「火焔型土器のデザインと機能」 國學院大學博物館

國學院大學博物館
「火焔型土器のデザインと機能 Jomonesque Japan 2016」 
2016/12/10~2017/2/5



縄文土器で唯一の国宝に指定された、新潟県十日町市笹山遺跡の火焔型土器が、東京の國學院大學博物館へとやって来ています。


国宝「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県十日町市笹山遺跡 縄文時代中期 十日町市博物館

いきなりのお出ましです。国宝の「火焔型土器」が堂々たる姿を見せています。おおよそ今から5000年前、縄文時代中期の作品です。火焔の名が示すように、上部が燃え上がる炎のような形をしています。実に荒々しい。盛りに盛っています。デコラティブです。人々が手足を振り上げて踊り狂っている姿にも見えました。

初めて火焔型土器が発見されたのは新潟県長岡市の馬高遺跡でした。時は1936年。考古学研究家の近藤篤三郎が破片を掘り出します。その後、各地で発掘が進み、今では新潟県だけでなく、長野県や福島県などにも分布していることが分かりました。その源流が信濃川流域にあったと考えられているそうです。


重要文化財「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県長岡市馬高遺跡 縄文時代中期 長岡市馬高縄文館

今回の展示に出ている火焔型土器は、長岡市や十日町市など、いずれも新潟県内からの出土品です。長岡の馬高遺跡の「火焔型土器」が目を引きました。突起はやや控えめです。まるで小動物を模っているかのようです。あくまでも火焔とは通称、ないし概念の1つに過ぎません。自由に見るのも楽しいのではないでしょうか。


重要文化財「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県津南町堂平遺跡 縄文時代中期 文化庁(津南町歴史民俗資料館)

火焔型土器が存続した期間はおおよそ300年ほどでした。特徴的なのは突起部分です。概ね大きい。そして複雑です。ちなみに全てが火焔型ではありません。もう1種、王冠型なる土器も展示されていました。


左:「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県十日町市森上遺跡 縄文時代中期 十日町市博物館
右:「深鉢形土器 王冠形土器」 新潟県十日町市幅上遺跡 縄文時代中期 十日町市博物館


火焔型と王冠型の違いは口縁部です。前者は4つの大きな突起と鋸歯状のフリルが付いています。一方で後者は4つの突起が一体となって波状に連なっています。確かに上の写真を見ても一目瞭然。かなり異なることが見て取れます。


「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県津南町沖ノ原遺跡 縄文時代中期 津南町教育委員会

また興味深いのはともに縄目の模様がないことです。土器に広がる渦巻きやS字状の模様は、一度、成形した後、粘土紐を貼り付け、調整具で凹凸を作って描きました。


パネル「火焔型土器と王冠型土器の大きさの多様性」

会場の随所のパネルが有用です。土器の部位や紋様の構造のほか、大きさの比較についても解説しています。理解が深まりました。


「深鉢形土器 火焔型土器」 新潟県津南町道尻手遺跡 縄文時代中期 津南町教育委員会

土器の用途は基本的に食物の煮炊き用です。内部にはコゲが残り、脂質の分析から、一部では海産資源を入れていたことも判明しています。では何故に口縁部にいわば過剰なまでの突起を付けたのでしょうか。そこに縄文人の世界観、ないし意図が表れているのかもしれません。


重要文化財「土製品 土偶」 新潟県長岡市馬高遺跡 縄文時代中期 長岡市馬高縄文館

5000年前の縄文世界。土器だけで26点です。うち国宝が1点、重要文化財は5点でした。さらに同じく新潟県内より出土した土偶や石棒なども加わります。手狭なスペースではありますが、思いがけないほどに充実していました。


「火焔型土器のデザインと機能」会場風景

カタログの配布は既に終了しています。かわりにアンケートに答えるとカレンダーがいただけました。


入場は無料です。2月5日まで開催されています。遅くなりましたが、おすすめします。

「火焔型土器のデザインと機能 Jomonesque Japan 2016」 國學院大學博物館@Kokugakuin_Muse
会期:2016年12月10日(土)~2017年2月5日(日)
休館:年末年始(12/26〜1/6)。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:渋谷区東4-10-28 國學院大學渋谷キャンパス内。
交通:JR線、東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線、東急東横線・田園都市線渋谷駅より徒歩15分。渋谷駅東口バスターミナル54番乗り場より都営バス「学03日赤医療センター行き」で「国学院大学前」下車すぐ。JR線、東京メトロ日比谷線恵比寿駅西口ロータリー1番乗り場より都営バス「学06日赤医療センター行き」で「東四丁目」下車。徒歩5分。
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