストン美術館へ。一切の前提知識もなくただ作品の前に立ったことを覚えています。

結論から述べれば、その時以来、ザオは私にとってのかけがえのない画家の一人になりました。極めて象徴的な青をはじめとした鮮烈な色彩の凄み。深淵な世界と悠久の流れ。タッチは自在。激しくもありまた穏やかでもある。当時のザオ展の図録にはフランソワ・チェンの論文の引用として以下のようなテキストが掲載されています。

「ザオ・ウーキーの作品は、宇宙的な規模をはらんでいる。(略)広大な空間が震えつつ存在し、観る者はそこに身を沈める。観る者は、そこから放出される覆いなリズムに参加するよう誘われるのである。」 *2004年「ザオ・ウーキー展」図録23頁より転載。

まさにザオを目にするとそうした感覚が。一見、純度の高い抽象の向こうに何らかの風景が浮き上がってきます。イメージは無限。ともかく一枚一枚の作品から発せられる「震動」に深い感動を覚えたものでした。

ザオの作品はこの回顧展の後もブリヂストン美術館で定期的に展示中。例えば2011年に同館で開催されたアンフォルメル展では10点余のザオ作品が一挙公開されました。


「Paris、パリ、巴里 日本人が描く 1900-1945」@ブリヂストン美術館(3/23~6/9)

また現在もテーマ展「Paris、パリ、巴里 日本人が描く 1900-1945」と併催のコレクション展にも出品中です。

ザオ・ウーキー「07.06.85」*現在展示中のザオの作品です。

私に抽象の素晴らしさを伝えてくれたザオ・ウーキー。改めて深くご冥福を申し上げます。


「Le peintre franco-chinois Zao Wou-ki est mort」(ルモンド)*仏語
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (oki)
2013-04-10 22:57:46
えっ、亡くなられたのですか!
初めは抽象絵画ということで、良くわかりませんでしたが、図録とか読んでいるうちに独特の世界にハマりました。
そうですか、ブリヂストン美術館行ってこないと、ちょうど明日、六本木アートカレッジで7時まで時間ありますから、善は急げともいうし。
 
 
 
ご冥福をお祈りします (鉄平ちゃん)
2013-04-12 15:06:02
私も新聞で読んで驚きました。
ザオ・ウーキーを知ったのは私もブリジストン美術館でしたね。
中国の水墨画の技法を用いたあの抽象絵画は
日本人にも非常に親しみやすいもので
抽象絵画になじみがない人でもぜひ見てほしい作品です。
もうあの深い青、例えようもないほど美しい。
ご冥福をお祈り致します。
 
 
 
いつも情報ありがとうございます (Fs)
2013-04-13 11:09:56
ザオ・ウーキー氏が亡くなったこともこのブログで知りました。
氏の絵のファンとしてとても残念です。
私のブログ(「Fsの独り言・つぶやき」 http://blog.goo.ne.jp/shysweeper)で貴ブログで知った旨、記載させてもらいました。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2013-04-21 20:23:28
@okiさん

こんばんは。報道で知りました。急でしたね…

先日ブリヂストン美術館で改めて見てきました。
展示の最後で燦然と輝く青の美しさ。
何度見ても素晴らしいものです。


@鉄平ちゃんさん

>中国の水墨画の技法を用いたあの抽象絵画は
日本人にも非常に親しみやすいもので
抽象絵画になじみがない人でもぜひ見てほしい作品です。

全く同感です。
確かに抽象ですが、細部の筆致に目を向けると、
水墨の巧みな技術が用いられていますよね。
あの繊細でかつ躍動感のあるタッチ。
偉大な画家を亡くしました…


@Fsさん

こんばんは。コメントありがとうございます。

本当に残念の一言ですよね。
また回顧展などがあれば、と思います。
 
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