都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「MOTコレクション第一期 - MOTで見る夢」 東京都現代美術館
東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
「MOTコレクション第一期 - MOTで見る夢」
3/24-6/28
池田亮司、ワンダーウォールの両企画展の後は、遅ればせながらも今春入れ替わった常設展へと廻りました。東京都現代美術館で開催中の「MOTコレクション第一期 - MOTで見る夢」を見てきました。

前にも書いたことがありますが、新収蔵品が導入されて以来の常設展に、にわかな活気を感じるのは私だけではないかもしれません。後述のトらやんはともかく、意表を突きながらも、画家の代表作としても挙げ得るような奥村土牛の「蓮池」をはじめ、自然光の差し込む部屋で向かい合った内海とサム・フランシス、また宙に浮く小林孝亘の『眠る男』に見定められた名和晃平の光り輝く『シカ』、さらには刺繍とステイニングの素材感の調和する伊藤存と横内賢太郎と、冴えた展示センスにも支えられてさらに際立つ名品が次々と登場しています。まさに目移りしてしまうほどでした。

惹かれた作品を挙げていくとキリがないので手短かにいきますが、今回の最大のハイライトは、3階の第7室全面に広がるサム・フランシスの「無題」と内海聖史の「三千世界」の二点ではないでしょうか。壁面いっぱいに整列する内海のミクロな色の粒は、もう一方の壁にて激しくエネルギーを迸らせるフランシスの色彩のチューブの力感を半ばかわすかのようにして散らばっています。フランシスと正面勝負を避けることで、むしろそちらにはない軽妙な色のリズム感を沸き立たせることに成功していました。この展示室だけでも今回のMOTコレクションを見る価値はあるかもしれません。

さて冒頭のトらやんですが、常設展示室入口、ちょうど長い通路を見渡す格好で立っていました。この作品は撮影が可能です。六本木ではなかなか近づけなかった裏面へも廻ることが出来ました。




ちなみにトらやんは何の前触れもなく突如、手や顔を振って動き出します。さすがに火を噴くのは無理ですが、怒るように肩を震わせるトらやんの熱気を間近で見るのも良いのではないでしょうか。
なお全面リニューアルされてからMOTへ行ったのはこの日が初めてでした。かつてほぼデットスペースであった円形のインフォメーションにナディッフが移り、地下や二階のレストランとカフェも全て入れ替わっています。既に食事は済ませていたので早速、カフェだけでも試そうと二階へとあがりましたが、昼時でもなかったのにも関わらず何故か満席で入れませんでした。実は苦手なアジアン・テイストということで積極的に使うことはなさそうですが、いつも空いていて並ぶことなど皆無な場所だっただけに、これはちょっとした「変化」の現れと受け止めて良いのでしょうか。お味も気になるところです。
「MOTで見る夢(コレクション第一期」)は今月28日までの開催です。なおトらやんは8月2日まで展示されます。
「MOTコレクション第一期 - MOTで見る夢」
3/24-6/28
池田亮司、ワンダーウォールの両企画展の後は、遅ればせながらも今春入れ替わった常設展へと廻りました。東京都現代美術館で開催中の「MOTコレクション第一期 - MOTで見る夢」を見てきました。

前にも書いたことがありますが、新収蔵品が導入されて以来の常設展に、にわかな活気を感じるのは私だけではないかもしれません。後述のトらやんはともかく、意表を突きながらも、画家の代表作としても挙げ得るような奥村土牛の「蓮池」をはじめ、自然光の差し込む部屋で向かい合った内海とサム・フランシス、また宙に浮く小林孝亘の『眠る男』に見定められた名和晃平の光り輝く『シカ』、さらには刺繍とステイニングの素材感の調和する伊藤存と横内賢太郎と、冴えた展示センスにも支えられてさらに際立つ名品が次々と登場しています。まさに目移りしてしまうほどでした。

惹かれた作品を挙げていくとキリがないので手短かにいきますが、今回の最大のハイライトは、3階の第7室全面に広がるサム・フランシスの「無題」と内海聖史の「三千世界」の二点ではないでしょうか。壁面いっぱいに整列する内海のミクロな色の粒は、もう一方の壁にて激しくエネルギーを迸らせるフランシスの色彩のチューブの力感を半ばかわすかのようにして散らばっています。フランシスと正面勝負を避けることで、むしろそちらにはない軽妙な色のリズム感を沸き立たせることに成功していました。この展示室だけでも今回のMOTコレクションを見る価値はあるかもしれません。

さて冒頭のトらやんですが、常設展示室入口、ちょうど長い通路を見渡す格好で立っていました。この作品は撮影が可能です。六本木ではなかなか近づけなかった裏面へも廻ることが出来ました。




ちなみにトらやんは何の前触れもなく突如、手や顔を振って動き出します。さすがに火を噴くのは無理ですが、怒るように肩を震わせるトらやんの熱気を間近で見るのも良いのではないでしょうか。
なお全面リニューアルされてからMOTへ行ったのはこの日が初めてでした。かつてほぼデットスペースであった円形のインフォメーションにナディッフが移り、地下や二階のレストランとカフェも全て入れ替わっています。既に食事は済ませていたので早速、カフェだけでも試そうと二階へとあがりましたが、昼時でもなかったのにも関わらず何故か満席で入れませんでした。実は苦手なアジアン・テイストということで積極的に使うことはなさそうですが、いつも空いていて並ぶことなど皆無な場所だっただけに、これはちょっとした「変化」の現れと受け止めて良いのでしょうか。お味も気になるところです。
「MOTで見る夢(コレクション第一期」)は今月28日までの開催です。なおトらやんは8月2日まで展示されます。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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MOTの場所性が好きな私は、ここの展示というだけで評価が甘甘になってしまうのですが、それにしても力のこもった常設展示でしたね。《三千世界》の部屋は色とりどりすぎてふらふらしてしまいましたが、フランシスの圧力を受け流す、という視点はまったく持っていませんでして、ああなるほどなあと深く感じ入っております。
2階のカフェが流行り始めたのは、ナディフが引っ込んで階段の入口が明確になったからではないですかねえ。私が行ったときも7、8人のおばさんグループが賑やかに談笑していました。自分が好きな場所性が崩れるのは悲しいものの、こもありかなと思ってます。なお、味はなかなかですのでぜひ一度お試しを。
TBさせていただきました。
私はB1F図書室が結構情報収集でお世話になります。
「三千世界」はMOTの壁面ならでは!
ちなみSpiralも楽しみです。
こんばんは。こちらこそご無沙汰しております。コメントとTBをありがとうございました。
>三千世界の部屋
前もってあの二点が向かい合っていると知った時はどうもイメージがわかなかったのですが、実際に見ると記事にも書いたようにうまく『かわした』なという印象を受けました。新旧織り交ぜての器用な展示でしたね。
>ナディフが引っ込んで階段の入口が明確
なるほど仰る通りかもしれません。前は確かに階段が埋もれるせいか二階カフェなど秘境状態でしたが、(実は私もそれが好きでした。)今回は看板も目立ち、(むしろ階下のレストランの看板のほうが目立ちません。)とても賑わっていて驚きました。お味もご推薦とのことで次回は必ず試してきます!
@pandaさん
こんばんは。
お褒めのお言葉をありがとうございます。
トらやん、六本木では人だかりでしたが、こちらでは意外なほど収まりよく立っていてまた楽しめました。唐突にダンスするのが可愛いですよね。
>B1F図書室が結構情報収集
何気にもMOTで一番優れた空間ですよね。
あの場だけはそのまま維持していただきたいものです。